EdgeのAIモデル自動取得をレジストリで止める手順

Chromeが4GBのGemini Nanoを無断でPCに書き込んでいた騒動は記憶に新しい。その同じ仕組みがEdgeにも仕込まれていることが、Microsoft公式のポリシードキュメントから明らかになった。ユーザーは事前にブロックできる。

EdgeのAIモデル自動取得をレジストリで止める手順

Chromeが4GBのGemini Nanoを無断でPCに書き込んでいた騒動は記憶に新しい。その同じ仕組みがEdgeにも仕込まれていることが、Microsoft公式のポリシードキュメントから明らかになった。ユーザーは事前にブロックできる。


ChromeがやったことをEdgeがやる前に

ここ数日、Chromeが約4GBのAIモデル「Gemini Nano」をユーザーの同意なしにダウンロードしている問題が世界中で炎上している。プライバシー研究者のアレクサンダー・ハンフ(Alexander Hanff)氏が公開した調査によれば、Chromeはweights.binというファイルをOptGuideOnDeviceModelフォルダに自動配置し、ユーザーが削除しても次回起動時に再ダウンロードする。同意プロンプトもオプトアウトUIもない。

問題は、これがChromeだけの話ではないことだ。同じChromiumベースのEdgeにも、ほぼ同名のポリシーが用意されている。Microsoftの公式ドキュメントを当たってみると、ChromeのGemini Nano問題と地続きの同じ仕掛けがあることが確認できる。

ChromeとEdgeは別々の会社の製品だ。だがAIモデルの自動配布という一点に関しては、両者の設計思想は驚くほど似ている。ポリシー名まで完全に同じだ。GenAILocalFoundationalModelSettings

Edge側の挙動はChromeとは少し違う

ここで一つ但し書きを入れておきたい。Microsoft公式のリリースノートによると、Edgeのローカルモデルは「Phi-4-mini」で、Web AI APIs(Writing Assistance APIやPrompt API)が初めて呼び出されたタイミングでダウンロードされる仕組みになっている。ChromeのGemini Nanoのように、対応ハードウェアを満たす全端末へ無条件で配布されるわけではない、というのがMicrosoftの説明だ。

Deskmodder.deも記事の最後で正直に書いている。同サイトの執筆陣は実際にレジストリと自分のPCを当たって、こう報告している。

私たちは今朝、いろいろと探してみた。だが、このサイズのファイルは見つけられなかった。Microsoftがまだこの機能を有効化していない可能性がある。だから、この記事は予防的なものと考えてほしい。

つまり今のところ、Edgeで4GB級のモデルが勝手に降ってきた、という被害報告は出ていない。だが仕組みは既に存在する。Edge 132以降、システム管理者はグループポリシーから制御できるようになった。

ベースモデルとなるPhi-4-miniは3.8Bパラメータ規模で、量子化版でも2〜4GB前後になる。Chromeの一件と同じ轍を踏む可能性は十分にある。

Chromeで実際に問題が顕在化した後で「Edgeはまだ大丈夫」と楽観するのか、それとも今のうちに塞いでおくのか。判断はユーザーに委ねられている。

レジストリで事前にブロックする手順

EdgeとChromeで手順はほぼ共通する。レジストリエディタを使う方法は、エンタープライズ向けの追加ポリシーテンプレート(ADMX)をインストールしなくても済むので、個人ユーザーには現実的な選択肢だ。

Edgeの場合、レジストリエディタ(regedit)で以下のパスを開く。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge

Edgeキーが存在しない場合は新規作成する。そこでGenAILocalFoundationalModelSettingsという名前のDWORD(32ビット)値を作り、データを1に設定する。値が1なら「ダウンロードしない」、0または未設定なら「自動ダウンロード」だ。Microsoftの公式ドキュメントにこの対応関係が明記されている。

Chromeの場合は同じ要領で別の場所に書く。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Google\Chrome

ここに同じGenAILocalFoundationalModelSettingsという名前のDWORD値を作り、1を設定すれば、Chromeも自動ダウンロードを止める。コマンドプロンプトに慣れているならreg addコマンドで一発でも入る。

このポリシーは「動的更新」に対応している。Microsoftの公式ドキュメントによれば、設定変更後にブラウザを再起動する必要はない。設定が即座に反映される。

ただし、Edgeのコメント欄でユーザーのFlyMaster01氏が指摘しているように、設定が正しく適用されたかはedge://policy/を開いて確認するのが確実だ。GenAILocalFoundationalModelSettingsの項目に「Status: OK」が表示されていれば、ポリシーは生きている。

「企業向け」ではなく「個人の防衛策」

このポリシーは元々、組織のIT管理者が従業員PCの挙動を一括管理するためのものだ。だが、レジストリは個人ユーザーでも触れる。Deskmodder.deのコメント欄でも、自分は企業ではないからと尻込みしていたユーザーに対して、別のユーザーが「ADMXを使わなくてもレジストリ直書きで同じことができる」と返している。

Chromeに関してGoogleは公式声明を出している。複数の海外メディアが取材で得た回答によれば、Googleの言い分は次のようなものだ。

2024年からChromeで提供している軽量なオンデバイスモデルだ。スキャム検出などの重要なセキュリティ機能を支える。デバイスのリソースが不足した場合は自動でアンインストールされる。今年2月からChrome設定からオフにできるロールアウトを開始した。

ただし、なぜ削除すると再ダウンロードされるのかという根本的な問いには答えていない。

Microsoftの場合、まだEdgeで実害が出ていないため、同様の声明を出す必要に迫られていない。だがそれは、ChromeとEdgeで思想が違うからではなく、単に時系列の差にすぎないかもしれない。


ユーザーのストレージは、ユーザーのものだ。何をインストールするかを決める権利は、ブラウザを作っている会社ではなく、PCの持ち主にある。Microsoftが公式に用意した抜け道がある以上、それを使うかどうかはユーザーが選んでいい。


参照元

関連記事

この記事を共有する