Edge、Manifest V2拡張の廃止を正式発表。年末までに完了

Microsoft Edgeが、ブラウザ拡張機能の旧仕様Manifest V2の廃止日程を確定させた。長く「未定」だった日程が埋まり、Chromiumブラウザから広告ブロッカーの居場所がまた一つ消える。

Edge、Manifest V2拡張の廃止を正式発表。年末までに完了

Microsoft Edgeが、ブラウザ拡張機能の旧仕様Manifest V2の廃止日程を確定させた。長く「未定」だった日程が埋まり、Chromiumブラウザから広告ブロッカーの居場所がまた一つ消える。


ずっと「未定」だった日程

Googleは2024年6月からChromeでManifest V2(MV2)拡張機能の段階的な廃止を始め、2025年7月には安定版で完全に無効化した。

MicrosoftはEdgeのMV2廃止について、公式ドキュメントに「TBD」(未定)と書き続けていた。2025年2月にはEdge Canary版で一部のMV2拡張が無効化される動きがあったが、安定版には波及せず、正式なタイムラインは発表されなかった。開発者や企業の担当者はGitHubのディスカッションで繰り返し予定を問い、返ってくるのは沈黙だった。

現地時間2026年8月7日、MicrosoftはEdge DevBlogでMV2拡張の廃止スケジュールを正式に発表した。

年末までに完了、企業は2027年

2026年8月から、MV2拡張機能の段階的な無効化が始まる。まずCanary、Dev、Betaの各チャンネルから始まり、数か月かけてStable(安定版)に広がる。ユーザーには事前に通知が届き、MV3の代替拡張が案内される。消費者向けの移行は2026年末までの完了が目標だ。

企業の管理デバイスは消費者向けの展開中は影響を受けない。企業向けのMV2廃止は2027年初頭に予定されている。

Chrome・EdgeのManifest V2廃止タイムライン
2024年6月
ChromeがMV2の段階的廃止を開始
MV3への移行を段階的に推進
2025年2月
Edge CanaryでMV2拡張の無効化を確認
安定版への波及なし。タイムラインは「未定」のまま
2025年7月
Chrome安定版でMV2を完全無効化
最終対応版はChrome 138
2026年7月
Chromeの回避フラグを削除
MV2を延命させる最後の手段も消滅
2026年8月
EdgeがMV2廃止を正式発表
Canary・Dev・Betaから開始し年末までに完了を目指す
2026年8月31日
Chrome WebStoreからMV2拡張を全削除
インストール済みのMV2拡張は更新不可に
2026年末
Edge消費者向け移行の完了目標
2027年初頭
Edge企業向けMV2廃止
管理デバイスは消費者展開中は影響なし

Microsoftは影響範囲について具体的な数字を出している。Edge Add-onsストアで実際に使われているMV2拡張は58件。そのうちMV3同等品が存在しないものは3件にとどまる。上位MV2拡張の95%がすでにMV3に移行済みだという。

数字だけを見れば、ほとんどのユーザーにとって大きな混乱はないように映る。

3件の中にuBlock Originがいる

同等品が存在しない3件のうち、最も多くのユーザーに影響するのがuBlock Originだ。

uBlock Originは広告・トラッカー・マルウェアを遮断するオープンソースの拡張機能で、MV2のwebRequest APIを使ってネットワーク通信をリアルタイムにフィルタリングする。

MV3ではこのAPIが制限され、代わりに導入されたdeclarativeNetRequest APIはブラウザにフィルタリングルールを渡す宣言型の仕組みに変わった。拡張機能がリクエストを直接見てその場で判断する能力が失われる。

この制約のため、uBlock Originは構造的にMV3へ完全移行できない。開発者のレイモンド・ヒル(Raymond Hill)氏はMV3対応版としてuBlock Origin Liteを公開しているが、動的フィルタリングやカスタムフィルターリストの柔軟な追加など、従来版の機能は削られている。

Microsoftの発表もこの点を認めている。uBlock OriginはMV2の機能に依存しており、MV3への完全な変換はできない。代替としてuBlock Origin Liteを挙げているが、同等の機能は提供されない可能性があるとも述べている。

ChromeのMV2廃止はすでに完了

Edgeの発表はChromeの後を追っている。

Chromeは2025年7月に安定版でMV2を完全に無効化し、最後のMV2対応版はChrome 138だった。2026年7月にはMV2拡張を延命させていた回避フラグも削除され、同年8月31日にはChrome WebStoreからMV2拡張がすべて削除される。

ChromeとEdgeの間には約1年の差がある。Microsoftは意図的に猶予を設けたと説明しているが、結果としてEdgeはChromeユーザーがMV2を使い続ける「避難先」として機能していた時期もあった。それもまもなく終わる。

Firefoxだけが残る

MV2拡張をフル機能で使えるブラウザは、これでさらに絞られる。

Mozillaは2025年2月にManifest V2のサポート継続を改めて表明し、MV2とMV3の両方を並行してサポートする方針を取っている。webRequest APIも維持されるため、uBlock Originは制限なしで動作し続ける。

Braveも一部のMV2拡張(uBlock Origin、AdGuard、NoScript、uMatrix)のサポート継続を表明しているが、Chromiumの上流からMV2関連コードが除去されるにつれ、独自に維持するコストは増す。VivaldiとOperaも同様の課題を抱えている。

主要ブラウザのManifest V2対応状況
MV2サポートuBlock Origin
完全版
MV2廃止済み・廃止予定
Chrome××
Edge年末までに廃止年末までに廃止
MV2サポート継続
Firefox
Brave
Vivaldi
Opera
※△は独自にサポートを維持する方針だが、Chromium上流からのMV2コード除去に伴い長期的な維持は不透明

Chromiumベースのブラウザでは、MV2サポートは上流のコードに逆らって維持する作業になる。それを長期にわたって続けられるかは、各ブラウザの開発リソース次第だ。

Googleは「セキュリティとパフォーマンスの向上」をMV3移行の理由として挙げている。MV3はMV2より安全な設計になっている。宣言型のルールに基づく処理は、拡張機能がユーザーのすべてのネットワーク通信にアクセスする従来のモデルよりも権限の範囲が狭い。

その一方で、権限が狭まることは機能の制約を意味する。広告ブロッカーに限れば、MV2で可能だった高度なフィルタリングの一部が、MV3では技術的に実現できなくなる。セキュリティの向上と引き換えに何が失われるのかは、ユーザーが自分で判断するしかない。

Edgeのタイムラインが確定したことで、Chromiumブラウザ全体のMV2廃止は最終局面に入った。uBlock Originの完全版を使い続けるなら、Firefoxが事実上唯一の選択肢になりつつある。

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