Steam調査でWindows 11が67.74%へ、Windows 10粘る

Steam調査でWindows 11が67.74%へ、Windows 10粘る
Valve

Valveが公開した4月のSteamハードウェア調査で、Windows 11のシェアが67.74%まで伸びている。サポートが終わったWindows 10も25.63%を保っており、4分の1のSteamユーザーはまだ移行していない。


サポート終了から半年、それでも残るWindows 10ユーザー

Valveの最新Steamハードウェア&ソフトウェア調査が公開された。Windows 11は前月比0.89ポイント増の67.74%まで伸び、Steam上のOSとして主役の地位を固めた。一方でWindows 10は25.63%、わずか0.27ポイントの上昇にとどまった。

注目すべきはこの数字の組み合わせだ。Microsoftは2025年10月14日でWindows 10のメインストリームサポートを正式に打ち切っている。それから半年が経過した時点で、Steamで遊ぶPCの 4分の1 がまだWindows 10で動いている。Microsoftの想定したシナリオは「サポート終了の警告でユーザーが一斉にWindows 11へ移る」というものだったはずだが、ゲーマー人口の動きはそれほど素直ではない。

Steam上のOSシェア(2026年4月)
93.47%
Windows合計
Windows 11
67.74%
Windows 10
25.63%
Linux
4.52%
macOS
2.01%
Windows 7
0.07%
出典:Valve "Steam Hardware & Software Survey: April 2026"。合計値は端数調整の都合で100%にならない場合がある。

Windows全体としては 93.47% まで膨らんだ。前月から1.14ポイントの拡大だ。Linuxが後退した分、ほぼまるごとWindows側に流れている。

なぜWindows 10は崩れないのか

Windows 10のシェアが粘っている背景には、Microsoft自身が用意した「延命装置」がある。Extended Security Updates(ESU)というプログラムで、サポート終了後も1年間、重要な脆弱性パッチを受け取れる仕組みだ。

個人向けのESUは3つの選択肢で加入できる。Windows設定をクラウドにバックアップする(無料)、Microsoft Rewardsポイントを1,000ポイント使う、または30ドルを一度払う。期限は2026年10月13日まで。私はこの設計を見て、Microsoftが最初から「全員を1年で動かす」のは無理だと織り込んでいたのだと感じる。事実上、執行猶予が1年延びた格好だ。

Windows 10 ESU(個人向け)の3つの加入方法
無料プラン ポイント利用 有料プラン
費用 0円 0円 30ドル
(約4,700円)
条件 設定をクラウドに
同期する
Microsoft Rewards
1,000ポイント
Microsoftアカウントで
一度だけ支払い
サポート期限 2026年10月13日 2026年10月13日 2026年10月13日
対象端末数 最大10台 最大10台 最大10台
提供内容 重要・緊急のセキュリティ更新のみ(機能追加・技術サポートなし)
出典:Microsoft "Windows 10 Consumer Extended Security Updates (ESU)" 公式ページ。為替換算は2026年5月時点(1ドル=約157円)。
ESUは延命策であって永続的な選択肢ではない。期限を過ぎれば個人ユーザーの選択肢は事実上「Windows 11へ移る」「使い続ける(ただし自己責任)」「別のOSに乗り換える」の3つに絞られる。

ゲーマーがWindows 10を手放さない理由は単純ではない。Windows 11の最低要件であるTPM 2.0が、まだ現役で動く古いゲーミングPCを公式アップグレードから締め出している。回避策は存在するが、サポートされない手段に踏み込むよりは、有料でも数か月延命したほうが安全だと判断する層が一定数いる。新しいGPUを積んでいてもCPUとマザーボードが要件を満たさないPCは、世界に何百万台もある。

Linuxは5%を突破できなかった

3月の調査でLinuxが5.33%を記録したとき、Linuxゲーミング界隈は「ついに5%の壁を超えた」と沸いた。プラットフォーム史上初めての出来事だったからだ。

ところが4月の数字は 4.52% まで戻っている。0.81ポイントの後退で、3月の数字が異常値だった可能性が高い。同月にはRAM構成のデータも乱れており、調査全体にサンプリングの偏りが出ていたとみられる。FPS Reviewが指摘しているのも同じ趣旨で、3月のLinux 5.33%は統計的なノイズだった可能性が高いという見立てだ。

それでもLinuxが過去数年と比べて確実に拡大しているのは事実だ。背景にあるのはValveのSteam Deck。Steam Deckはユーザーの認識に関わらず、調査上はLinuxユーザーとしてカウントされる。Steam Deckはmid-2025までに約560万台が出荷されたとIDCが推計しており、これがLinuxのベースシェアを底上げしている。

Linuxシェアの上昇は「PCゲーマーがWindowsを捨てている」のではなく、「Linuxを動かすゲーミングハードウェアが新しい層を吸収している」と読み解いたほうが実態に近い。

5%という心理的なラインを安定して超えるには、Steam Deck以外の要素が必要になる。たとえばSteam Machineの再投入、SteamOSのデスクトップ版の正式公開、あるいはWindows 11への決定的な反発。どれも単独ではゲームチェンジャーにならないが、複数が重なったときに5%は本当のフロアになる。


CPUとGPU、変わるものと変わらないもの

ハードウェア構成では、CPUのシェアでAMDが45.19%まで詰めている。Intelは54.81%。両者の差は10ポイントを切り、過去のIntel優勢から徐々に拮抗の構図へ移っている。SteamユーザーにおけるRyzen系CPUの存在感は、もはや少数派の話ではない。

GPU側はNVIDIAが 73.21% で支配的な地位を維持している。AMDは18.6%、Intelは7.81%。RTX 50シリーズの普及はゆっくり進んでおり、4月の調査ではRTX 5070が3位の2.86%まで上昇した。とはいえトップは相変わらずRTX 3060(3.99%)で、Ampere世代のミドルレンジが屋台骨を支える構造は変わっていない。

Steam上のCPU・GPUベンダーシェア(2026年4月)
CPU
GPU(ディスクリート)
出典:Valve "Steam Hardware & Software Survey: April 2026"。CPUは2社合計、GPUは内蔵を除いたディスクリート3社の合計。

メモリは32GBが37.55%まで戻し、16GBの40.86%を追っている。3月に32GB tierが大きく落ちたのもサンプリング起因とみられ、4月の数字で帳尻が合った形だ。28GBという見慣れない構成が0.55%で初登場したのも興味深い。AMDのStrix Halo世代のラップトップが、ユニファイドメモリ28GB構成で出回り始めている兆候だろう。

解像度では1920×1080が依然としてトップの52.21%。1440p(2560×1440)が21.41%まで伸びており、ここ数か月で上昇傾向が続いている。1440p対応モニターが値段を落としてきた影響だ。

67.74%という数字が意味するもの

Windows 11のシェア67.74%は、PCゲーミングが完全にWindows 11中心に再編されたという宣言ではない。むしろ「Microsoftがあれだけ圧をかけても、最大シェアのSteam上ですら7割に届いていない」と読むほうが正確だ。

ゲーマーは、業務PCのユーザーよりも自分のハードウェアにこだわる傾向がある。CPUを選び、GPUを比較し、自分でメモリを積み増す層が多い。そういう人たちが「TPM 2.0がない」「Windows 11のUIが好きじゃない」「ゲーミング性能で目に見える差がない」といった理由でWindows 10にとどまっている。

Microsoftが10月13日のESU期限までにこの25%をどう動かすか、それとも動かさないままで放置するか。残された時間は半年ほどしかない。Windows 11への移行を加速させるのか、それともESUの再延長を選ぶのか。Microsoftにとって、過去のWindows 7のとき以上に厄介な判断が控えている。

数字は淡々としている。だが、その背後では何百万台ものゲーミングPCが、それぞれの理由でアップグレードの手前にとどまっている。


参照元

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