GeForce RTX 5090のコネクタが溶けた。テスト機で。レビュアーの環境で。

GeForce RTX 5090のコネクタが溶けた。テスト機で。レビュアーの環境で。
Club386

英国のハードウェアレビューメディアClub386が、自社のGeForce RTX 5090 Founders Editionで16ピン電源コネクタ(12V-2x6)が溶損したと報告した。現地時間2026年6月22日公開。マネージングエディターのベン・ハードウィッジ(Ben Hardwidge)氏が、自ら経緯を詳述している。


「正しく使えば安全」が崩れた

テスト環境は万全だった。延長ケーブルも安物のアダプターも使っていない。be quiet! Dark Power 13(1000W)に付属する専用の12V-2x6ケーブル1本を、Intel Z890テストリグ上でRTX 5090 Founders Editionに直結していた。にもかかわらず、16ピンコネクタの両端が溶け、GPUと電源ユニットの双方が修復不能になった。

This power connector isn’t fit for purpose, and Nvidia needs to admit it - our own GPU melting story | Club386
A 12VHPWR cable-melting incident just killed our Nvidia GeForce RTX 5090 Founders Edition. This isn’t user error; it’s a flawed connector.

NVIDIAは代替のGPUを提供している。だが1台交換しても、次の1台が溶けない保証はどこにもない。

2022年、RTX 4090で始まった12VHPWRコネクタの溶損は、改良版の12V-2x6に移行した後も収まっていない。RTX 5090は消費電力575W。コネクタの定格600Wに対する余裕がほとんどない。der8auerの名で知られるドイツのローマン・ハルトゥング(Roman Hartung)氏は、RTX 5090接続時のケーブルを検証し、1本のワイヤが150度に達していることを確認した。ピン間の電流分布にも大きな偏りがあった。

Club386以前にも事例はある。5月にはドイツのPCMasters.deがテスト機での焼損を報告し、6月にはComputex 2026直前にYouTuberのダニエル・オーウェン(Daniel Owen)氏も同じ被害を公表した。レビュー環境での事例は、これで少なくとも4件。ユーザー側の報告はさらに多い。PCパーツ販売のMODDIYが運営する焼損データベースによれば、2025年だけで88件が記録されており、GPUの内訳はRTX 4090が23件、RTX 5090が15件。RTX 5070やRadeon RX 9070 XTでも報告がある。

「対策グッズ」の限界

業界は次々と対策を投入している。

MSIは電源ユニットに16ピン出力のリアルタイム監視と自動シャットダウン機能を載せた。Seasonicはシリコン素材の12V-2x6ケーブルを開発し、GIGABYTEのT-Guardケーブルには温度センサーが内蔵されている。Thermal GrizzlyのWireView Pro IIはコネクタの電流と温度を常時表示し、Noctua版にはファンまで付いている。電源ケーブルにファンが要る時代になった。Corsairに至っては、65度で物理的に通電を遮断するバイメタル式サーモスイッチを内蔵したThermalProtectケーブルを発売している。

ハードウィッジ氏の指摘は端的だ。

調理器のメインケーブルがこんなふうに発火したら、リコールされるだろう。

ASUSは50ドル(約8100円)のROG Equalizerケーブルで、ピン間の電流均等化と17Aの高電流対応を謳った。6月12日、そのROG Equalizerが溶けた写真がChiphellフォーラムに投稿された。

すべてに共通する事実がある。コネクタの設計そのものには、誰も手をつけていない。12V-2x6の物理的なピン配置、接触面積、定格電流はそのまま。600Wを6本の12Vピンに通すという根本設計が変わらない以上、業界が提供しているのは「監視」と「緊急停止」であって、そもそも溶けない構造ではない。

次世代までの猶予

ハードウィッジ氏は、次世代のATX規格で安全なソケット設計に移行すべきだと主張している。RTX 60シリーズやAMDのRDNA 5 GPUが出るまでには、まだ時間がある。DRAM高騰で次世代GPUの投入が遅れている状況は、設計を見直す数少ない機会かもしれない。

参照元:Club386 - This power connector isn't fit for purpose, and Nvidia needs to admit it

Corsair「105℃耐熱」アダプタが溶けた。繰り返される16ピン問題
GPUの電源ケーブルを整えるCorsairの180°アダプタ「GPU Power Bridge」が、RTX 4090 Founders Editionに接続した状態で溶融した。105℃耐熱を謳う製品がピンごと溶け、GPU本体のコネクタまで変形させている。CableModのリコール、ASUSの焼損報告に続く事例だ。
RTX 5090の16ピンケーブルは「点検のたびに抜く」と壊れる
RTX 5090を丁寧に管理していたユーザーの電源ケーブルが焼損した。3か月ごとの抜き差し点検が逆にコネクタの端子を消耗させた可能性があり、12VHPWRの設計嵌合回数は約30回しかない。高負荷GPUの電源ケーブルは不用意に抜き差しせず、目視・臭い・電圧モニタリングで状態を把握するのが現時点での現実的な対処法だ。
Sapphire NITRO+の焼けたアダプター、保証修理を拒否される
Sapphire NITRO+ RX 9070 XTの同梱アダプター焼損問題で、チェコのユーザーが保証修理を拒否された。カードは48時間テストで正常と判断され、焼けたアダプターは検査すらされず返送。同梱品が原因と認めながらアダプターを出荷し続ける矛盾と、保証の実態を報告する。
ASUSの「焼損対策ケーブル」が焼損。16ピン問題の根深さが浮き彫りに
16ピンGPU電源コネクタの焼損対策として約8000円で販売されたASUSのROGイコライザーケーブルに、初の溶融報告。独立検証で指摘されていたケーブルブリッジの電流不均衡が現実の故障として表面化した可能性がある。ケーブルの改良だけでは解決できない575W級GPU時代の構造的問題が改めて浮き彫りになった
RTX 5090焼損、独メディア試験機が3例目
独メディアPCMasters.deがMSI GeForce RTX 5090 Gaming Trio OCの12V-2x6ケーブル焼損を報告。電源側NZXT C1500の被覆も失われ、Furmark負荷時に外側ピンだけが急上昇する様子をサーマルカメラが記録した。報道機関の試験機で確認された3例目で、ロードバランシング不在のRTX 50リファレンス設計の弱点が改めて浮き彫りになる事例だ。
RTX 4090が燃え始めた。飼い主を救ったのはハードウェア監視ではなく「猫」だった
トイレにいた飼い主を、鳴き声で異変に気づかせた。ハードウェア監視ソフトは何も検知しなかった。

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