FSR 4.1躍進もDLSS 4.5に7戦1勝、距離なお残る

FSR 4.1躍進もDLSS 4.5に7戦1勝、距離なお残る
NVIDIA

7タイトルでFSR 4.1とDLSS 4.5を比較した検証結果が出た。FSR 4.1は前世代から明確に伸びたが、コミュニティ投票でDLSS 4.5を上回ったのは1タイトルのみ。AMDが詰めた距離と残る差の両方が同時に見えてくる。


7タイトル比較で見えた1勝6敗の構図

ドイツのテックメディアComputerBaseが、AMDのアップスケーリング技術FSR Upscaling 4.1を、前世代のFSR 4.0およびNVIDIAのDLSS 4.5(Preset M)と比較する検証を公開した。テスト対象は7タイトル。執筆を担当したのはWolfgang Andermahr編集者で、コミュニティ投票も並行して実施された。投票は本日(2026年4月29日)11時32分に締め切られたばかりだ。

テスト対象となった7本は『Anno 117: Pax Romana』『ARC Raiders』『Assassin's Creed Shadows』『Call of Duty: Black Ops 7』『Kingdom Come: Deliverance II』『バイオハザード レクイエム』『The Last of Us Part I』。いずれも 2025〜2026年発売の新作 が揃う。

結果は明快だ。 6/7でDLSS 4.5首位 という構図になった。FSR 4.1が首位を奪ったのは『Resident Evil Requiem』のみで、ここではDLSS 4.5が2位、FSR 4.0が3位という順位になった。総合順位もDLSS 4.5が1位、FSR 4.1が2位、FSR 4.0が3位という形に落ち着いている。

7タイトル画質順位ヒートマップ — 編集者判定 vs コミュニティ投票
タイトル 編集者判定 コミュニティ投票
FSR 4.1 FSR 4 DLSS 4.5 FSR 4.1 FSR 4 DLSS 4.5
Anno 117:
Pax Romana
2 3 1 2 3 1
ARC Raiders 2 3 1 2 3 1
Assassin's Creed
Shadows
2 2 1 2 3 1
Call of Duty:
Black Ops 7
2 2 1 2 3 1
Kingdom Come:
Deliverance II
2 3 1 2 3 1
バイオハザード
レクイエム
1 1 1 1 3 2
The Last of Us
Part I
2 3 1 2 3 1
総合順位 2 3 1 2 3 1
※ 数字は各タイトルでの画質順位(1位=最良、3位=最低)。色が濃いほど上位。同順位は両方に同色を付与。出典: ComputerBase「FSR Upscaling 4.1 im Test」(2026年4月29日更新版)
注意点として、ComputerBaseはこのテストを「ブラインドテストではない」と明記している。コミュニティ投票者は各動画がどの技術かを認識した状態で投票しており、2026年2月に同社が実施したブラインドテストとは性質が異なる。

FSR 4.1で何が変わったのか

FSR 4.1は、Adrenalin 26.3.1ドライバ(2026年3月19日リリース)を通じてRadeon RX 9000シリーズに展開された。前バージョンの4.0.3が事実上のバグ修正リリースだったのに対し、4.1は画質改善を目的とした更新で、AMD自身が「より鮮明な全体像」を謳っている。

ComputerBaseは3月20日に『Crimson Desert』と『Death Stranding 2: On The Beach』を使った先行検証で、4.1の改善を確認していた。今回の7タイトル比較は、そのサンプル数を増やすための後続検証という位置付けになる。

注目すべきは、編集者のWolfgangとコミュニティの判断が 7タイトル中3タイトルでズレた ことだ。Wolfgangは『Assassin's Creed Shadows』と『Call of Duty: Black Ops 7』でFSR 4.1とFSR 4.0を「2位タイ」と評価したが、コミュニティはFSR 4.1を単独2位、FSR 4.0を3位と判定した。『Resident Evil Requiem』ではWolfgangが「3技術とも同等」と評したのに対し、コミュニティはFSR 4.1を1位に押し上げている。

編集者とコミュニティで判定がズレた3タイトル
タイトル 編集者の判定 コミュニティの判定
Assassin's Creed
Shadows
DLSS 4.5 > FSR 4.1=FSR 4 DLSS 4.5 > FSR 4.1 > FSR 4
Call of Duty:
Black Ops 7
DLSS 4.5 > FSR 4.1=FSR 4 DLSS 4.5 > FSR 4.1 > FSR 4
バイオハザード
レクイエム
3技術すべて同等 FSR 4.1 > DLSS 4.5 > FSR 4
※ コミュニティはFSR 4.1とFSR 4を明確に序列化し、Resident Evil RequiemではFSR 4.1を首位に押し上げた。出典: ComputerBase「FSR Upscaling 4.1 im Test」(2026年4月29日更新版)
プロのレビュワーが捉えきれない差を、母数の多いコミュニティ投票が拾うケースがあることを示している。逆もまた然りで、両者の視線がどの場面でズレるかは、アップスケーリング技術の評価そのものを多面化する材料となる。

AMDが詰めた距離、それでも残る差

DLSS 4.5は第二世代Transformerモデルをベースに、より大規模なゲーム映像データセットで訓練されたアップスケーラーだ。FP8精度を活用することで、ライティング精度の向上・ゴースティングの低減・時間的な安定性の3点で優位を保ってきた。

FSR 4.1は明確に進化した。AMDがブラックボックスのままにしていた部分を更新し、シャープネスの底上げを果たしている。1タイトルとはいえDLSS 4.5を上回る場面が出てきたこと自体が、AMDが追いつきつつある証拠と言える。

ただし「並んだ」とは言いにくい。DLSS 4.5が依然として6/7タイトルで首位を占めるという結果は、両者のあいだに 実質的な距離 が残っていることを示している。とくにディテールの鮮明さとフレーム間の一貫性において、Transformerモデルの蓄積が効いているとみられる。

興味深いのは、AMDのRadeonユーザーが多いと推測されるComputerBase読者層であってもDLSS 4.5を選んだという事実だ。ブランドへの愛着を超えて、画質そのもので評価された結果と読める。

「現在地」より「角度」を読む

この結果をAMD敗北の物語として読むことは簡単だが、それは半分しか正しくない。FSR 3.1から4.0、4.0から4.1という更新で、AMDはハードウェア依存(RDNA 4専用)というトレードオフを呑みながら、画質を着実に押し上げてきた。

NVIDIAは2018年からDLSSを磨き続け、Tensorコアという専用ハードウェアを早期に投入してエコシステムを築いた。AMDはこのレースに後発で参入し、いまFSR 4.1で1勝目を挙げた段階にいる。改善ペースは止まっていない。次の更新が出る頃に、この差がどう変化しているか。それを判断するには、もう一度こうした検証が必要になる。

ゲーマーにとって重要なのは「どちらを選ぶか」より「両者が競っている事実」かもしれない。NVIDIAが独走する市場と、AMDが追走する市場では、両陣営のユーザーが受け取る恩恵がまったく違ってくる。


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