Windows 11、5年越しに「小タスクバー」復活の兆し

Windows 11のプレビュービルドに、Windows 10時代まで存在していた「タスクバー全体を小さくする」モードの初期コードが現れた。リリース時に削除した機能を、Microsoftは5年かけて元に戻そうとしている。

Windows 11、5年越しに「小タスクバー」復活の兆し

Windows 11のプレビュービルドに、Windows 10時代まで存在していた「タスクバー全体を小さくする」モードの初期コードが現れた。リリース時に削除した機能を、Microsoftは5年かけて元に戻そうとしている。


「ボタンだけ小さく」から「バー自体が小さく」へ

Microsoftが現在Devチャネルに配信中のWindows 11 Insider Preview Build 26300.8346に、Windows 10ライクな「小さいタスクバー」モードの初期コードが含まれていることが確認された。発見したのは、Windows関連の隠し機能を継続的に掘り起こしていることで知られる@phantomofearth氏で、ビルド内のウィジェットボタンが新しい小型表示に切り替わる挙動を捉えている。

このビルド自体は2026年5月1日に配信されたもので、Microsoftの公式リリースノートにはRunダイアログ(ファイル名を指定して実行)の刷新やウィジェットの「より静かな既定値」、ファイルエクスプローラーの「ホーム」ページの細かな修正が並んでいる。「小さいタスクバー」モードの存在は公式には一切触れられておらず、内部テスト段階だ。

Windows 11には現状でも「小さいタスク バー ボタン」という設定項目がすでに用意されている。「設定」→「個人用設定」→「タスク バー」→「タスク バーの動作」から有効化でき、アイコンの幅を24×24ピクセルから16×16ピクセルへ縮小して、より多くのアプリを並べられるようにするものだ。ただしこのオプションは、あくまでアイコン側だけを縮める仕組みで、タスクバーそのものの高さは変わらない。

既存のオプションがボタン(アイコン)だけを小さくする仕組みなのに対し、開発中のモードはタスクバー全体の縦幅そのものを縮める。

この差は、現状の機能で物足りなさを感じてきたユーザーには大きい。縦の作業領域がもう一段広がるかどうかという話だからだ。

なぜ5年もかかったのか

Windows 11が2021年に登場したとき、タスクバーは大きく作り直された。スタートメニューが中央に寄せられた一方で、Windows 10にあった「タスクバーの位置を上下左右に動かす」「タスクバー自体を小さくする」「タスクボタンを結合せず一つずつ表示する」といったカスタマイズ項目が一斉に消えた。ドラッグ&ドロップでタスクバー上のアイコンに直接ファイルを渡す動作さえ、当初のビルドからは外されていた。これは後にユーザーの強い要望で戻された経緯がある。

タスクバーが作り直された理由は、設計思想の積極的な選択というより出荷スケジュールの都合だったとされる。5年経って削った部分を一つずつ戻している現在の流れは、その当時の判断が事実上の誤りだったと認めていることに近い。

ここで重要なのは、Microsoftが3月に「Windows 11は道を見失っていた」と認め、性能改善・広告削減・ファイルエクスプローラーの高速化を含む大規模な改修プランを公表していたことだ。発表当初、これに半信半疑だった人は少なくない。同社は過去にも繰り返し「ユーザーの声に応える」と宣言し、そして実装が遅れたり、社内再編でそのまま消えたりしてきた歴史がある。

今回が違うとすれば、約束した機能が実際にプレビュービルドへ次々と落ちてきていること。

たとえば移動可能なタスクバーは、Microsoftが「テスト中」と認めた直後にDevチャネルで動作する様子が確認されている。今回の小さいタスクバーも、Microsoftが過去にWindows Latestの取材へ「リサイズコントロールを戻す方向で作業中」と回答した内容に沿った動きだ。

18項目の改修と、その本気度

Windows 11には現在、合計18項目に及ぶ大型の変更が計画されている。先月配信されたBuild 26200.8328(KB5083631)では、システムトレイの読み込み改善、Windows Helloの指紋認証の安定化、ファイルエクスプローラーの遅さへの対処などがすでに反映された。

予定されている残りの項目には、以下のようなものが含まれる。スタートメニューの基盤刷新、ファイルエクスプローラーのプリロードによる体感速度の改善、ダークモードの一貫性向上(Windows 95時代から残るプロパティダイアログの近代化を含む)、スタートメニューやその他の場所での広告・アップセル表示の削減、メモ帳などにおけるCopilot統合の縮小。スタートメニューはバックエンドをReactベースの実装からネイティブのWinUIへ移行する設計で、Web技術依存からネイティブUIへの回帰という、これも大きな方針転換になる。

並べてみると、ここ数年で「やりすぎた」と批判されてきた領域に、ほぼ一通り手が入っていることがわかる。過去の判断の白紙撤回に近いレベルの方針転換だと言ってよい。

ユーザーにとっての意味

実利の面で言えば、小さいタスクバーモードが正式実装されると、サードパーティ製カスタマイザに頼らなくてよくなる人が一定数出てくる。Windows 11登場後、ExplorerPatcherやStartAllBackといったツールでタスクバーを縮めて使ってきたユーザーは少なくない。これらは月例アップデートのたびに動かなくなるリスクと隣り合わせで、その緊張感を好まない人にとっては、OS標準で同等の選択肢が戻ってくる意味は小さくない。

一方で、過剰な期待は禁物だ。今回ビルドに含まれているのはあくまで初期コードで、設定UIすら通常の手順では現れない。Devチャネルで見つかった機能が一般リリースまで届く期間は、おおむね半年から1年程度が目安で、途中で開発が打ち切られて姿を消す例も珍しくない。

5年前に削った機能が、5年後にプレビュー段階で再登場する。

Windows 11の歴史は、削っては戻す過程として記憶されそうだ。それが軌道修正の早さを示すのか、判断の遅さを示すのかは、最終的に出荷される姿で読者が決めることになる。


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