Windows 11の白い画面点滅とメモリリーク、KB5083631で修正

KB5083631で起動遅延・FAT32の32GB制限・File Explorerの白フラッシュがまとめて修正される。30年前の判断が役目を終え、5月12日のPatch Tuesdayで全ユーザーに届く。

Windows 11の白い画面点滅とメモリリーク、KB5083631で修正

KB5083631で起動遅延・FAT32の32GB制限・File Explorerの白フラッシュがまとめて修正される。30年前の判断が役目を終え、5月12日のPatch Tuesdayで全ユーザーに届く。


30年分の宿題が、ようやく動き出している

Microsoftが、Windows 11の長年たまった不具合をまとめて潰しにかかっている。

2026年4月30日に公開されたオプションのプレビュー更新 KB5083631(OSビルド26200.8328および26100.8328)は、24H2と25H2向けの非セキュリティ更新だ。新機能の追加よりも、ユーザーが何年も我慢してきた地味な痛みを片づけることに比重が置かれている。File Explorerの白フラッシュ、Delivery Optimizationのメモリリーク、起動アプリの遅延、そして1995年から続いていたFAT32フォーマットの32GB制限。どれも単独では小さく見えるが、並べると「Windows 11はもう直らないのではないか」という空気が少しだけ変わる内容になっている。

Microsoft自身は、2026年を「パフォーマンスと信頼性の年」と位置づけてきた。今回の更新は、その公約をどこまで本気で守るかの最初の通信簿に近い。


File Explorerの白フラッシュが、ようやく消える

ダークモードを使うユーザーにとって、File Explorerの「白フラッシュ」は最も嫌われたバグの一つだった。「PC」を開いたり、詳細ペインのサイズを変えたりするたびに、暗い画面の中で一瞬だけ強烈な白が走る。目が痛い、というレベルの話だ。

原因はFile Explorerが抱える構造的な問題にある。レガシーな背景要素と新しいWinUI 3のダークモードスタイルが同期せず、描画の隙間で旧来の白い背景が露出してしまう。ハイブリッドな実装を引きずったまま装いだけ新しくした結果といえる。

KB5083631では、この白フラッシュがついに消滅した。さらにMicrosoftは、31年前から残っていたプロパティダイアログをWinUI 3版に置き換える作業も進めている。プロパティダイアログ刷新の正式な提供時期はまだ示されていない。

地味だが効くのが、表示順とソート順の保持だ。これまでは、サードパーティアプリがダウンロードフォルダや「ドキュメント」を直接開くと、ユーザーが設定していた表示モードや並び順をWindowsが「都合よく忘れる」挙動があった。今回の更新でこれが直り、ブラウザからダウンロードフォルダを開いても、自分で設定した「特大アイコン」表示がそのまま維持される。

File Explorerの背後で動く explorer.exe プロセス自体の信頼性も改善される。ウィンドウを閉じた後にプロセスが正しく終了するようになり、バックグラウンドに居座ってCPUを食う「ゾンビプロセス」が発生しにくくなる。

毎日触る場所での違和感が消えるのは、新機能を10個追加するよりも体感に響く。


メモリリークと起動遅延、そして30年の制限解除

OSの裏側ではもっと大きな話が動いている。

まず、Delivery Optimizationサービスが最適化された。これはWindows UpdateやMicrosoft Storeのアプリをローカルネットワーク内のピアツーピアで配布する仕組みで、長年にわたり「気づくと大量のRAMを食っているサービス」として知られていた。Microsoftは今回、このサービスのメモリ使用量を大幅に削減したと説明している。

起動シーケンスにも手が入った。「設定 > アプリ > スタートアップ」に登録されたアプリの起動が明らかに高速化され、デスクトップが操作可能になるまでの時間が短くなる。スタートアップに10個も20個も常駐させているユーザーほど、この差は朝の数十秒として返ってくる。

そしてもう一つ、地味だが歴史的な変更がある。

30年前の「とりあえず」が、ようやく退場する

FAT32ファイルシステムのフォーマット上限が、コマンドラインから32GBから2TBへ引き上げられた。

この32GBという数字は、ファイルシステム自体の制限ではない。FAT32の仕様上、512バイトセクタなら2TB、4096バイトセクタなら16TBまで対応できる。しかしWindowsの組み込みフォーマットツールだけが、頑なに32GBで止め続けてきた。

なぜか。元Microsoftエンジニアのデイヴ・プラマー(Dave Plummer)がのちに自身のYouTubeチャンネル「Dave's Garage」やX(旧Twitter)で明かしたところによれば、これは1994年の雨の木曜日の朝、彼が一人で決めた数字だった。Windows 95のフォーマットダイアログをWindows NT向けに書き直していた際、当時手元にあった最大のメモリカードが16MB。「これを1000倍して、念のためもう2倍すれば、NT 4.0の生涯にわたって十分だろう」と判断し、32GBに線を引いた。

その「とりあえず」が、30年間そのまま残った。

プラマー自身は後に「完璧を求めて『十分』が永続化する典型例だ」と振り返っている。マザーボードのBIOS更新、一部のゲーム機、組み込み機器など、現在もFAT32を要求する場面は意外なほど多い。にもかかわらず、ユーザーは32GBの壁を越えるためにサードパーティツールやPowerShellに逃げる必要があった。

ただし、4GBの個別ファイルサイズ制限はFAT32の仕様そのものなので、こちらは解除されない。動画ファイルや大型バックアップを置く用途には依然として向かないという点は変わらない。


タスクバー、Microsoft Store、そして地味だが効く修正群

KB5083631はシェルの奥にも手を入れている。

ログイン直後にタスクバー右側のシステムトレイ領域が空白になる現象。これがトレイ読み込みの安定化として修正された。タスクビューやタスクバーメニューの操作中、あるいはクイックアクセスからピン留めを外した瞬間に explorer.exe がクラッシュする問題にも対処が入っている。

そのほかの注目修正は次のとおり。Microsoft Storeの長年の悩みだったダウンロード・インストール時の曖昧なエラー( 0x800700570x802400080x80073d28 )が解消される。Windows Helloでは、大型OSアップグレード後に指紋データが「忘れられる」バグが直り、生体認証情報がアップデートをまたいで保持されるようになる。リモートデスクトップでは、DPIが異なる複数モニタ環境で接続時のセキュリティ警告ダイアログが歪んで描画される既知の問題が修正された。

カラー周りの修正も入っている。対応モニターで設定したカスタムカラープロファイルが勝手にリセットされなくなり、デジタルアートや映像制作の現場には地味に大きい改善になる。さらに音声入力の「Fluid Dictation」設定の継続性が改善され、絵文字パネル(Win + .)でのキーボード操作も安定する。

KB5083631で対処された範囲は広い。File Explorerの描画とプロセス管理、Delivery Optimizationのメモリ消費、起動シーケンス、FAT32の上限、Microsoft Storeのエラー、Windows Helloの永続性、リモートデスクトップのDPI、カラープロファイル、入力周り。OSのほぼ全領域に手が及んでいる。

派手さはないが、毎日仕事で触っている層ほど「これが直ったのか」と気づく類いの修正が並ぶ。


5月12日、全ユーザーに届く

現時点でKB5083631はオプションのプレビュー更新だ。Windows Updateで「更新プログラムのチェック」を押し、明示的に取りに行くユーザーだけが受け取れる。

ただし、待つ必要は長くない。今回の改善はすべて、5月12日のPatch Tuesdayで全Windows 11ユーザーにまとめて配信される予定になっている。5月の更新は必須のセキュリティ更新となり、ここに含まれる改善はオプションを避ける一般ユーザーにも自動的に届く。

Microsoftが約束していた「2026年=Windows 11の建て付けを直す年」が、口先だけだったかどうか。判定は、5月12日以降に多くのPCで体感される速度と静けさが下すことになる。

30年前の判断が役目を終え、Windows 11がようやく宿題を片づけ始めた。次に問われるのは、片づけ続けられるかどうかだ。


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