岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
Nintendo Switch 2にシャープ製LCD。改善か、格差か

ゲーム

Nintendo Switch 2にシャープ製LCD。改善か、格差か

Nintendo Switch 2の携帯モードで指摘されてきたゴースティング問題に、パネル変更の兆しが出た。中国の転売サイトに現行のイノラックス製とは設計が異なるシャープ製とみられる新型LCDが出現したが、応答速度が改善されるかは確認されていない。 発売以来最大の不満点 Nintendo Switch 2のLCDは、発売直後から応答速度の遅さを指摘されてきた。Monitors Unboxedが2025年6月に行ったテストでは、60Hz駆動時のグレー・トゥ・グレー応答時間は平均33ミリ秒。同じ条件で測定した初代Switchの21ミリ秒と比較して約50%遅い。16.67ミリ秒ごとに画面が更新される60Hzの表示では、パネルが色の遷移を終える前に次のフレームが来てしまう。動きの速い場面で前のフレームの像が消えきらず、ゴースティングとして視認される。 Digital Foundryも同様の結論に達しており、Switch 2のLCDは2017年の初代Switch以上にモーションブラーが悪化していると報告している。120Hz対応を謳いながら、パネルがその速度についていけなかった。

Microsoft、重要製品の暗号を2029年までに量子耐性へ移行

セキュリティ

Microsoft、重要製品の暗号を2029年までに量子耐性へ移行

量子コンピュータが既存の暗号を破る日は、もう「遠い将来」ではない。Microsoftが現地時間6月30日、重要な製品とサービスの暗号を2029年までにポスト量子暗号(PQC)へ切り替えると発表した。同じ6月にホワイトハウスも大統領令で連邦政府の移行期限を設定しており、PQCは備えの段階を終えて期限つきの実装作業に入った。 2029年という期限の意味 Azure CTOのマーク・ルシノビッチ(Mark Russinovich)氏が公式ブログで発表した。Microsoft Quantum Safeプログラム(QSP)のタイムラインを前倒しし、重要な製品とサービスを2029年までにPQCへ移行する。PQCへの対応要件は、同社のセキュリティ強化プログラムセキュア フューチャー イニシアティブ(SFI)にも組み込まれる。 従来、Microsoftは組織にPQCへの備えを促しつつも、具体的な移行期限は示していなかった。今回初めて年限を切った。 Microsoftだけではない。6月に入ってから、PQCをめぐる期限の設定が各所で同時に動いた。 ホワイトハウスは6月22日、大統領令14409

Anthropicが「Claude Science」発表。自社創薬も開始

AI

Anthropicが「Claude Science」発表。自社創薬も開始

Claude Codeがソフトウェア開発の現場を変えたように、今度は実験室を変える。Anthropicが現地時間6月30日に発表したClaude Scienceは、その意志を製品にしたものだ。新しいAIモデルではない。60以上の科学データベースと接続し、ゲノミクスからタンパク質構造解析、化学情報学まで、研究者が日常的に使うツールを一つの環境に統合するワークベンチだ。同時にAnthropicは、従来の製薬企業が手を出さない「顧みられない疾患」に焦点を当てた自社の前臨床プログラムの開始も明らかにした。 Claude Codeの次はClaude Science Anthropicは2025年10月にClaude for Life Sciencesを公開し、Claudeを生命科学のタスクに最適化する取り組みを始めていた。今回のClaude Scienceは、その延長線上にある専用ワークベンチという位置づけになる。 研究者の日常は断片化している。PubMedで論文を検索し、Jupyterでコードを書き、Rで統計処理を行い、HPCクラスターにジョブを投入し、結果をまた別のツールで可視化する

BlueHammer、ランサムウェアに転用。CISAが警告

セキュリティ

BlueHammer、ランサムウェアに転用。CISAが警告

4月に修正済みのWindows Defenderの権限昇格脆弱性が、2か月半後のいまランサムウェア攻撃に使われている。パッチ未適用の端末で身代金を要求される事態が、現実になった。 パッチ公開から77日、悪用は止まらなかった 米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は現地時間6月30日、Windows Defenderの権限昇格脆弱性CVE-2026-33825(通称BlueHammer)について、KEV(悪用が確認された脆弱性)カタログのランサムウェア欄を「確認済み」に更新した。 BlueHammerは4月初旬にセキュリティ研究者ナイトメア・エクリプス(Nightmare Eclipse)が実証コードとともに公開し、Microsoftが4月14日の月例パッチで修正した脆弱性だ。CISAは4月22日の時点でKEVカタログに追加し、連邦機関に5月7日までの対処を命じていた。今回の更新は、当初のゼロデイ悪用に加え、ランサムウェア攻撃への転用が確認されたことを意味する。 BlueHammer(CVE-2026-33825)経緯 4月3日実証コード公開

Nano Banana 2 Lite、1枚約6円で最上位Proを超えた

AI

Nano Banana 2 Lite、1枚約6円で最上位Proを超えた

Googleが6月30日に発表したNano Banana 2 Liteは、Nano Bananaファミリーで最も安く、最も速い。画像生成品質のベンチマークでは、最上位のNano Banana Proを上回った。API利用料は1K解像度の画像1枚あたり0.034ドル(約5.5円)、生成は4秒。同時に、動画生成モデルGemini Omni FlashのAPI提供も開始された。 最安モデルが最上位を食った 2月にNano Banana 2が発表されたとき、Googleの画像生成AIは「速度のFlash、品質のPro」という二層構造だった。Nano Banana 2はその中間を埋め、Pro品質をFlashの速度で提供するモデルとして登場した。 0:00 /1:20 1× 4か月後に出たNano Banana 2 Liteは、その構造を壊した。 正式名称はGemini 3.1 Flash Lite Image。Gemini 3.

Xbox、Blade中止と5スタジオ閉鎖を検討との報道 7月6日の人員削減情報も

Xbox

Xbox、Blade中止と5スタジオ閉鎖を検討との報道 7月6日の人員削減情報も

Xboxが開発中のMarvel's Bladeをキャンセルし、開発元のArkane Lyonを含む少なくとも5つの傘下スタジオの閉鎖または売却を検討していることが、複数の関係者への取材で7月1日に報じられた。 レイオフは7月6日に開始される見通しで、最大1000人が職を失う可能性がある。6月15日に報じられたニンジャセオリー(Ninja Theory)、ダブルファイン(Double Fine)、コンパルジョン・ゲームズ(Compulsion Games)の3スタジオに加え、Undead Labs(アンデッドラボ)とArkane Lyonが加わったことで、Xboxの構造改革は当初の報道を超える規模に膨らんでいる。 5月に「素晴らしい出来」、7月にキャンセル検討 今回の報道で最も衝撃的なのは、Bladeをめぐる経緯だ。 ベセスダ(Bethesda)のトッド・ハワード(Todd Howard)氏は5月21日にArkane Lyonを視察し、Bladeの開発状況を確認している。後日公開されたインタビューで、Arkaneのチームは「本当に素晴らしい仕事をしている」と語った。6月には、A

Claude Sonnet 5、Opus 4.8に迫る性能で即日提供開始

AI

Claude Sonnet 5、Opus 4.8に迫る性能で即日提供開始

Anthropicが現地時間6月30日、Claude Sonnet 5を発表した。同社のSonnetシリーズでは過去最高のエージェント性能を備え、全プランで即日利用可能になっている。無料プランとProプランではデフォルトモデルがSonnet 4.6から切り替わった。 4カ月で世代交代 2月にSonnet 4.6が出たとき、中価格帯モデルがフラッグシップに肉薄したことが話題になった。Sonnet 5はその延長線上にあるが、到達点が違う。 Anthropicが公開したベンチマークでは、エージェントコーディング指標のSWE-bench Proで63.2%を記録し、Sonnet 4.6の58.1%から5ポイント上昇した。上位モデルOpus 4.8は69.2%で、差は6ポイントに縮まっている。Terminal-Bench 2.1ではSonnet 5が80.4%、Sonnet 4.6は67.0%、Opus 4.8が82.7%。ナレッジワーク指標のGDPval-AA

AI導入企業ほど雇用増。2万2000社分析で判明した不都合な条件

AI

AI導入企業ほど雇用増。2万2000社分析で判明した不都合な条件

AIは雇用を奪うのか、増やすのか。答えは「どちらも起きている」であり、その分岐点は技術ではなく資本にある。約2万2000社のAI支出と従業員データを突き合わせた最新レポートが示したのは、AIに本腰を入れて投資した企業だけが人を増やしているという厳しい現実だった。 同じ技術で正反対の結果 企業向け経費管理のフィンテック企業ランプ(Ramp)と、労働市場の人事データ分析を手がけるRevelio Labsが共同で公表したレポートが、AIと雇用をめぐる議論に新しい数字を持ち込んだ。 約2万1559社の米国企業を対象に、法人カード・請求書払いのデータから各社のAI関連支出を追跡し、それぞれの従業員記録と突き合わせた調査だ。分析期間は2021年1月から2026年2月まで。 AIへの支出が特に多い企業、レポートが「高強度導入企業」と呼ぶ層(導入後最初の3か月間で従業員1人あたり月平均30ドル以上をAIに支出した企業)は、従業員数が10.2%増加した。エントリーレベル、つまり新卒・若手の雇用に限ると、増加率は12%に上る。 職種別でみても、エンジニアリング、営業、管理、カスタマーサービス、

台湾、Supermicro台湾オフィスと流通2社を一斉捜索

半導体

台湾、Supermicro台湾オフィスと流通2社を一斉捜索

先月拘束された密輸業者3人は、サーバーを中国へ運ぶ実行犯だった。台湾の検察が次に追ったのは、実行犯にサーバーを渡した企業内部の人だ。 捜索対象が「流通」に広がった 基隆地方検察署は6月29日、NVIDIA製AIチップ搭載のSupermicro製サーバーを中国・香港・マカオへ密輸した疑いに絡み、第2波の捜索を実施した。対象はSupermicro台湾オフィス、Supermicroの販売代理店である青雲国際科技(証券コード5386)、データセンター事業者の是方電訊(同6561)の3社と、関係者6人の自宅を含む計12か所。6人は偽造文書と背信の容疑で事情聴取を受けた。 5月20日の第1波捜索は、密輸の実行役とされる3人の業者を対象としたものだった。今回は違う。捜査の矛先がサーバーの売り手と流通経路そのものに向いた。 台湾メディアの報道によれば、第1波で拘束した3人の供述がきっかけだった。検察は、密輸業者が管制品のサーバーを入手できた背景に大手企業の内部関係者の協力があると判断した。Supermicro台湾オフィスからは王姓の管理職と業務担当者の計4人、青雲から幹部1人が連行され、是方

Microsoft 365、ストア版は年末でセキュリティ更新終了

Microsoft365

Microsoft 365、ストア版は年末でセキュリティ更新終了

同じWord、同じExcel。見た目も機能も変わらない。だが、Microsoftストアからインストールしたか、Microsoftのサイトからインストールしたかで、2026年12月以降の運命が分かれる。ストア版のMicrosoft 365 Appsは、年末にセキュリティ更新が打ち切られる。 同じOffice、違う仕組み Microsoftが改めて告知した。Microsoftストア経由でインストールされたMicrosoft 365 Appsのサポートが終了する。新機能の更新はすでに2025年10月で止まっており、セキュリティ更新も2026年12月で終わる。以降はクイック実行(Click-to-Run)版への移行が必須になる。 この情報は2025年3月にMicrosoftのサポートドキュメントで公開され、同年7月に報じられている。今週、Microsoftが同ドキュメントを改めて周知したことで再び注目された。 ただ、ほとんどのユーザーは自分のOfficeがどちらの方式で入っているか知らない。 ストア版とクイック実行版は、起動してしまえば見分けがつかない。WordはWordとして動く

アフラック、438万人の個人情報漏洩。口座情報23万人分を含む

セキュリティ

アフラック、438万人の個人情報漏洩。口座情報23万人分を含む

アフラック生命保険が6月30日、契約者専用サイト「アフラック よりそうネット」への不正アクセスにより、約438万人分の個人情報が漏洩したと発表した。うち約23万人分には保険料振替口座の情報が含まれる。日本での大規模漏洩は2023年の委託先経由の130万人に続いて3度目。今回は委託先ではなく自社システムが直接破られており、流出した情報の種類も過去最悪の水準にある。 10日間、侵入に気づけなかった アフラック生命保険が同日付で公開したプレスリリースと、親会社がSECに提出した8-K。両方を突き合わせると、時系列はこうなる。 不正アクセスが最初に発生したのは2026年6月15日(月)。以降、6月25日まで複数回にわたり侵入が繰り返された。アフラック側がこれを発見し、アクセスを遮断したのは6月25日。発見と同時に関連システムを停止し、外部のサイバーセキュリティ専門家を起用して調査を開始した。公式発表はそこから5日後の6月30日。金融庁と警察にはすでに報告済みとされている。 最初の侵入から検知まで10日。この間、アフラックのシステムは外部からの不正アクセスにさらされ続けていた。SECへ

AMD、Radeon GPU+メモリの供給価格を7月から約10%引き上げへ

GPU

AMD、Radeon GPU+メモリの供給価格を7月から約10%引き上げへ

Radeon RX 9000シリーズのグラフィックカードが、また値上がりする。 AMDが複数のAIBパートナーに対し、GPU+VRAMバンドルの供給価格を約10%引き上げると通知した。7月から適用される見通しで、対象にはサファイア、ASUS、XFXなどが含まれる。中国のサプライチェーンフォーラムBoard Channelsへの投稿が情報源で、AMD自身は公式に認めていない。 半年で3度目の値上げ通知 AMDがAIBに値上げを通知するのは、これで少なくとも3回目になる。 2025年11月、最初の通知が出された。16GBモデルで約40ドル(当時の換算で約6400円)、8GBモデルで約20ドル(約3200円)の引き上げだった。Radeon RX 9070 XTの国内最安値は当時9万円前後だったが、年明けには11万円台まで上がった。 2026年2〜3月に第2波が来た。引き上げ幅は5〜15%で、理由は同じくメモリコストの上昇だった。 今回が第3波になる。引き上げ幅は約10%。6月中旬には「検討中」「未確認」とされていた情報が、6月30日の博板堂への投稿では「正式通知」の段階に進んだ

ソニー、購入済み映画551本を削除へ。返金なし

PlayStation

ソニー、購入済み映画551本を削除へ。返金なし

PS Storeで「購入」した映画が、9月1日に消える。ソニーが英国と欧州のPlayStationユーザーに送った通知は、デジタルコンテンツの「購入」がそもそも何だったのかを突きつけている。 「購入済みコンテンツは削除されます」 ソニーは2026年6月下旬、英国および欧州のPlayStationユーザーに対し、スタジオカナル配給の映画・テレビ番組551本を2026年9月1日付でライブラリから削除すると通知した。対象にはターミネーター2、トータル・リコール、マルホランド・ドライブ、ブリジット・ジョーンズの日記、パディントン、パンズ・ラビリンスといった作品が含まれる。 通知にはこう書かれている。 「2026年9月1日より、コンテンツライセンス契約により、以前ご購入いただいたスタジオカナルのコンテンツにアクセスできなくなり、ビデオライブラリから削除されます」(ソニーのユーザー向け通知) 返金には一切触れていない。ダウンロードして保存する手段もない。購入したコンテンツが、一方的に、消える。 米国のユーザーには影響がない。英国と欧州だけだ。同じコンテンツ、同じ「購入」ボタン、同じP

AMD Zen 6、3種目のコア「LP」がLinuxパッチで判明

AMD

AMD Zen 6、3種目のコア「LP」がLinuxパッチで判明

Zen 6のコア構成が2種類では終わらないという話は、リーク段階から出回っていた。Classicコア、Denseコア、そしてもう1つ。2026年6月29日、AMDのエンジニアがLinuxカーネルのメーリングリストに2本のパッチを投稿した。その「もう1つ」を公式に裏付ける内容だった。 性能でも効率でもない、3つ目の分類 パッチを投稿したのはAMDのヴィシャル・バドレ(Vishal Badole)氏。内容は、Linuxカーネルのx86トポロジにおけるCPUコアタイプの分類を拡張するものだった。従来はPerformance(性能)とEfficiency(効率)の2種類しかなかったところに、Low Power(低電力)という第3のタイプを追加する。 パッチの説明文によれば、AMDのヘテロジニアスプロセッサはCPUID命令の拡張トポロジ情報でコアタイプを報告する。値「2」が低電力コアを示す。バックグラウンド処理やアイドル時の消費電力を最小限に抑えることに特化したコアだという。 パッチが対処している実務上の問題は2点ある。1つは、Linuxのデバッグ用インターフェースが現時点でこの低電力