SKハイニックス

メモリ3社、CXLコントローラの自社開発を一斉中止

CXL

メモリ3社、CXLコントローラの自社開発を一斉中止

サムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社が、サーバー向けメモリ拡張規格CXLのコントローラ開発を自社から切り離した。設計はファブレスに任せ、自分たちはDRAMを売ることに集中する。 DRAMを守るための撤退 CXL(Compute Express Link)は、サーバーのメモリ容量をDIMMスロットの上限を超えて拡張する接続規格だ。AI推論やインメモリデータベースの拡大で、2028年までに150億ドル規模の市場に成長するとの予測もある。 この成長市場に、メモリ3社は当初、コントローラとDRAMを一体化した完成モジュールで参入しようとしていた。コントローラを自社設計し、自社のDRAMと組み合わせて高付加価値の製品として売る。利幅は大きい。 ところが、データセンター事業者が求めたのは正反対の構造だった。コントローラはマザーボードに載せ、メモリスロットには汎用DIMM(デュアルインラインメモリモジュール)を挿す「分離型」にすれば、メーカーを問わず安価なDIMMを選べる。 メモリ3社にとって、この要求に逆らう選択肢は事実上なかった。 自己蚕食のジレンマ 理由はDRAMの市

SKハイニックス会長「メモリ価格は異常」、米国工場も検討

メモリ不足

SKハイニックス会長「メモリ価格は異常」、米国工場も検討

メモリ業界最大手のトップが、自社製品の価格が高すぎると認めた。増産しなければ市場そのものが縮む、という危機感が動かす次の一手。 「建てられる場所に、できるだけ速く建てる」 SKグループのチェ・テウォン(Chey Tae-won)会長が7月15日、済州島での記者会見でメモリ半導体の現在の価格水準を「異常(abnormal)」と表現した。 AI企業は投資で高騰分を吸収できる。PCやスマートフォンのメーカーにその余裕はなく、コスト増は製品価格に転嫁される。買うのは個人の消費者であり、値上げには限界がある。 チェ会長はこの連鎖を「チップフレーション(chipflation)」と呼び、供給の拡大で断ち切る必要があると述べた。 チェ会長が見ているのは消費者の負担だけではない。メモリ価格が高いまま放置すれば韓国の半導体産業そのものが危うくなる。高い利益率は新規参入を呼び込み、各国政府はメモリ調達を「経済安全保障」の問題として扱い始める。 チェ会長の言葉を借りれば「建てられる場所に、できるだけ速く建てることが、韓国半導体産業の生命線になりつつある」。 需要は倍増、供給は追いつかない

サムスン半導体、単年で過去40年の累積利益を超える。Q2は89兆ウォン

半導体

サムスン半導体、単年で過去40年の累積利益を超える。Q2は89兆ウォン

1年で稼ぐ額が、40年かけて積み上げた総額を超える。AI需要によるメモリ価格の高騰が、半導体メーカーにかつてない利益を集中させている。 「過去40年の累積を超える」 サムスン電子のデバイスソリューション(DS)部門を統括するキム・ヨングァン(Kim Yong-Kwan)社長が、7月3日の社内タウンホールで発言した。2026年の営業利益は、半導体事業に参入してからの約40年間の累積利益を上回る、という内容だ。 サムスン電子は1974年に韓国半導体(Korea Semiconductor)を買収して半導体事業に参入し、1983年に64Kb DRAMを開発した。1985年から2025年までのDS部門の累積営業利益は300兆ウォンに届かないとされる。 2026年の通年営業利益に対するアナリストのコンセンサスは約300兆ウォン(約32兆円)。一部の証券会社は370兆ウォン前後まで上振れると見込んでいる。 40年間の累積が、たった1年で塗り替わる。キム・ヨングァン氏の発言はそう読める。 89兆4000億ウォンの衝撃 発言の4日後、裏付けとなる数字が出た。 サムスン電子が7月7日

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

メモリ不足

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

半導体業界団体SEMIが、メモリチップの供給不足に対する政府介入を控えるようトランプ政権に書簡で求めた。Appleは中国メーカーからの調達を、議員は米国顧客の優先供給を、消費者は価格引き下げを望んでいる。メモリ不足をめぐるワシントンの綱引きに、メーカー側が加わった。 メモリ不足がワシントンの政策課題になっている メモリ不足が製品価格に直接跳ね返り始めた6月下旬、Appleが全MacとiPadの価格を最大300ドル引き上げた。マイクロソフトもXboxの価格を100〜150ドル引き上げると発表した。Dell、HP、任天堂も同様の対応を取っている。 AI向けデータセンターがメモリ生産能力の大半を吸い上げ、PC・スマートフォン・自動車向けの供給が構造的に逼迫している状況は、報じられて久しい。 新しいのは、この問題がワシントンで複数の方向から政治的な圧力を生み始めたことだ。 SEMIは7月1日付で、スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官、ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官、ハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官、マルコ・ルビ

マイクロン、訴訟直後に2.5億ドルをトランプ・アカウントへ投資

メモリ

マイクロン、訴訟直後に2.5億ドルをトランプ・アカウントへ投資

メモリ大手3社に対する反トラスト集団訴訟の提起から5日。被告の一角であるマイクロンが、トランプ政権の看板政策に同種で最大の企業投資を発表した。善意の社会貢献か、それとも計算された一手か。タイミングが語る文脈を、事実から読み解く。 2億5000万ドルの中身 マイクロンは現地時間6月30日、子ども向け投資口座「トランプ・アカウント」(530A口座)に2億5000万ドルを拠出すると発表した。対象は最大100万人の子どもとその家族で、マイクロンが拠点を置くアイダホ、ニューヨーク、バージニア、カリフォルニアなど7州が中心になる。 具体的な仕組みは二つある。一つは従業員向けのマッチング拠出で、18歳未満の子ども1人につき1000ドルまで会社が上乗せする。もう一つはコミュニティ向けの種子資金で、対象地域の子どもに一律250ドルを初期入金する。マイクロンはこれを「同種で最大の企業コミットメント」と位置づけた。 トランプ・アカウントは、2025年に成立した通称「One Big Beautiful Bill Act」で新設された税制優遇付きの子ども向け投資口座で、7月4日の米国独立250周年記念

サムスンとSKハイニックス、CO2在庫が1カ月分を割る。3つ目の素材危機

半導体

サムスンとSKハイニックス、CO2在庫が1カ月分を割る。3つ目の素材危機

半導体の洗浄に不可欠な高純度CO2の供給が細っている。ヘリウム、六フッ化タングステンに続く、2026年3度目の素材不足だ。 石油精製が止まると、半導体が洗えなくなる 6月26日、韓国の半導体業界関係者が高純度CO2の供給逼迫を警告した。 サムスン電子は月間1800〜2000トン、SKハイニックスは600〜700トンの高純度CO2を消費している。半導体メーカーとガスサプライヤーがそれぞれ約2週間分の在庫を保有し、合計で約1カ月分を維持するのが通常の運用だ。その1カ月分を割り込んだ。 生産停止には至っていない。両社は調達を強化しているが、価格を上乗せしても追加供給の確保が困難になっているという。ガスサプライヤーの担当者は、原料となるCO2そのものが足りず、短期的に生産量を増やす手段がないと説明している。 超臨界CO2洗浄とは何か 高純度CO2が半導体製造で担う役割は、ウェーハの洗浄だ。 CO2を臨界温度(31.1℃)・臨界圧力(7.4MPa)以上に加圧・加熱すると、液体でも気体でもない「超臨界状態」に達する。この状態のCO2は液体に近い溶解力と気体に近い浸透力を持ち、ウェ

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ価格が歴史的な高値を記録するなか、世界のDRAMを支配する3社が米国で消費者から訴えられた。訴状が突きつけているのは、AI需要という構造要因の裏側にある、もうひとつの疑惑だ。 訴状が描く構図 現地時間2026年6月25日、カリフォルニア北部地区連邦地裁に集団訴訟が提起された。事件番号3:26-cv-06345、訴因は反トラスト法違反。被告はサムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーの3社と、その米国法人だ。 原告は個人消費者と小規模PC事業者。Troy's Computers LLC、JB Tech Solutions LLCといった、街のPCショップや修理業者が名を連ねる。代理人を務めるのはニューヨークの法律事務所Bathaee Dunne LLP。反トラスト訴訟を専門とし、直近ではディズニーに対するストリーミング価格の訴訟も手がけている。 訴状の骨子はこうだ。3社はAI向けのHBM(広帯域メモリ、GPUに搭載される高速メモリ)への生産転換を口実に、汎用DRAMの生産を協調的に絞った。DDR3やDDR4からの撤退を足並みをそろえて進め、供給を意図的に制限

韓国、半導体・AIに2000兆ウォン。市場は売りで応えた

半導体

韓国、半導体・AIに2000兆ウォン。市場は売りで応えた

韓国政府が6月29日に発表した「3大メガプロジェクト」は、サムスン電子とSKハイニックスを軸に半導体・AIデータセンター・フィジカルAIの3分野へ向こう10年で官民あわせて約2000兆ウォン(約210兆円)を注ぐ計画だ。1国の、しかも民間主導の投資額としては史上最大規模になる。その発表当日、サムスン電子の株価は5.3%下落し、SKハイニックスも3.4%下げた。 「前例のない数字」の中身 李在明(イ・ジェミョン)大統領が青瓦台で主催した国民報告会には、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長とSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が出席し、それぞれの投資計画を自ら説明した。 計画の柱は3つある。 第一の柱は半導体だ。サムスン電子とSKハイニックスが韓国南西部の湖南地域(光州・全南)にそれぞれ2か所、計4か所の新しいメモリファブを建設する。投資額は800兆ウォン(約84兆円)。これに加え、忠清地域(天安・温陽)にHBMのパッケージング拠点を81兆ウォン(約8兆5000億円)で整備する。半導体関連の投資総額は約911兆ウォン(約96兆円)に達する。

PS6の部品原価が3ヶ月で200ドル上昇。960ドルに到達

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PS6の部品原価が3ヶ月で200ドル上昇。960ドルに到達

3月末に760ドルだったPS6の部品原価が、6月下旬時点で960ドルまで膨れ上がった。1000ドルまであと40ドル。699ドルで出せるかもしれないという3ヶ月前の議論は、もう成立しない。 760ドルから960ドルへ リーカーのKeplerL2氏が現地時間6月27日、NeoGAFのスレッドで投稿した。3月に自身が示したPS6のBOM(部品原価)見積もりについて問われ、その数字から約200ドル上がったと回答している。 3月時点のBOM見積もりは約760ドルで、ソニーが妥当な補助金を負担すれば699ドルでの発売も不可能ではないとKeplerL2氏は述べていた。あれから3ヶ月。状況は一変した。 200ドルの増加は、ほぼ全てメモリとストレージに起因する。PS6には30GBのGDDR7と1TBのSSDが搭載されるとみられており、この2つの部材が今、急激に値上がりしている。 メモリ危機は構造的に終わらない 同じ週に、この上昇が一時的ではないことを裏付ける材料がいくつも揃った。 6月25日、マイクロンが決算で16件の長期供給契約を公表した。データセンターと家電向けは2026年から20

メモリ価格、ジェフリーズがQ3に最大50%上昇を予測

メモリ価格

メモリ価格、ジェフリーズがQ3に最大50%上昇を予測

2026年6月最終週、メモリ市場の全員が同じ結論に辿り着いた。投資銀行が予測を出し、メーカーが5年契約を結び、PCメーカーが「ニューノーマル」と公言し、Appleが制裁対象の中国企業に調達を打診した。それぞれ別の立場から、同じことを言っている。2025年以前の価格には戻らない。 ジェフリーズの数字と、その周囲 米投資銀行ジェフリーズ(Jefferies)のエクイティ・リサーチ部門が6月27日に公表した予測は、2026年後半のメモリ価格について最も強気な数字を出した。2026年第3四半期に前四半期比40〜50%、第4四半期にさらに30〜40%の上昇。2027年も前年比で40〜45%上がり、意味のある価格下落は2028年以降、新規生産能力が15〜20%増加するまで来ないという見立てだ。 この予測が出た直後、別の投資銀行Aletheia Capitalの数字と並べて読まれた。Aletheia側はサーバーDRAMのASP(平均販売価格)が第3四半期に30%上昇、第4四半期に10〜15%上昇と、ジェフリーズより穏やかな見通しを出している。業界コンセンサスは第3四半期20%、第4四半期30