Microsoft 365法人向け値上げが施行。最大43%増の全容

Microsoft 365法人向け値上げが施行。最大43%増の全容
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個人向けでは訴訟にまで発展したCopilot抱き合わせ値上げが、2026年7月1日、法人の請求書にも到達した。Microsoftは「パッケージと価格の更新」と呼ぶ。商用M365の値上げは2022年3月以来、4年ぶりになる。


誰がいくら払うのか

2025年12月に予告されていた法人向けMicrosoft 365の価格改定が、7月1日に施行された。対象はBusiness、Enterprise、Frontline、政府向けの各スイートとスタンドアロン製品で、個人向けと教育向けは含まれない。

全プランにCopilot Chatの機能強化が組み込まれ、上位プランにはセキュリティやデバイス管理の追加機能がバンドルされている。

値上げ幅はプランごとに異なる。

Microsoft 365 Business Basicは1ユーザーあたり月額6ドルから7ドルへ16%の上昇、Business Standardは12.5ドルから14ドルへ12%上がった。Business Premiumは22ドルのまま据え置かれた。

Enterprise側ではOffice 365 E1が10ドルで据え置き、Office 365 E3が23ドルから26ドルへ13%増、Microsoft 365 E3が36ドルから39ドルへ8%増、Microsoft 365 E5が57ドルから60ドルへ5%増となった。上位プランほど値上げ率が小さい設計になっている。

最も影響を受けるのは、Frontline向けのF1とF3を使う現場従業員の多い組織だ。F1は2.25ドルから3ドルへ33%の値上げ、F3は8ドルから10ドルへ25%上がった。Teamsを外したバージョンではさらに上げ幅が広がり、Teamsなし版F1は1.75ドルから2.5ドルへ43%増、Business BasicのTeamsなし版も23%増となっている。

スタンドアロン製品も例外ではない。Microsoftのライセンスページに掲載された価格表によると、Windows Enterpriseのデバイス単位ライセンスは5.85ドルから7.63ドルへ31%上昇し、Microsoft 365 Appsのデバイス単位も36ドルから42ドルへ17%増、Apps for Businessは8.25ドルから10ドルへ21%増となった。

Microsoft 365 法人向け価格改定(2026年7月1日施行)
プラン旧価格新価格値上げ率
Business
Business Basic$6$7+16%
Business Standard$12.50$14+12%
Business Premium$22$22据え置き
Enterprise
Office 365 E1$10$10据え置き
Office 365 E3$23$26+13%
Microsoft 365 E3$36$39+8%
Microsoft 365 E5$57$60+5%
Frontline
F1$2.25$3+33%
F3$8$10+25%
※1ユーザーあたり月額(年間契約)。Microsoft公式ライセンスページ掲載価格

非営利団体には商用価格から60〜75%のディスカウントが設定されているが、この割引率は固定のまま連動して値上げされる。政府機関向けのGCC、GCC High、DoDクラウドも商用と同じ値上げ率が適用されるが、合計10%を超える場合は連邦規則に従い数年かけて段階的に引き上げられる。

Copilotを織り込んだ更新料

Microsoftは値上げとともに、全対象プランにCopilot Chat機能の強化版を組み込んだ。受信トレイとカレンダーの内容をAIが参照できるようになり、Word・Excel・PowerPointのエージェント機能にアクセスできる。

加えて、プランごとに異なるセキュリティ・管理機能が加わった。Office 365 E3とMicrosoft 365 E3はMicrosoft Defender for Office 365 Plan 1を標準搭載し、従来は別売りだったメール保護機能を含むようになった。Office 365 E1、Business Basic、Business StandardではURLのクリック時保護が有効になり、メール受信時ではなくリンクをクリックした瞬間にスキャンが走る。

Microsoft 365 E3とE5にはIntuneのリモートヘルプ、高度な分析、Plan 2がバンドルされた。E5にはさらにIntuneのエンドポイント特権管理、Microsoft Cloud PKI、エンタープライズアプリケーション管理が加わり、Security Copilotも1000ライセンスあたり月400SCU(AIによる脅威分析処理の消費単位)の枠付きで含まれるようになった。

Business BasicとBusiness Standardにはメールボックス容量が50GB追加された。

これらのパッケージ変更は6月から展開が始まっており、8月1日までに全テナントへの展開が完了する予定だ。7月1日より前に契約を更新済みの顧客は、次回の更新時期まで旧価格が維持される。新機能は支払い価格にかかわらず全ユーザーに提供される。

繰り返される「価値に見合った改定」

Microsoft 365の法人向け価格が引き上げられるのは、これが初めてではない。2022年3月にはBusiness Basicが5ドルから6ドルへ、Office 365 E1が8ドルから10ドルへ改定された。

個人向けでは2025年1月にCopilotの統合を理由にPersonalプランが年額99.99ドルから129.99ドルへ、Familyプランも相応の値上げとなった。AI機能を含まないClassicプランが解約画面の奥にのみ表示される設計だったことから、オーストラリアの競争・消費者委員会(ACCC)がMicrosoftを提訴している。

約270万人の消費者がより安い選択肢の存在を十分に知らされないまま高額プランに移行したとされ、この訴訟は現在も係属中だ。

法人向けの今回の改定でも、Copilot Chat機能の強化がすべてのプランに組み込まれている。Microsoftは「過去1年間で1100以上の機能を提供した」と説明し、価格にはAIへの継続投資が反映されているとの立場を取る。

値上げのたびに機能が足され、その機能を理由に次の値上げが正当化される。2011年のOffice 365提供開始以来、商用サブスクリプション価格は10年間据え置かれていた。2022年に初めて引き上げられ、今回で2度目。間隔は短くなっている。

Business Premiumが据え置かれたこと、Office 365 E1が10ドルのままであることは、すべてが一律ではないことを示している。7月1日以降に更新を控える企業にとっては、組織の利用実態に応じたプランの組み替えや、据え置きプランへの集約が検討すべき選択肢になる。

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