Xbox組合員3500人、大量解雇への対抗を宣言

Xbox組合員3500人、大量解雇への対抗を宣言
Microsoft

マイクロソフトのゲーム部門Xboxが7月の大規模レイオフを控える中、全米通信労働組合(CWA)が現地時間6月29日にオンライン記者会見を開催した。参加者は200人超。Xbox傘下のスタジオに所属する3500人超の組合員が、使い捨てにはならないと声を上げた。会見の日付は偶然ではない。マイクロソフトの会計年度末である6月30日の前日だ。


買収時の約束と、その後の現実

CWAとマイクロソフトが2022年に結んだ労働中立性合意は、690億ドルのアクティビジョン・ブリザード・キング買収を前に進めた要因のひとつだった。従業員が経営陣の妨害なく組合を結成できる枠組みを約束することで、規制当局への説明材料にもなった。合意から4年、3500人以上がCWA傘下の組合に加わっている。

だが組合結成は、解雇を止める盾にはなっていない。2024年のスタジオ閉鎖、2025年の1万5000人規模の人員削減を経て、2026年7月にはさらに大規模なレイオフが控えている。6月10日、新CEOアーシャ・シャルマ(Asha Sharma)氏とチーフコンテンツオフィサーのマット・ブーティ(Matt Booty)氏が社内メモ「100日リセット」を公開した。5年間で200億ドル以上を投じながら売上が約5億ドル減少し、利益率は3%まで落ちている。

労働中立性合意からの4年間
2022年6月
CWAとマイクロソフトが労働中立性合意を締結
ABK買収を前に進める条件のひとつ
2024年1月
ゲーム部門で約1900人を解雇
Tango Gameworks、Arkane Austin閉鎖
2025年7月
全社で1万5000人規模の人員削減
ゲーム部門でもプロジェクト中止・スタジオ再編
2026年6月
「100日リセット」メモ公開
利益率3%、5年間で売上約5億ドル減を認める
6月29日
CWA記者会見、3500人超が対抗宣言
事前通知・社内異動・退職手当の保護を要求
2026年7月
大規模レイオフ予定
ニンジャセオリー等3スタジオが閉鎖・売却交渉中
※2024年1月の解雇数はABK買収完了直後の統合に伴うもの。2025年の人員削減は全社規模でありゲーム部門以外も含む

ニンジャセオリー(Ninja Theory)、ダブルファイン(Double Fine)、コンパルジョン・ゲームズ(Compulsion Games)の3スタジオは、閉鎖もしくは売却の交渉に入っている。

「金はある。行き先を選んでいるだけだ」

記者会見の冒頭に立ったCWA第9地区副委員長フランク・アルセ(Frank Arce)氏は、組合員に限らずXbox全従業員を対象として、レイオフへの対抗を宣言した。コンソール値上げを引き合いに出し、「金はある。経営陣が行き先を選んでいるだけだ」と述べている。

続いて、複数のスタジオから現場の声が上がった。

ゼニマックス・オンラインのエルダー・スクロールズ・オンライン開発者モーガン・ゴイン(Morgan Goin)氏は、アーケイン・オースティン(Arkane Austin)の閉鎖をきっかけにCWAに加入した。目標を達成していると経営陣に保証された直後のスタジオ閉鎖は、完全な衝撃だったと振り返っている。

アクティビジョンで6年間QAテスターとして働くアンドリュー・スネル(Andrew Snell)氏は、契約社員の一斉解雇で職を失い、再応募してようやくチームに戻った経験を語った。

ブリザードの編集者アリソン・ヴェネト(Alison Veneto)氏は、組合員が求めているのは事前通知、採用凍結による社内異動の優先、十分な退職手当といった保護措置であり、レイオフが避けられないとしても、会社があらゆる選択肢を尽くした後でなければならないと訴えた。

同じくブリザードでディアブロIVのシニア環境アーティストを務めるマーリーン・ファティマ(Mahreen Fatima)氏は、AIに数十億ドルを投じながらメモリ不足を理由にXbox Seriesを値上げし、同時に従業員を切るマイクロソフトをこう評した。「守らないことを選んでいるだけだ」。

Xboxコンソールの値上げは、現世代で3回目になる。8月1日からは512GBモデルが100ドル、1TBモデルが150ドル引き上げられ、2TBモデルは廃止される。マイクロソフトはメモリとストレージの部品価格が2.5倍以上に高騰し、2027年秋までにさらに倍増する見通しだと説明している。AI向けデータセンター需要の急拡大が、この部品高騰を招いた。

交渉の速度差

組合員が特に不満を示したのが、マイクロソフト側の交渉姿勢だ。

ゴイン氏は、団体交渉に割り当てられる時間がかつての月12時間から月4時間に削減されたと明かした。組合側が減らしたのではない。マイクロソフトが一方的に削った結果、交渉が遅れている。

交渉の進捗はスタジオごとに大きく異なる。ワールド・オブ・ウォークラフトの組合交渉チームはレイオフ保護について前向きな動きがあったと報告された。だがゼニマックスの組合は、レイオフ保護の提案を提出して数か月間、マイクロソフトから回答がない。アクティビジョン・パブリッシングの組合は20件の提案への回答を待ち続けている。

会見にはユナイテッド・ビデオゲーム・ワーカーズの会計担当シャーヴィーン・ウドゥワナ(Sherveen Uduwana)氏も連帯のために参加した。マイクロソフトとXboxの経営陣は今回の削減を「リセット」と呼んでいる。ウドゥワナ氏はこれに反論した。ここ数年繰り返されてきた大量解雇が成果を上げていない以上、同じことの繰り返しはリセットではない。

CEOの報酬と、開発者の要求

ウドゥワナ氏は、サティア・ナデラ(Satya Nadella)CEOが2025会計年度に受け取った報酬が9650万ドルに達した事実を挙げた。AIの成功を根拠に取締役会が過去最高額の報酬パッケージを承認した年に、同社は1万5000人以上を解雇している。

開発者たちが求めているのは巨額の報酬ではない。良いゲームを作ることに集中できる保護だ。レイオフが起きるなら、経営判断の失敗として認めること。そのコストを現場に転嫁しないこと。

CWAは、レイオフが正式に発表され次第、マイクロソフトを交渉の席に呼び戻すと明言した。3500人超の組合員を背景にした交渉は、ABK買収時に約束された労働中立性合意が空文句かどうかの試金石になる。

参照元

CWA, Microsoft Announce Labor Neutrality Agreement

他参照

Xbox Union Workers Say They 'Will Not Be Treated As Disposable'

Layoffs looming, Xbox union members argue for transparency and good-faith bargaining

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