Nintendo Switch 2にシャープ製LCD。改善か、格差か

Nintendo Switch 2にシャープ製LCD。改善か、格差か
任天堂

Nintendo Switch 2の携帯モードで指摘されてきたゴースティング問題に、パネル変更の兆しが出た。中国の転売サイトに現行のイノラックス製とは設計が異なるシャープ製とみられる新型LCDが出現したが、応答速度が改善されるかは確認されていない。


発売以来最大の不満点

Nintendo Switch 2のLCDは、発売直後から応答速度の遅さを指摘されてきた。Monitors Unboxedが2025年6月に行ったテストでは、60Hz駆動時のグレー・トゥ・グレー応答時間は平均33ミリ秒。同じ条件で測定した初代Switchの21ミリ秒と比較して約50%遅い。16.67ミリ秒ごとに画面が更新される60Hzの表示では、パネルが色の遷移を終える前に次のフレームが来てしまう。動きの速い場面で前のフレームの像が消えきらず、ゴースティングとして視認される。

Digital Foundryも同様の結論に達しており、Switch 2のLCDは2017年の初代Switch以上にモーションブラーが悪化していると報告している。120Hz対応を謳いながら、パネルがその速度についていけなかった。

LCD応答速度の比較(60Hz駆動・GtG)
遅いほど残像が残る。Switch 2の33msは1フレームの約2倍かかる 出典: Monitors Unboxed (2025年6月)

原因として有力視されているのがオーバードライブの不在だ。液晶層により高い電圧をかけて画素の遷移を高速化する技術で、ゲーミングモニターではほぼ標準搭載されている。Switch 2がこれを省いた理由は、おそらくバッテリー寿命の確保にある。初代比で画面が大きく(6.2→7.9インチ)、解像度が高く(720p→1080p)、輝度も上がった(320→430ニト)。バッテリー容量は19Whと、Steam Deckの約半分しかない。オーバードライブを省かなければ、携帯機として成立しなかった。

任天堂はシステムアップデートでHDRの表示品質を改善してきたが、応答速度はハードウェアの物理特性であり、ソフトウェアでは根本的に解決できない。唯一の解決策は、パネルそのものを変えることだった。

中国転売サイトに現れた新パネル

2026年6月29日、Nintendo Patents Watchが新型LCDパネルの存在を報告した。中国の転売サイトに出品されたそのパネルは、型番LS079T1SX10P。シャープの命名規則に基づくと、LSはシャープのLTPS、079は7.9インチ、Tは1080p解像度を示すとみられる。現行のSwitch 2と同じ画面サイズ、同じ解像度だ。

Nintendo Patents Watch (@ninpatentswatch.bsky.social)
A new model of Switch 2 LCD panel, most likely by Sharp, has surfaced on a Chinese resale site (img 1). Compared with the launch model from Innolux (img 2), the exposed circuit, connector, and cables are significantly different (imgs 3-4), indicating an updated design—not merely a minor revision. 1/

現行モデルのパネルはイノラックスが組み立てを担当し、ガラス基板(オープンセルと呼ばれる)にはシャープのLTPSガラスが使われていた。新パネルでは、シャープが組み立てまで一貫して手がけている可能性がある。

見た目で最も明確に異なるのは、パネル裏面に露出した回路基板、フレキシブルケーブルの配線、コネクタの配置だ。Nintendo Patents Watchは、これらの差異が単なる部品変更ではなく設計レベルの見直しを示していると指摘している。

AliExpressでは既にこのパネルが「V2」Switch 2向けとして出品されており、現行の「V1」モデルとは互換性がないとされている。ただし、Nintendo Patents Watch自身がこの点について注意を促している。出品者の説明は機械翻訳に基づいており、「V1」「V2」はパネルの世代を指しているだけで、本体のリビジョンを意味するとは限らない。

シャープの財務報告が傍証となっている。白山工場が2025年9月以降、モバイル向けディスプレイの販売を拡大したと開示しており、Nintendo Patents Watchはこの時期がSwitch 2のパネル供給と一致すると指摘している。

改善は確定ではない

新パネルが応答速度を改善するかどうかは、誰も確認していない。

設計が異なることは確かだが、それが表示品質の向上を意味するとは限らない。コスト削減でサプライヤーを切り替える、EUバッテリー交換規制に合わせて内部レイアウトを変える。パネル設計が変わる理由はいくつもある。任天堂は2027年2月18日施行のEUバッテリー規制に対応し、ユーザーがバッテリーを交換可能なSwitch 2の新モデル(型番にOSMコードが付与される)を準備中だと既に発表している。パネル変更がこのEU対応モデルの設計変更に付随する可能性は十分にある。

現時点で、表示品質や応答速度、輝度、HDR性能に変化があるかどうかを裏付ける情報は存在しない。

ゴースティングはソフトウェアでは解決できないことを任天堂は理解しているはずだ。HDRの表示品質はシステムアップデートで改善してきた。ソフトで直せるものは直す。残ったのがパネルの応答速度であり、ここにパネル変更が起きたという事実は、意図的な改善を示唆する。

ただし、示唆と確定は違う。

ハードウェアロッタリーの再来

仮に新パネルで応答速度が改善される場合、問題は既に購入済みのユーザーとの格差だ。

現行のSwitch 2のディスプレイ体験は人によって評価が分かれる。ゴースティングが気になって初代Switchに戻ったという声がある一方、気づきもしないという人も多い。携帯モードで横スクロールゲームを遊ぶ人ほど影響を受けやすく、ドック接続でテレビに出力する人にはほとんど関係がない。

Nintendo Patents Watchは、現行パネルが既に廃止されたのか、任天堂が2社からの調達に切り替えたのかは不明だと述べている。後者の場合、同じ店頭で購入しても中身のパネルが異なるという「パネルロッタリー」が起きる。ゲーミングモニターの世界では馴染み深い現象だが、家庭用ゲーム機でこれが起きると、消費者の不信感は格段に大きくなる。

初代Switchでも2019年にバッテリー持続時間を大幅に改善したマイナーチェンジがあった。あのときはパッケージの色(白→赤)と型番の違いで新旧が区別できた。今回、任天堂がパネル変更を行うなら、同じような透明性のある対応が求められる。

なお、OLEDモデルへの期待も根強いが、今回のパネルはLCDのままだ。Switch 2にOLEDが採用される場合、パネル供給はサムスンが有力とみられており、シャープ製LCDとは筋が異なる。

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