Windows 11、Win8由来の回転ドット消滅へ

Windows 11、Win8由来の回転ドット消滅へ

サインインや再起動で14年も残り続けていた古いスピナーが、新しい連続リング型に置き換わる。ただしMicrosoftはリリースノートで一言も触れていない。


14年居座った点々が、ついに消える

Windows 11のサインイン画面、サインアウト画面、シャットダウン画面、再起動画面。これらに共通して表示されてきた「白い点が円を描いてぐるぐる回るアニメーション」が、ついに姿を消そうとしている。

このアニメーションは2012年のWindows 8で導入されたものだ。Windows 11が2021年にリリースされてから5年、ベースとなったWindows 8からは実に14年。Microsoftは長らくこのドットを温存してきた。

それが、2026年4月24日に配信されたWindows 11 Insider Preview ビルド26300.8289(Devチャネル)で、起動時のブートスクリーンと同じ新しい連続リング型スピナーに静かに置き換わった。

地味な変更に見えるかもしれない。しかし、これはWindows 11のUI整合性をめぐる長年の不満の象徴的な部分でもあった。

phantomofearthが見つけ、マーカス・アッシュが認めた

この変更を最初に発見したのは、Windows Insiderビルドの隠し機能を掘り起こすことで知られるリーカーのphantomofearth氏だ。同氏は4月25日(日本時間)、Xに「絶妙なタイミングだ。ビルド26300.8289がついにサインイン画面とシャットダウン/再起動画面の点々を、ブートスクリーンの新しい回転アニメーションに置き換えた」と投稿した。

注目すべきは、Microsoft側の反応だ。Windows + Devicesのデザインおよびリサーチを統括するCVP、マーカス・アッシュ(Marcus Ash)氏が、phantomofearth氏の投稿に直接返信している。

Nothing gets by you. You will see more consistency across the majority of use cases with spinning dots! We have a few more to fix before we claim success.(さすが見逃さない。回転ドットの大半のユースケースで一貫性が出てくるはずだ。完了と言えるまでにあと数か所、修正が必要だ)

MicrosoftのデザインCVP本人が、これが意図的なUI統一の一環であり、まだ作業途中だと公に認めた発言だ。「修正すべき箇所がまだ数か所ある」という言葉は、ログイン関連以外にもWindows 8時代のスピナーが残っているUIがあることを示唆している。

With more talk and hope around UI consistency in Windows 11 recently, I really hope these old Win8 spinning dots on the login and shutdown/sign out/etc. screens finally get updated this year. Please.(Win11のUI一貫性をめぐる議論や期待が最近高まる中で、ログイン画面やシャットダウン・サインアウトなどの古いWin8スピニングドットが、今年こそ更新されてほしい。頼む)

phantomofearth氏は今回の変更が見つかる4日前に、こんな投稿をしていた。願いが届いたわけだ。


Microsoftは公式に何も言っていない

奇妙なのは、ビルド26300.8289のリリースノートにこのスピナー変更が一切記載されていないことだ。

公式のリリースノートに並ぶのは、Windows Updateの新機能、印刷ドライバの変更、スタートメニューの改善、Times New Romanフォントの修正といった項目だ。サインイン画面のスピナーが置き換わったという話は、どこにも書かれていない。

つまりこれは、フィーチャーフラグで隠された未告知の変更だ。Microsoftは将来的に有効化する前提で水面下に仕込んでおり、phantomofearth氏のような外部のリーカーが発見しなければ、誰も気づかないまま消えていた可能性すらある。

ViVeToolで先に有効化できる

ビルド26300.8289にアップデート済みで、待ちきれない人は手動で有効化できる。手順は次の通り。

  1. GitHubからViVeToolをダウンロードし、適当な場所に展開する
  2. コマンドプロンプトを管理者として起動し、CDコマンドで展開先フォルダに移動する(例:CD C:\Vive
  3. vivetool /enable /id:59728252 を実行
  4. PCを再起動する

ID 59728252 が今回のスピナー変更を司るフィーチャーフラグだ。なお、ViVeToolは公式サポート対象外のツールで、Insiderビルドかつ自己責任での利用が前提となる。実機環境ではなく、検証用のPCや仮想マシンで試すのが無難だろう。

ViVeToolの存在意義は、Microsoftが公式リリースノートで触れない隠し機能を、有志が掘り起こすための道具という点にある。今回のように「公式が何も言わない変更」を可視化することで、Windows開発の方向性を読み解く手がかりになっている。

なぜ14年もかかったのか

Windows 8由来のドットアニメーションは、当時のメトロデザイン(後のモダンUI)を象徴するエレメントだった。スマートフォンOSの「Windows Phone」と思想を共有し、平面的でフラットな美学を打ち出していた時代の産物だ。

Windows 10、Windows 11と世代を経る中で、MicrosoftはFluent Designへの移行を進め、半透明のマイカ素材、丸みを帯びた角、より滑らかなアニメーションを取り入れてきた。それでも、サインイン画面やシャットダウン画面に表示されるあの点々だけは、なぜか頑なに残り続けていた。

理由は単純に「優先度が低かった」のだろう。サインイン画面やシャットダウン画面のスピナーは、コア機能の動作に直接影響しない周辺パーツだ。バグ修正、性能改善、Copilotの統合といった目立つ作業を優先する中で、UIの古い欠片は後回しにされてきた。

それでも、長く使い続ける人ほど気になる類の不一致でもあった。新しい壁紙、新しい設定アプリ、新しいエクスプローラー、その先で迎えるのが14年前の点々の回転、というチグハグさは、OSの完成度に対する印象を確実に削っていた。

phantomofearth氏のポストには、「ログインのプログレスリングを、操作を示す文言の左側に配置できるようにしてほしい。今はWindows 7と同じく中央配置だ」という別のフィードバックも寄せられていた。マーカス・アッシュ氏のコメント通り、整合性を高める作業はまだ途中なのだ。


ドット1セットの話、ではない

今回の変更を「点々が線に変わっただけ」と片付けるのは、たぶん早い。

ビルド26300.8289には他にも、移動可能なタスクバーの実験的実装、新しい「ファイル名を指定して実行」ダイアログのコンパクト化、ストレージ設定の単位切り替えコントロールなど、UI整合性に関わる変更が複数含まれている。これらは個別に見れば些細だが、まとめると「Windows 11のUIを整え直す」という方向性が浮かび上がる。

マーカス・アッシュ氏が4月初頭にWindows Insider Blogで書いた文章には、「10億人以上のWindowsユーザーのために、より深く声を聞き、より直接関わり、Windowsを改善し続ける」という一節がある。デザイン責任者本人がInsider対話を強化する方針を示したタイミングで、長年放置されたドットが置き換わる。偶然ではないだろう。

ただし、ここまで時間がかかった事実そのものは消えない。MicrosoftがOSの細部を整える速度は、ユーザーの期待ほど速くはない。今回の修正が「整合性回復の本気のスタート」になるのか、それとも「目立つ部分だけ手を入れて終わる」のか。マーカス・アッシュ氏の「あと数か所修正が必要」という言葉が、どこまで広い範囲を指しているのかで答えが決まる。

サインイン画面で滑らかに回るリングを見ながら、次に消えるWin8の遺物はどれだろうか、と考えるのも悪くない。


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