マイクロソフト4,800人削減。「AIではない」とXbox史上最大再編
マイクロソフトが7月6日、全世界で約4,800人の削減を発表した。Xbox部門ではシリーズ史上最大の再編が始まり、4スタジオが独立または新経営陣に移管される。
何が起きたか
マイクロソフト公式ブログで7月6日に公開されたエイミー・コールマン氏(EVP兼最高人事責任者)の声明によると、削減対象は全従業員約22万人の約2.1%で、主な対象は商業部門(Commercial Business)とXbox部門だという。
コールマン氏は「今回なくなるポジションはAIによって置き換えられているわけではない」と明言した。一方で「AIが仕事の進め方を変えている。毎日こなしていた作業の一部は自動化できるようになった」と記しており、AIとの関わり自体は否定していない。
同じ声明でコールマン氏は「テクノロジーの構築・展開・利用が変化するほど急速に、顧客のニーズもビジネスモデルも変化した。企業はその変化に対応するかどうかを選択できるが、変化すること自体は選べない」と削減の根拠を説明した。
削減に先立つ1年間で、マイクロソフトは社内異動により4,000人超を新たなポジションに配置転換している。今月はさらに500人が移る予定だ。今回の発表に先立って、対象者の約30%が希望退職プログラムに応募しており、その分だけ削減規模が抑えられた。
Xboxの解体と再編
全社4,800人のうち、Xbox部門だけで最終的に約3,200人が削減される。2027会計年度(FY27)を通じた数字で、7月6日の時点では1,600人に影響が及んだ。これはXboxの全従業員のおよそ20%に相当する。
4つのスタジオがXboxを離れる。『We Happy Few』や『South of Midnight』で知られるCompulsion Gamesと、ティム・シェーファー氏が率いてきたDouble Fine Productionsは独立スタジオとして再出発する。
『Senua's Saga: Hellblade』シリーズを手がけたNinja Theoryと、『State of Decay』シリーズを開発中のUndead Labsは、新たな経営陣に移管される。
| スタジオ | 代表タイトル | 処遇 |
|---|---|---|
| Compulsion Games | South of Midnight | 独立 |
| Double Fine | Psychonauts 2 | 独立 |
| Ninja Theory | Hellblade | 新経営陣移管 |
| Undead Labs | State of Decay 3 | 新経営陣移管 |
| Arkane Lyon | Marvel's Blade | 協議中 |
XboxのCEOアシャ・シャルマ氏はXbox Wireで社内メールを公開し、「これはXboxの歴史上最も重大な再編だ」と記した。Xbox部門の利益率は比較可能なプラットフォーム事業やパブリッシング事業の3〜10分の1にとどまり、スタジオに投じた1ドルあたり64セントの損失が生じていたことも明示した。シャルマ氏はXboxの現状を「健全ではない」と認めており、この認識は6月10日の「Xboxリセット」声明から変わっていない。
「AIではない」は正確か
コールマン氏は「AIが個々の職を直接置き換えた」という主張を否定した。マイクロソフトは2026年に約1,900億ドルをAIインフラやデータセンターに投じると公表しており、そのためのコスト圧力が人員削減の背景にあることは財務的に否定できない。株価は2026年に入って約19%下落しており、ウォール街からの収益改善圧力は公知の事実だ。
「AIに仕事を奪われた」のではなく「AIに投資するために人件費を削る必要があった」という読み方は、声明の論理とも矛盾しない。どちらかを選ばなければならない問いではない。
削減は続く
2025年には春と夏の2回に分けて約1万5,000人が削減されており、今回の4,800人を加えると直近1年強の削減合計は約2万人に達する。マイクロソフト株は2025年後半の最高値から約30%下落し、時価総額換算で約1.2兆ドルが失われた。
技術業界全体を見ると、2026年は7月時点ですでに16万人超のレイオフが記録されている(TrueUp調べ)。マイクロソフトの4,800人はその一部だが、この削減はXboxブランドと4スタジオの具体的な解散・売却を伴っている。
| 指標 | 数値・内容 |
|---|---|
| 全社削減(7月6日) | 約4,800人 — 全体の2.1% |
| Xbox削減(FY27通期) | 約3,200人 — Xboxの約20% |
| Xbox(7月6日時点) | 1,600人 |
| 直近1年強の合計 | 約2万人 |
| 2026年AI投資 | 約1,900億ドル |
| 株価下落(最高値比) | 約30%下落、時価総額約1.2兆ドル消失 |
Compulsion GamesやDouble Fineが独立後にどの体制で制作を続けるのか、Ninja TheoryとUndead Labsの「新たな経営陣」が誰を指すのか、いずれも現時点では明かされていない。
声明はもう一つのスタジオにも触れている。Marvel's Bladeを開発中のArkane Lyon(アルカン・リヨン)だ。シャルマ氏はArkane Lyonについて「Works Council(従業員代表委員会)との協議を開始し、戦略的オプションを検討する」と記すにとどまった。フランスの法律では人員削減や組織変更に際して同委員会との協議が義務づけられており、他スタジオのように「独立」「新経営陣への移管」といった明確な言葉は使われていない。
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