スペースXの初決算:失敗したAI事業が稼ぎ頭になった

スペースXが初の四半期決算を公表した。AI部門の売上は前年比247%増、成長の大半はxAIが作ったデータセンターを競合に貸し出した収益だ。AIレースで負けた設備が、勝者から金を取り始めた。

スペースXの初決算:失敗したAI事業が稼ぎ頭になった

スペースXが初の四半期決算を公表した。AI部門の売上は前年比247%増、成長の大半はxAIが作ったデータセンターを競合に貸し出した収益だ。AIレースで負けた設備が、勝者から金を取り始めた。


負け犬の設備が稼ぐ

2026年2月、スペースXはイーロン・マスク氏のAI企業xAIを吸収した。テネシー州メンフィス近郊の2棟のデータセンターと、AIレースで大きく出遅れたという現実を引き受けた。

チャットボット「グロック(Grok)」はオープンAIやアンソロピックに追いつけなかった。顧客獲得も振るわなかった。スキャンダルは重なった。グロックが「MechaHitler」と自称し始め、2026年1月にはカリフォルニア州司法長官から児童性的虐待素材の生成を理由に差し止め命令を受けた。

行き場を失ったデータセンターに、スペースXは別の使い道を見つけた。自分たちで使うのをやめ、貸し出す。5月にはアンソロピックがコロッサス1施設の全計算能力を月額12億5000万ドルで独占契約した。6月にはグーグルが別の計算資源を月額9億2000万ドルで借り始めた。

現地時間8月4日に発表された第2四半期の決算で、この転換が数字として出た。AI部門の売上は前年同期比247%増の26億1000万ドル。スペースX全体の売上成長分の約18億ドルがここから来た。

三つの部門、一つだけ黒字

接続部門(スターリンク)の売上は前年比66%増の42億9100万ドルで、唯一16億6000万ドルの営業黒字を出した。加入者数は1200万人と前年から2倍になり、四半期でも17%伸びた。

AI部門は26億1000万ドルを売り上げながら、12億6000万ドルの営業赤字だ。ジョンセンCFOは決算電話会議で、新規契約分の利益率は高いと述べた。それでもxAI事業そのものはまだ重荷で、モデル開発コストが大きくのしかかる。

宇宙部門は売上9億6200万ドル(前年比29%増)で5億4200万ドルの赤字。スターシップの研究開発費がかさむ。

スペースX Q2 2026 ― 3部門の業績比較
スターリンク
(接続)
AI
(旧xAI)
宇宙
Q2 2026 実績
売上42.9億ドル26.1億ドル9.6億ドル
前年同期比+66%+247%+29%
営業損益+16.6億ドル-12.6億ドル-5.4億ドル
調整後
EBITDA
+26.0億ドル+11.5億ドル-2.1億ドル
2026年上半期 設備投資
設備投資27.0億ドル235.5億ドル22.3億ドル
前年比+39%+7.1倍+31%
※調整後EBITDAは減価償却・株式報酬等を除く非GAAP指標。設備投資は2026年上半期(Q1+Q2)の合計。前年比はそれぞれ2025年上半期との比較。1ドル=158円換算で42.9億ドルは約6800億円。

78億ドルの売上に対して純損失は5億4100万ドル、前年同期の10億ドルから半減した。調整後EBITDAは35億ドルで、アナリスト予想の20億ドルを大幅に上回った。

「1000億ドルは確定している」

ジョンセンCFOは決算電話会議で、今後6ヶ月で本格稼働するクラウドサービス契約の残高が67億ドルあると明かした。10月以降、段階的に売上に乗ってくる。

マスク氏はさらに踏み込んだ。

「12月に年換算1000億ドルは確定している。何もしなくても到達する数字だ。むしろそれより高くなるだろう」

アンソロピック・グーグルとの契約、カーソルの統合、スターリンクの成長。三つを合わせれば、1000億ドルは確かに届く。

スペースXが受注残として計上した金額は475億ドル。現金等は100億ドル。次の数四半期の売上はある程度見通せる。

市場が信じない理由

それでも株価は時間外取引で最大8%下落した。

問題は設備投資だ。第2四半期だけで184億ドルを投じた。うちAI関連が158億ドルを占める。今年の上半期合計は280億ドルを超え、前年の同期(70億ドル)の4倍だ。アルファベット、メタ、マイクロソフト、アマゾンの決算でも問題視されてきた「AI設備投資の急増」と同じ水準にある。

設備投資の膨張 ― 上半期比較(億ドル)
※数値はスペースX Q2 2026決算資料より。各部門の設備投資はQ1+Q2の上半期合計。2025年上半期合計69.7億ドル、2026年上半期合計284.8億ドル。

設備投資がこのペースで続けば、コンピュート賃貸の利益では到底まかなえない。マスク氏が「確定」と断言する1000億ドルの年換算収益と、280億ドルを超える設備投資。投資家はその両方を同時に見ている。

さらに8月6日、IPO時に配布された株式の一部に対するロックアップが解除される。内部関係者が保有株の最大20%、約9億株を売却できるようになる。株価がIPO価格(135ドル)をすでに下回っている状況で、その売却圧力がどう出るかは未知数だ。

敗れた側の設備で、勝った側から収益を得る企業になった。それが本物のビジネスモデルなのか、設備投資の穴を埋めるための繋ぎなのか、答えが出るのは1000億ドルの12月だ。

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