Oracle、年次報告書でAI解雇を公式に認める
3月末、午前6時のメールで一斉に職を失ったOracleの従業員たち。その規模が年次報告書で確定した。2万1000人、全従業員の13%。Oracleはこの数字を、SECに提出する10-K(年次報告書)に自ら記載した。同じ書類には、過去最高の売上高674億ドルが並んでいた。
「今後も続く可能性がある」
Oracleが6月22日に提出した2026会計年度の10-Kには、こう書かれている。
AI技術の導入と展開が、当社の人員削減をもたらしており、今後もそうなる可能性がある。
年次報告書はSECに提出する法的文書であり、虚偽の記載には法的責任が伴う。「AIが雇用を奪っているのか」という問いに対して、Oracleが法的拘束力のある文書で自らそう認めた。3月の解雇報道の時点では存在しなかった事実だ。
数字も確定した。2025年5月末に約16万2000人だった従業員数は、2026年5月末に約14万1000人。差し引き約2万1000人、13%の減少。リストラ費用は18.4億ドル(約2970億円)に達し、前年度の3億7400万ドルから約5倍に膨らんだ。このリストラ計画は2025年8月に承認され、当初の見積りは最大16億ドルだった。最終的にそれを上回った。
3月末のTD Cowenによるアナリスト推計では「最大3万人」とされていた。10-Kで確定した2万1000人はそれより少ないが、Oracle自身がレイオフの正確な総数を公式に発表したのはこれが初めてだ。
過去最高業績の裏で
矛盾はこうだ。
2026会計年度の売上高は674億ドルで過去最高、前年比17%増。クラウド事業の売上は340億ドルで39%成長した。GAAP純利益は170億ドル、前年比36%増。受注残高を示す残存履行義務(RPO)は6380億ドルに達し、前年比363%という異常な伸びを記録している。第4四半期だけで670億ドルのAIインフラ契約を新規に締結した。
| 業績 | |
| 売上高 | 674億ドル(+17%) |
| クラウド売上 | 340億ドル(+39%) |
| GAAP純利益 | 170億ドル(+36%) |
| RPO | 6380億ドル(+363%) |
| 人員 | |
| 従業員数 | 約14万1000人 |
| 削減数 | 約2万1000人(13%) |
| リストラ費用 | 18.4億ドル(約2970億円) |
業績が苦しいから人を切ったのではない。Oracleは記録的な利益を出しながら、2万1000人を削減した。
理由はAIインフラへの投資だ。OracleはStargateプロジェクトの中核パートナーとしてOpenAIやソフトバンクと組み、データセンターの大規模拡張を進めている。2026会計年度だけで社債430億ドルとエクイティ50億ドルを調達した。RPO急増の中身は、顧客がGPUの費用を前払いまたは自前調達する大型AI契約だ。プリペイドと顧客供給ハードウェアの合計だけで750億ドルに達する。
2027会計年度のガイダンスは売上900億ドル(前年比34%成長)。この目標を14万1000人で追いかける。
NVIDIAフアン氏との温度差
NVIDIA CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏は最近のインタビューで、AIが雇用を奪うという見方を「怠惰な物語」と切り捨てている。「AIが登場したばかりなのに、もう雇用が失われているとはどういうことか」と。
AI需要で最も潤っている企業のトップがそう言う。AI需要に応えるために2万1000人を切った企業が、SECにAI起因だと書いている。この温度差自体が、AI雇用問題の現在地を示している。
フアン氏の指摘には一理ある。AI導入が直接的に業務を代替したケースと、「AIに投資するための原資として人件費を削った」ケースは異なる。Oracleの共同CEOマイク・シシリア(Mike Sicilia)氏は「AIコーディングツールにより少人数のチームがより速く成果を出せる」と明言している。ただし、リストラ費用18.4億ドルの大半はAIデータセンター建設の原資に回る。「AIが仕事を奪った」と「AIのために仕事が奪われた」は、解雇された側にとっては同じだ。
2026年、テック業界全体の風景
Oracleだけの話ではない。2026年に入ってから、テック業界のAI起因レイオフは加速している。Layoffs.fyiの集計では、196社で約11万9800人が職を失った。
Metaは5月に約8000人を削減し、AI投資の原資確保を理由に挙げた。Dellは2026会計年度で約1万1000人(10%)を削減、5億6900万ドルの退職金を計上した。GitLabは6月に350人(14%)を切り、「エージェント型AIのワークロード急増」を理由とした。Ciscoは約4000人、Cloudflareは20%の人員を整理している。
共通点がある。いずれも業績が悪化した企業ではない。Metaの2026年第1四半期売上は563億ドルで前年比33%増。Oracleは過去最高益。利益を出しながら人を減らし、浮いた金でGPUを買う。この循環が2026年のテック産業を動かしている。
こうした動きに対して、OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOは「AIウォッシング」と名付けた。人員削減の本当の理由は別にあるのに、対外的には「AIで効率化した結果」と説明する手法だ。
Oracleについては、その批判は当たらない。SEC提出文書に「AI技術の導入が人員削減をもたらした」と書いたのは、Oracle自身だ。
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