AMD、Radeon GPU+メモリの供給価格を7月から約10%引き上げへ
Radeon RX 9000シリーズのグラフィックカードが、また値上がりする。
AMDが複数のAIBパートナーに対し、GPU+VRAMバンドルの供給価格を約10%引き上げると通知した。7月から適用される見通しで、対象にはサファイア、ASUS、XFXなどが含まれる。中国のサプライチェーンフォーラムBoard Channelsへの投稿が情報源で、AMD自身は公式に認めていない。
半年で3度目の値上げ通知
AMDがAIBに値上げを通知するのは、これで少なくとも3回目になる。

2025年11月、最初の通知が出された。16GBモデルで約40ドル(当時の換算で約6400円)、8GBモデルで約20ドル(約3200円)の引き上げだった。Radeon RX 9070 XTの国内最安値は当時9万円前後だったが、年明けには11万円台まで上がった。
2026年2〜3月に第2波が来た。引き上げ幅は5〜15%で、理由は同じくメモリコストの上昇だった。
今回が第3波になる。引き上げ幅は約10%。6月中旬には「検討中」「未確認」とされていた情報が、6月30日の博板堂への投稿では「正式通知」の段階に進んだとされている。
2025年11月 第1波: 16GB +約40ドル / 8GB +約20ドル RX 9070 XT 国内最安値 9万円前後→年明け11万円台 2026年2〜3月 第2波: 5〜15% メモリコスト上昇が継続 2026年7月 第3波: 約10% Board Channelsへの投稿で「正式通知」と報告 |
NVIDIAは動いていない
今回の通知で注目すべきは、NVIDIAが動いていないことだ。
Board Channelsの同じ投稿によると、NVIDIAからパートナーへの新たな値上げ通知は出ていない。NVIDIAは2026年5月にGeForce RTX 5090のパートナー向け価格を引き上げているが、それ以降は今のところ動きがない。今回上がるのはAMDだけだ。
7月は夏休みに向けたGPU購入が増える時期と重なる。そのタイミングでRadeonだけが値上がりすれば、GeForceとの価格差は縮まり、Radeonの最大の武器だった価格面での優位性がさらに削られる。NVIDIAがコストを吸収しているのか、有利な供給契約を持っているのかは分からない。消費者の目に映るのは「Radeonは上がる、GeForceは上がらない」という事実だけだ。
値上がりの構造は変わっていない
原因は2025年末から一貫している。GDDR6メモリの供給逼迫だ。
サムスンやSKハイニックスといったメモリメーカーが、利益率の高いHBM(AIデータセンター向けの広帯域メモリ)の生産にウエハーを振り向けた結果、GDDR6の生産量が減った。スポット価格は2025年末の約2.5ドル/GBから約7.5ドル/GBへ、およそ3倍に跳ね上がっている。
AMDはGPUダイとVRAMをセットにしてAIBに供給している。メモリ調達コストが上がれば、バンドル価格もそのまま上がる。シリコンモーションのコウ(Wallace Kou)CEOも、VRAM価格は2026年下半期を通じて上昇が続くとの見方を示している。HBMの利益率が高い限り、メモリメーカーがGDDR6の生産を増やす動機は乏しい。
「待てば下がる」は通用しない
この半年間を振り返ると、値上げのたびに「これが最後だろう」という期待は裏切られてきた。GDDR6の供給が正常化するには、AI向けの設備投資が減速するか、新たな製造ラインが稼働するしかない。現時点でどちらの兆候もなく、新規のメモリ製造施設は稼働まで12〜18か月を要するとされる。
Radeon RX 9000シリーズの購入を検討しているなら、「今の価格が底」という前提で判断した方がいい。10%の引き上げが実売に反映されれば、RX 9070 XT(16GB)は現在の9万円以上から10万円以上へ、RX 9060 XT(16GB)も5万円以上から6万円以上へ押し上げられる計算になる。
NVIDIAのGeForce RTX 5070 Tiは15万円以上で推移している。値上げ後のRX 9070 XTでも絶対額ではまだ安い。ただし、性能あたりの価格差は確実に縮まる。Radeonを選ぶ理由が「安いから」だけだった層は、その前提を見直す必要が出てくる。
参照元:AMD reportedly tells AIBs to expect 10% higher Radeon GPU and memory bundle prices in July
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