AION 2グローバル版、年内にSteamで登場。祝うには早い

NCSOFTの次世代MMORPG「AION 2」がグローバルPC版として2026年内にSteamとPURPLEでリリースされる。前作の36倍という広大な空を謳う続編の発表に、海外プレイヤーの反応は祝福と警戒に割れている。

AION 2グローバル版、年内にSteamで登場。祝うには早い
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NCSOFTの次世代MMORPG「AION 2」がグローバルPC版として2026年内にSteamとPURPLEでリリースされる。前作の36倍という広大な空を謳う続編の発表に、海外プレイヤーの反応は祝福と警戒に割れている。


発表の中身と「建前」の匂い

NC Americaが日本時間4月22日未明、MMORPG「AION 2」のグローバル版を今年後半にSteamおよびPURPLEでリリースすると正式発表している。Valveのストアではすでにウィッシュリスト登録も始まっている。

公式リリースは三点を強調している。第一に、グローバル版はPCに最適化して構築される。第二に、サーバーは北米、南米、ヨーロッパ、日本に地域別で配置される。第三に、10言語に対応する(英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、日本語、韓国語、ロシア語、中国語簡体字・繁体字)。日本法人エヌ・シー・ジャパンは2025年のG-STARカンファレンスで、日本サービスは2026年後半を目処にグローバルローンチに合わせる予定だと明かしていた。

NC最高事業責任者のペク・スンウク(Seunguk Baek)はプレスリリース内で次のようにコメントしている。

AION 2はコミュニティに耳を傾けながらコンテンツとサービスを進化させてきた。世界中のプレイヤーにも同じ姿勢で、同水準の献身と応答性、ゲームプレイの質を届けたい。

丁寧で、ほとんど反省の匂いがする一文だ。MMORPGの新作発表で「コミュニティ応答性」を繰り返し強調する背景には、去年11月の苦い記憶がある。

韓国版ローンチで起きたこと

AION 2は2025年11月19日に韓国と台湾で先行ローンチした。そしてその日のうちに、NCSOFTの株価はおよそ15%下落した。40台のサーバーは接続不良とキャラクター作成バグで緊急メンテナンスに追い込まれ、キャラクター登録済みユーザーのログインが弾かれる事態も発生した。待機列は3万人を超えた。

炎上の最大の争点は、サーバー不安定でもグラフィックでもなく、課金設計だった。プレイヤーは、事前に「有料販売はしない」と告知されていたはずの戦闘力強化系アイテム——戦闘強化スクロール、ソウルブック——が有料通貨「Quna」(クナ)で販売されている事実を発見した。これに怒ったのは、通常は韓国MMORPGの重課金設計に比較的寛容なはずの韓国プレイヤー自身だった。

開発チーム全体が、より良いゲームにするため全力で取り組んでいる。皆様の信頼と忍耐に感謝する。言い訳はない。本当に申し訳ない。

NCSOFT事業部長のソ・インソプ氏は謝罪配信でこう述べた。運営はキャッシュショップの問題バンドルの削除、強化アイテムの全プレイヤー無償配布、スキル再振り費用の撤廃、消費アイテム価格の半額化を即日決定した。商業的な数字だけを切り取れば、ローンチ2日間で売上100億ウォン超(約680万ドル)をモバイル・PC合算で計上している。日商は約25億ウォン(約160万ドル)規模、サーバー単位の同時接続は最大18万人規模——数字としてはNCSOFTの期待を上回る。だがそれは、プレイヤーの信頼と引き換えに得た数字でもある。


YouTubeコメント欄に並ぶ「既視感」

興味深いのは、今朝のグローバル版発表トレーラーに寄せられた海外プレイヤーの一次反応だ。公式YouTubeに短時間で集まった70件ほどのコメントのうち、祝祭より警戒が目立つ分布になっている。

Please don't compromise the global version by adding pay-to-win mechanics.(頼むから、課金要素でグローバル版を台無しにしないでくれ)

「韓国版は去年出ていて、課金まみれのゴミだった。グローバル版がそうならないことを願う」「韓国MMOから学ばないのか? P2W、RMT、バトルパス、ガチャ、そして最も問題なのはボット、ボット、ボット」「ボット、P2W、RMTが2〜3ヶ月でダメにするまでは楽しめるだろう」——「グローバル版は違う」と信じたい声と、「結局同じだ」と諦観する声が混ざり合う。韓国版の11月のできごとは、トレーラー1本では上書きできないほど深く刻まれている。

NCSOFTがこの発表を、韓国先行から約5ヶ月後というタイミングに設定したのは偶然ではないだろう。2月の大型アップデートでPvPバランスと経済系の調整を済ませ、1月のシーズン2開幕でコンテンツ面の立て直しを図ったあとの、ようやく差し出せるタイミングだった。

「PC最適化」の位置づけ

発表の「PC最適化」宣言には、もう一つ伏線がある。韓国版ローンチ時、プレイヤーからは「PCだがUIがモバイルっぽい」という批判が繰り返し出ていた。NCSOFTはgamescom 2025のQ&Aで、PCとモバイルで別UIを組む必要があったがスケジュール都合でモバイル寄りに統一した、今後のアップデートで改善すると回答していた。

グローバル版はこの反省の延長線上にある。Unreal Engine 5で構築され、DLSS 4のマルチフレーム生成に対応、さらに2026年3月にNVIDIAが発表したニューラルレンダリング技術「DLSS 5」のローンチパートナーにもNCSOFTが名を連ねている。韓国版がモバイル先行でPCはPURPLE経由だったのに対し、グローバル版は最初からPC前提で、配信経路としてSteamを選んだ。5月にはグローバルプレイヤー向けのイベントを開催し、コミュニティとの対話を行う予定だという。

面白いのは、韓国と台湾ではグローバル版Steamページがジオロック(地域制限)でそもそも表示されないことだ。NCSOFTはこの両地域を、グローバルの対象外として明確に線を引いた。つまりSteam版は、モバイル課金文化圏から意図的に切り離されたバージョンとして構想されている。


世界設定としてのAION 2

ゲームそのものの設計は、前作AIONを知る者にとって違和感なく続編と呼べる作りになっている。時代設定は前作の200年後、「永遠の塔」崩壊後の世界アトレイア。前作同様、天族と魔族の対立を軸としつつ、新たに力を増した「バラウル派」(原作での龍族に相当する勢力)と天族・魔族が向き合う構図が物語の核になっている。

空中戦は単なる移動手段ではなく、あらゆるゾーンとPvPの設計思想に組み込まれている。8種のクラス——クレリック、テンプラー、グラディエイター、レンジャー、アサシン、ソーサラー、スピリットマスター、チャンター——がホーリートリニティを構成し、オート戦闘なしの手動回避とスキルチェーンを軸に据える。世界は前作の36倍の広さ、水中探索と空中戦闘が同居する。

日本のMMORPGプレイヤーにとってAIONといえば、エヌ・シー・ジャパンが「タワー オブ アイオン」として長年運営してきたタイトルだ。2009年からのサービスを経て、その続編が日本語対応でSteamにやってくる。日本サーバーが用意されるというアナウンスは、少なくともレイテンシ面では悪くない話だ。

残された論点

グローバル版に対してプレイヤーが本当に見ているのは、5月のイベントで語られるビジネスモデルの中身だ。韓国版と同じ有料通貨Qunaベースの強化系アイテム販売を続けるのか、それとも西側市場向けに抑制的なモデルを採用するのか。この判断一つで、祝祭にも再炎上にもなる。

NCSOFTは韓国版の炎上後も、ローンチ直後は日商150万ドル規模を維持していることを投資家向けに強調してきた。ここでグローバル版だけマネタイズを大きく緩める選択は、株主への説明が難しい構造になっている。コミュニティ応答性と収益効率のどちらに重心を置くか、5月の発表は踏み絵に近い。

AIONは、空を飛ぶことに意味を与えた数少ないMMORPGだった。続編が同じ地平に立てるかどうかは、飛んでいる先にプレイヤー同士の対等な戦いがあるかで決まる。


参照元

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