Epic Gamesランチャー V2、起動5倍・復元6.5倍高速化へ

Epic Gamesランチャー V2、起動5倍・復元6.5倍高速化へ

Epic Gamesランチャーが「ゼロから再構築」される。リークされた内部資料で、Launcher V2と名づけられた次期バージョンの性能目標と12ヶ月ロードマップが明らかになった。起動速度は平均5倍、システムトレイからのライブラリ復元は平均6.5倍。具体的な数字を出してきたのは、今回が初めてだ。


「最悪」の自認から4ヶ月、具体像が出た

2月、Epic Games Storeのスティーブ・アリソン(Steve Allison)副社長兼GMが「ランチャーは最悪だ」と公言した。あれから約4ヶ月。Unreal Fest Chicago(6月17〜18日)の時期に流出した内部資料が、改修の全体像を初めて数字付きで示した。

フォートナイトリーカーのHYPEX氏がこの資料を投稿し、情報源としてLuKa氏(@LuKaOnIndeed)の名前を挙げている。スライドにはストアフロントの刷新、ランチャーの完全再構築、12ヶ月のロードマップ、サードパーティ向けパッチノート機能が並ぶ。

「改善を約束する」段階から、何を・いつまでに・どこまで速くするかを示す段階に移った。

ランチャー V2の中身

「Ground-up rebuild of the Epic Games Launcher」(Epic Gamesランチャーのゼロからの再構築)。スライドはそう銘打っている。

性能面の目標は2つ。起動が平均5倍ライブラリ復元が平均6.5倍 の高速化。現行のランチャーは画面遷移のたびにバックエンドへ通信し、クリックごとに数秒待たされる構造だった。アリソン氏が2月に「中身を引き抜いて、新しい中身を入れる」と表現した通り、アーキテクチャの根本から変える。

注目すべきはベンチマーク環境だ。スライドに記載されたテスト機のスペックは、Windows 11、AMD Threadripper 32コア(3.5GHz)、128GBメモリ、「RTC A6000」。最後のGPU名は誤記で、NVIDIAのRTX A6000ワークステーションGPUとみられる。ハイエンド環境での測定値であり、一般的なPCでどこまで恩恵があるかは未知数だ。

もうひとつ見逃せない情報がある。LuKa氏の投稿によれば、新ランチャーはUnreal Engineベースではなくなる。現行ランチャーがUnreal Engineで構築されていることは以前から知られており、それが重さの一因だった。代替技術は明言されていないが、ゲームエンジンでストアフロントを動かすという構造自体を見直す判断は理にかなっている。

ストアフロントも別物になる

ランチャーの速度改善だけではない。ストアフロントの設計思想そのものが変わる。

スライドの「Storefront Redesign」では、ホーム画面をユーザーごとに最適化された「ゲームの発見拠点」に作り替えるとしている。プレイ履歴に基づくおすすめ、カテゴリへのクイックアクセス、目玉タイトルを並べるヒーローセクション。従来のEpic Gamesストアにはなかった要素ばかりだ。

商品詳細ページも変わる。従来の静的な商品ページから、コミュニティへの接続や進行状況データを組み込んだ設計に移行する。プレイヤーの状態に応じて表示が変わる仕組みだという。

「買い物をする場所」から「ゲームと人が集まる場所」へ。Steamが何年もかけて築いてきた領域に、ようやく本格的に踏み込もうとしている。

12ヶ月ロードマップ

スライドには「The Roadmap: Priorities for the team over the next 12 months」(ロードマップ:チームの今後12ヶ月の優先事項)と題された一覧がある。3段階に分けられている。

最優先の「Up First」には、フォートナイトの分割インストール(Chunked Installation)、Epic Parties、3Pパッチノート(サードパーティゲームのパッチノート機能)、F2Pゲームの事前登録不要化、ストアフロントの再構築とナビゲーション改善、ライブラリ管理、暗号化/復号(Encryption/Decryption)、ストアフロントのギフティング、クロスリージョンギフティング、Launcher V2プライベートベータが並ぶ。

「Up Next」にはUX・デザインの改善、ユーザーレビュー、ディスカバリー改善、パーソナライゼーション、パブリッシャー出資クーポン、検索の改善、Launcher V2パブリックリリース。

「On Deck」(その次)には、マルチプラットフォームストア、3Pカスタマイゼーション、3Dコンフィギュレーター、マルチフェーズ購入、プレイリストのキュレーション、フォートナイト出資クーポン(Fortnite Funded Coupons)、リテンションとロイヤルティ機能、ストアフロント再設計が記載されている。

Launcher V2 ロードマップ
項目
Up First(最優先)
フォートナイト分割インストール
Epic Parties
3Pパッチノート
F2Pゲーム事前登録不要化
ストアフロント再構築・ナビゲーション改善
ライブラリ管理
暗号化/復号
ストアフロントギフティング・クロスリージョンギフティング
Launcher V2 プライベートベータ
Up Next(次段階)
UX・デザイン改善
ユーザーレビュー
ディスカバリー改善
パーソナライゼーション
パブリッシャー出資クーポン・検索改善
Launcher V2 パブリックリリース
On Deck(その次)
マルチプラットフォームストア
3Pカスタマイゼーション・3Dコンフィギュレーター
マルチフェーズ購入
プレイリストキュレーション
フォートナイト出資クーポン
リテンション・ロイヤルティ機能
ストアフロント再設計

なかでも目を引くのはユーザーレビューだ。Epic Gamesストアが7年間にわたって導入してこなかった機能であり、Steamの大きな武器のひとつ。2月の発表ではロードマップに載っていなかった項目が、今回「Up Next」に入った。

3Pパッチノートという地味だが大きな一歩

華やかなストアフロント刷新とは別に、地味だが開発者とプレイヤーの双方にとって意味のある機能がある。3Pパッチノートだ。

サードパーティゲームのパッチノートが、ゲームのストアページに直接表示される。開発者はDeveloper Portal(開発者ポータル)からリッチテキスト、画像、スケジュール投稿を使って公開でき、プレイヤーはアップデート配信時に通知を受け取れる。

SteamではNewsセクションとして以前から存在する機能だが、Epic Gamesストアではパッチノートを確認するのに公式サイトやSNSを頼るしかなかった。「ゲームを買ったストアで、そのゲームの最新情報を知る」という当たり前のことが、ようやくできるようになる。

プレイヤープロフィールとソーシャル機能

HYPEX氏の投稿はソーシャル機能の拡張にも触れている。プレイヤープロフィールにはバナー、レベル、自己紹介、実績を表示でき、お気に入りのゲームやトップゲーム、「いまプレイ中」「最後にプレイしたタイトル」も公開できる。

2月に予告されたアバター、プライベートメッセージ、ボイスチャット、ゲーム横断パーティーを具体化した形だ。COVID-19パンデミック中に削減され、そのまま復活しなかったソーシャル機能を、今度は「ストアに統合された形」で再構築する。

ただし、注意点もある。LuKa氏によれば、プロフィールシステムを含む各機能はフォートナイトのエコシステムと相互接続される。Epicプロフィールとフォートナイトプロフィールがひとつになるのだという。フォートナイトを軸にエコシステム全体を設計するEpicの戦略だが、フォートナイトに関心のないユーザーにとっては歓迎しづらい可能性もある。

約束の履歴

ここまでの内容は、実現すればEpic Gamesストアの転機になる。だが率直に言えば、Epicが改善を約束するのは初めてではない。

2022年の年次報告ではランチャーの高速化とソーシャル機能の強化を予告した。2025年6月のState of UnrealではプリロードやQ&Aフォーラムなどの新機能を発表した。そして2026年2月、「ランチャーは最悪だ」という自己批判とともに夏の改修を約束し、市場シェア25〜30%の確立を当面の目標に掲げた。

Epic Gamesストア 改善約束の履歴
2022年
高速化・ソーシャル機能強化を予告
年次報告で改善方針を発表
2025年6月
プリロード等の新機能を発表
State of Unrealで具体策を提示
2026年2月
「ランチャーは最悪だ」と公言
夏の改修を約束、アーキテクチャ再構築を宣言
2026年6月
Launcher V2内部資料リーク
起動5倍・復元6.5倍の目標を初めて提示

毎年のように「来年はよくなる」と言い続けて7年。今回初めて具体的な数字とロードマップが付いたが、プライベートベータすらまだ始まっていない。パブリックリリースの時期も「Up Next」としか示されていない。Epicの社内では既に一部の社員が新バージョンを使っているとLuKa氏は述べているが、一般ユーザーに届くのはまだ先だ。

Epic Gamesストアの2025年実績はサードパーティPC売上4億ドル(前年比57%増)と好調だった。だがこの数字は、独自決済を使うタイトル(Marvel Rivals、VALORANT、GTA V、EA Sports FC 26など)を含まない。ストアとしての成長は続いているが、Steamとの差は依然として大きい。

今度こそ、という期待と「また約束だけでは」という冷めた目。その両方を背負って、Launcher V2は一般ユーザーの前に姿を現すことになる。

参照元:LuKa氏(@LuKaOnIndeed)X投稿

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