Steam Controller、転売対策で予約制へ
5月4日の発売からわずか30分で売り切れ、eBayで定価3倍超の転売が横行したSteam Controller。Valveは「購入しようとした多くの方にとって、本当にフラストレーションが溜まる体験だった」と認め、本日から予約制へと舵を切る。
5月4日の発売からわずか30分で売り切れ、eBayで定価3倍超の転売が横行したSteam Controller。Valveは「購入しようとした多くの方にとって、本当にフラストレーションが溜まる体験だった」と認め、本日から予約制へと舵を切る。
30分で完売、eBayでは3倍超の転売価格
Steam Controllerの2026年版は、5月4日(米国時間)に99ドルで発売された。販売開始からわずか30分でValveの初回出荷分は完売し、Steamストアは決済エラーを連発した。
その直後、eBayには確保した個体を転売する出品が殺到する。価格は200ドルから300ドル前後の出品が多く、最高では 556ドル(定価の461%)の値付けまで現れた。日本ではKOMODO STATIONが17,800円で販売を担当したが、こちらも同日午前2時の販売開始直後にアクセス集中でサーバーがダウンし、即座に売り切れている。
転売されたものを買うか、再販を待つか。選択肢は二つしかなかった。
Valveが用意した予約キューの仕組み
完売騒動から3日後、Valveは公式Xで新しい販売方式を発表した。
Steam Controllerのアップデート:明日からSteam上で予約受付が可能になります。
太平洋時間5月8日午前10時(日本時間5月9日午前2時)から、Steamストア上で予約キューが開く。一度予約すると順番が確保され、在庫が補充されたタイミングで予約順に注文メールが届く仕組みだ。メール受信後の購入猶予は72時間。期限内に購入手続きをしなければ、その権利は失われる。
予約には2つの条件が課された。Steamアカウントが「good standing(良好な状態)」であること、そして2026年4月27日より前にSteamで購入履歴があること、の2点だ。
加えて1アカウントにつき1台のみの制限が設けられ、すでにSteam Controllerを購入済みのユーザーは「現時点では」追加の予約ができない。
4月27日という日付の意味
予約条件のうち、もっとも巧妙なのが「4月27日より前の購入履歴」だ。この日付は、ValveがSteam Controllerの発売日と価格を発表したタイミングと一致する。
転売目的でこのコントローラーを買うためにアカウントを新規作成した人物は、この条件で機械的に弾かれる。古参のSteamユーザーには影響せず、純粋に転売業者だけを狙い撃ちにできる設計だ。アカウントの「good standing」要件は違反履歴のあるアカウントを除外するためのものとみられる。
普通にゲームを遊んできたユーザーには、ほぼ何の負荷もない。一方で、転売業者がボットで大量のアカウントを作って購入枠を確保する手口は、かなり困難になる。
なぜ最初から予約制にしなかったのか
そもそも、Valveには予約制販売の前例がある。Steam Deckの初期販売がそれで、5ドルのデポジットで予約順を確保し、生産が追いつくたびに順次出荷する方式を採用していた。
それなのに、なぜSteam Controllerでは初回から同じ仕組みを使わなかったのか。
VideoCardzは、ValveがAI関連の部品不足でSteam MachineとSteam Frameの出荷が遅れる中、比較的供給に余裕がある Steam Controllerから先に投入したと指摘する。在庫が潤沢なら通常販売、希少な製品には予約制という使い分けを当初は想定していたのかもしれない。
結果として、需要を見誤った。Valveのデザイナーは4月のインタビューで「世界的に十分な在庫がある」と話していたが、実際には30分で枯渇している。
出荷スケジュールと地域差
Valveは予約分の出荷について、次のように説明している。
来週から米国・カナダで予約の発送を開始し、その後の数週間で英国・EU・オーストラリアへと拡大していく。在庫補充のペースは地域によって異なる。
日本を含むアジア地域(韓国・香港・台湾)については、KOMODO STATION経由での販売が続く。Valve本体の予約キューはあくまでSteam直販地域向けで、KOMODOがどう対応するかは別途待つ必要がある。
Steam Machineへの示唆
Steam Controllerでの一連の失敗と修正は、まもなく発売されるSteam Machineの販売方式にも影響を与える可能性が高い。
Steam Machineは小型ゲーミングPCとして、はるかに高い注目度と価格帯の製品になる見込みだ。Valveが利益率を抑えた価格設定を選べば、転売業者にとってはSteam Controller以上に 魅力的な標的 になる。今回の経験を踏まえれば、初日から予約制で開けるのが筋だろう。
「初動の混乱」を経験してから学んだ会社と、最初から織り込めた会社とでは、ユーザーの信頼の積み上げ方が違ってくる。今回の発表でValveが示したのは、自分たちの失敗を直視できる組織だという事実だ。
Steam Controllerは5月4日に発売された。これほどの関心を集めたことは嬉しい一方で、購入しようとした多くの方にとって、本当にフラストレーションが溜まる体験だった。在庫が手に入り次第、補充を続けていく。
問題を直視できる姿勢自体が、この会社の競争力の一部になっている。
ただ、根本的な問題は残ったままだ。需要に対して生産が追いつかず、転売業者が利益を抜こうとする構図は、コントローラー1つで解決するものではない。Valveが本当に試されるのは、Steam Machineの販売初日になる。
参照元
他参照
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