Discord、無料ユーザーのアップロード上限を20MBに倍増

Discordが無料ユーザーの添付ファイル上限を10MBから20MBに引き上げた。ただ、以前は25MBだった。そして判定方法の変更には、見落とせない落とし穴がある。

Discord、無料ユーザーのアップロード上限を20MBに倍増
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Discordが無料ユーザーの添付ファイル上限を10MBから20MBに引き上げた。ただ、以前は25MBだった。そして判定方法の変更には、見落とせない落とし穴がある。


10MBから20MBへ。ただ「元に戻った」わけじゃない

Discordが無料ユーザー向けのファイルアップロード上限を、10MBから20MBに引き上げた。2023年4月に8MBから25MBへ大幅に拡大された上限は、2024年秋に「ストレージ管理のコスト」を理由として10MBまで引き下げられていた。

今回の変更はその引き下げに対する部分的な揺り戻しだが、2023年の水準には届いていない。25MBから10MBに削り、そこから20MBに戻す。数字だけ見れば「倍増」でも、2年前よりまだ5MB少ない

Discordは公式FAQで、ファイル上限は利用実態を定期的に見直しており、2026年8月時点で無料ユーザーの上限を20MBに引き上げたと説明している

有料プランには変更がない。Nitro Basicは50MB、Nitroは500MBのまま据え置きだ。

見えにくい変更:モバイルの判定が「圧縮前」に

上限の数字そのものより重要なのが、モバイルでのファイルサイズ判定方法の変更だ。

従来、モバイルアプリではファイルを圧縮してからサイズを判定していた。つまり15MBの動画でも、圧縮後に10MB未満になればアップロードできた。今回この仕組みが廃止され、デスクトップに合わせて圧縮前のサイズで判定されるようになった。

Discord側の説明では「プラットフォーム間で一貫性を持たせるため」とされている。デスクトップでは以前からこの方式だったので、統一すること自体は理にかなっている。

デスクトップとiOSは恩恵を受ける

デスクトップとiOSのユーザーにとっては、純粋に上限が10MBから20MBに広がった形になる。10MB超のスクリーンショットや短い動画をそのまま送れる場面は確実に増える。

Androidユーザーには逆効果の可能性

問題はAndroidだ。Androidではカメラで撮影した写真や動画のソースファイルが大きくなる傾向がある。Discord自身がFAQで認めている通り、Androidでは上限の数値が上がっても「以前より制限に引っかかりやすくなる」場合がある。

圧縮前のファイルサイズで判定するようになったため、実際の影響はプラットフォームによって異なる。Androidではソースファイルが大きくなりがちで、表示上の上限が上がっても以前より制限に当たる頻度が増える可能性がある、とDiscordは説明している。

つまりこの変更は、Discordにとっては「圧縮前のサイズで管理できるのでストレージの予測がしやすくなる」メリットがある一方、一部のユーザーにとっては実質的な改悪になりうる構造を持っている。

「倍増」に沸かないコミュニティ

Discordの公式アカウントによる発表には、4万件以上のいいねが付いた。だが反応の温度は複雑だ。

「25MBから10MBに下げておいて、20MBに上げたことを自慢するのか」という声は目立つ。あるユーザーは「この発表自体が、競合他社がやるよりDiscordにダメージを与えた」と書いた。別のユーザーは「2026年に20MBは冗談にしか見えない。8秒の動画を録画しただけで上限に達する」と指摘した。

Telegramの公式アカウントまでが反応し、端的にこう書き込んでいる。

「貧乏なんだったらそう言えばいいのに」

Telegramは無料ユーザーでも2GBまでファイルを送信できる。WhatsAppも同様だ。20MBという数字が2026年のメッセージングプラットフォームとしてどう映るかは、競合との比較で一目瞭然になる。

歓迎する声もある

一方で、制限引き上げを素直に喜ぶ声もある。アーティストが「自分の作品はほとんど10MB以上だったから、これでDiscordサーバーに直接アップロードできる」と書き込んでいた。日常的に10〜20MBのファイルを扱うユーザーにとっては、実際に助かる変更だ。

繰り返される「引き下げてから引き上げる」パターン

振り返ると、Discordの無料ユーザー向け上限は一貫性を欠いてきた。

長年8MBだった上限は、2023年4月に25MBへ引き上げられた。ユーザーは歓迎した。ところがおよそ1年半後の2024年秋、Discordは「99%のユーザーは10MB未満のファイルしかアップロードしない」「ストレージ管理は高コスト」として、上限を10MBまで引き下げた。この引き下げは公式ブログでの告知もなく、表立った説明なしに行われ、ユーザーの不信感を買った。

Discord無料ユーザーのアップロード上限推移
〜2023年3月
上限8MB
長年にわたる無料ユーザーの標準上限
2023年4月
8MBから25MBに引き上げ
無料ユーザーに歓迎される
2024年秋
25MBから10MBに引き下げ
「ストレージコスト」を理由に。表立った告知なし
2026年8月
10MBから20MBに引き上げ
モバイル判定も圧縮前に変更
※有料プランの上限(Nitro Basic: 50MB / Nitro: 500MB)は変更なし

そして今回の20MBへの引き上げ。コミュニティの一部が「これは一時的じゃないか」「また下げるのでは」と警戒するのは、過去の経緯を見れば無理もない。

DiscordはFAQで「ファイル上限は利用実態に基づき定期的に見直す」と明記している。今後も変わりうるという前提は、Discord自身が示していることになる。

20MBは「十分」か

Discordのファイル上限が注目されるのは、Discordが「ただのチャットアプリ」じゃないからだ。ゲームのクリップ共有、コミュニティ運営、クリエイターの作品発表の場として使われている。そのプラットフォームが、2026年に無料ユーザーのアップロード上限を20MBに設定することの妥当性は、ユーザーの用途によって評価が分かれる。

テキストと静止画のやり取りが中心なら、20MBで困ることは少ない。しかし短い動画クリップや高解像度のスクリーンショットを日常的に共有するユーザーにとっては、20MBという壁はすぐに見える位置にある。

Discordにとって、無料ユーザーのストレージコストは実際に存在する課題だろう。他のプラットフォームとは保存方針が異なり、アップロードされたファイルは削除しない限り残り続ける。コスト面の制約があること自体は理解できる。

ただ、その制約をどう伝え、どう変更するかで、ユーザーの受け止め方は変わる。25MBに上げ、10MBに下げ、20MBに上げる。その度に理由は「利用実態の見直し」だ。上げるときも下げるときもこの一言で説明されると、次に何が起きるかをユーザーが予測できなくなる

信頼は、数字の大きさではなく、数字の安定性から生まれる。

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