Windows 11、エクスプローラーが5月に速くなる
Windows 11のエクスプローラー(File Explorer)の鈍さは長年の宿題だった。Microsoftはその宿題にようやく本気で取り組み始めている。更新プログラムKB5083631で、起動速度からメモリ使用まで多方面の改善がまとめて投入された。
Windows 11のエクスプローラー(File Explorer)の鈍さは長年の宿題だった。Microsoftはその宿題にようやく本気で取り組み始めている。更新プログラムKB5083631で、起動速度からメモリ使用まで多方面の改善がまとめて投入された。
5月配信予定の「パフォーマンス・パック」
Microsoftは4月17日、リリースプレビューチャンネル向けにWindows 11ビルド26100.8313(24H2)と26200.8313(25H2)を公開した。更新プログラム名はKB5083631。Windows Insider Programの公式ブログによれば、これらの変更は4月Cリリース更新と5月の月例更新に反映される予定で、来月には一般ユーザーの手元にも届く。
今回の目玉機能として最も目立つのはXboxモードの本格展開だが、毎日の作業に影響してくるのはむしろ地味なパフォーマンス改善の集積のほうだ。
エクスプローラー:長年の不満に正面から
Windows 11のエクスプローラーは、クリックしてから開くまでの「もたつき」を指摘され続けてきた。
Windows 10より遅いという検証記事まで出るほど、比較対象がはっきりしていた問題だ。
Microsoftは2025年11月、エクスプローラーをメモリに事前ロード(プリロード)する解決策を出したが、これは「根本解決ではなくごまかし」と批判された。RAM使用量が増えるだけで、起動後の動作そのものは速くならない、と。
エクスプローラーを「先に読み込んで」おくことで起動の瞬間を速く見せる設計は、動作自体を速くしたわけではない。プリロードは根本の遅さへの対症療法であり、プロセス本体のレスポンスが改善したわけではなかった。
今回のKB5083631はそこからもう一歩踏み込んでいる。公式チェンジログに並ぶ改善項目は次の通り。
・エクスプローラー起動の速度とパフォーマンスを向上 ・ダークモードで起動した際、「This PC」起動設定や詳細ウィンドウのリサイズ時に白い画面が一瞬表示される問題を除去 ・ダウンロードしたファイルの警告確認後に「プレビューを表示」ボタンを追加 ・アーカイブ対応形式を拡大(uu、cpio、xar、NuGetパッケージ) ・エクスプローラーのウィンドウを閉じた後にexplorer.exeプロセスが残り続ける信頼性問題を改善
ただのUIの変更ではなく、explorer.exeのプロセス挙動に手を入れている点が今回の肝だ。ウィンドウを閉じてもプロセスがメモリを握り続ける問題は、長時間作業後の「なんとなく重い」という感覚の原因だった。これが改善されれば、数日連続で使っても動作が劣化しにくくなる。
フォルダ表示の一貫性改善もありがたい変更だ。同じフォルダを別のアプリ、たとえばブラウザのダウンロードダイアログから開いても、自分が設定した表示形式が維持されるようになる。Downloadsフォルダで「日付でグループ化」をオフにしている人には特に嬉しい改善だろう。
ストレージ周り:ボリューム操作とFAT32の制限解除
ストレージ設定まわりも改善対象に入った。具体的には「設定 > システム > ストレージ > 詳細なストレージの設定 > ディスク&ボリューム」から大容量ボリュームを覗いたときの応答速度が向上する。NASやRAIDを繋いでいる環境ほど効果が出やすい領域だ。
地味だが象徴的な変更もある。FAT32の32GB上限が撤廃された。ただしこれはコマンドラインでformatコマンドを使った場合のみで、GUIのフォーマットダイアログでは依然32GB制限が残る。
32GBの壁は、Windows 95 OSR2時代にエンジニアがフォーマットUIに設けた「とりあえず」の上限値で、FAT32ファイルシステム自体は当初から最大2TBまで扱える設計だった。なぜ解除に30年近くかかったのか、聞きたい人は多いはずだ。
メモリとブート、スタートアップの地味な底上げ
配信の最適化(Delivery Optimization)、つまりWindows Updateやアプリのダウンロードを担当するコンポーネントのメモリ消費が抑えられる。バックグラウンドで大きなアップデートが降ってきても、他の作業が急に重くなる頻度は減るだろう。
起動直後の体感に直結するのがスタートアップアプリの起動改善だ。「設定 > アプリ > スタートアップ」に登録されているアプリ群が、以前よりスムーズに立ち上がるようになる。起動時にSlack、Discord、OneDrive、ブラウザ、IDEを全部自動起動している人には恩恵が大きい。
さらに「全般的な信頼性」改善として、explorer.exeがログイン時、タスクバーのフライアウト操作時、タスクビュー切り替え時、クイックアクセスからのピン解除時に安定するよう手が入った。どれも日常的に何度も繰り返す操作で、一回一回のもたつきが積み重なって印象を悪くしていた部分だ。
喜ぶ前に思い出したい、直前の「4月アップデート問題」
ここまで並べると良い話ばかりだが、タイミングは微妙だ。
4月14日に配信された今月のPatch TuesdayアップデートKB5083769は、一部のPCで起動ループを引き起こしている。HPやDellのデスクトップで、モザイク状のピクセル画面のあと「Windowsの回復が必要」というブルースクリーンに落ちる症状がMicrosoft公式のQ&Aフォーラムに報告されている。法人環境ではLSASSのクラッシュでドメインコントローラーが再起動ループに入る別の問題も発生し、Microsoftは4月19日に緊急のアウトオブバンド更新KB5091157などを出して対応した。
つまり現実の時系列はこうだ。4月14日のアップデートで一部のPCが起動しなくなる障害を起こし、3日後に「5月は速くなります」と約束する更新のプレビューを出す。速くする以前に、まず普通に動く状態を保ってほしい。そう感じるユーザーは少なくないはずだ。
パフォーマンス改善そのものは歓迎していい。エクスプローラーのプロセス挙動に手を入れた点、FAT32の歴史的制約を(コマンドラインとはいえ)外した点、スタートアップアプリの起動に最適化を入れた点、いずれも評価できる方向の変更だ。ただ、Microsoftが「速くする」という言葉を使うたび、過去のプリロード騒動のような「ごまかしではないか」という疑いが付きまとう。今回の改善が実測でどこまで効くのかは、5月の一般配信後に第三者の検証が揃ってから判断するのが賢明だろう。
約束を重ねた数より、実際に軽くなった体感のほうを信じたい。その答え合わせは来月だ。
参照元
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