HBM

マイクロン、訴訟直後に2.5億ドルをトランプ・アカウントへ投資

メモリ

マイクロン、訴訟直後に2.5億ドルをトランプ・アカウントへ投資

メモリ大手3社に対する反トラスト集団訴訟の提起から5日。被告の一角であるマイクロンが、トランプ政権の看板政策に同種で最大の企業投資を発表した。善意の社会貢献か、それとも計算された一手か。タイミングが語る文脈を、事実から読み解く。 2億5000万ドルの中身 マイクロンは現地時間6月30日、子ども向け投資口座「トランプ・アカウント」(530A口座)に2億5000万ドルを拠出すると発表した。対象は最大100万人の子どもとその家族で、マイクロンが拠点を置くアイダホ、ニューヨーク、バージニア、カリフォルニアなど7州が中心になる。 具体的な仕組みは二つある。一つは従業員向けのマッチング拠出で、18歳未満の子ども1人につき1000ドルまで会社が上乗せする。もう一つはコミュニティ向けの種子資金で、対象地域の子どもに一律250ドルを初期入金する。マイクロンはこれを「同種で最大の企業コミットメント」と位置づけた。 トランプ・アカウントは、2025年に成立した通称「One Big Beautiful Bill Act」で新設された税制優遇付きの子ども向け投資口座で、7月4日の米国独立250周年記念

サムスンとSKハイニックス、CO2在庫が1カ月分を割る。3つ目の素材危機

半導体

サムスンとSKハイニックス、CO2在庫が1カ月分を割る。3つ目の素材危機

半導体の洗浄に不可欠な高純度CO2の供給が細っている。ヘリウム、六フッ化タングステンに続く、2026年3度目の素材不足だ。 石油精製が止まると、半導体が洗えなくなる 6月26日、韓国の半導体業界関係者が高純度CO2の供給逼迫を警告した。 サムスン電子は月間1800〜2000トン、SKハイニックスは600〜700トンの高純度CO2を消費している。半導体メーカーとガスサプライヤーがそれぞれ約2週間分の在庫を保有し、合計で約1カ月分を維持するのが通常の運用だ。その1カ月分を割り込んだ。 生産停止には至っていない。両社は調達を強化しているが、価格を上乗せしても追加供給の確保が困難になっているという。ガスサプライヤーの担当者は、原料となるCO2そのものが足りず、短期的に生産量を増やす手段がないと説明している。 超臨界CO2洗浄とは何か 高純度CO2が半導体製造で担う役割は、ウェーハの洗浄だ。 CO2を臨界温度(31.1℃)・臨界圧力(7.4MPa)以上に加圧・加熱すると、液体でも気体でもない「超臨界状態」に達する。この状態のCO2は液体に近い溶解力と気体に近い浸透力を持ち、ウェ

マイクロンCEO「顧客が価格を3分の1に叩いた」

メモリ不足

マイクロンCEO「顧客が価格を3分の1に叩いた」

スマートフォンやPCのメモリ不足が続く中、マイクロンのCEOがその原因について踏み込んだ発言をした。AI需要の急増だけでなく、特定の大口顧客が過去に価格を極端に押し下げたことで、メモリメーカー各社が設備投資に必要な資金を失ったという。高騰の原因はAIだけではない。 「2023年、価格は3分の1になった」 マイクロンCEOのサンジェイ・メロートラ(Sanjay Mehrotra)氏は現地時間6月30日、テレビインタビューでメモリ供給不足の責任がメーカーだけにあるわけではないと主張した。 メロートラ氏によれば、過去数年間にわたり特定の顧客が強引な値下げ交渉を続け、業界全体の売上を押し下げた。2023年にはメモリの販売価格がピーク時の3分の1まで下落し、マイクロンを含む各社が赤字に陥ったという。マイクロンの粗利益率は2023年度(同年8月期末)にマイナス7.3%を記録している。 企業は赤字だった。投資する余裕がなかった。それが業界の投資能力に大きな打撃を与えた(メロートラ氏、CNBCへの説明) マイクロンの最高事業責任者スミット・サダナ(Sumit Sadana)氏も先週、同様の

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ価格が歴史的な高値を記録するなか、世界のDRAMを支配する3社が米国で消費者から訴えられた。訴状が突きつけているのは、AI需要という構造要因の裏側にある、もうひとつの疑惑だ。 訴状が描く構図 現地時間2026年6月25日、カリフォルニア北部地区連邦地裁に集団訴訟が提起された。事件番号3:26-cv-06345、訴因は反トラスト法違反。被告はサムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーの3社と、その米国法人だ。 原告は個人消費者と小規模PC事業者。Troy's Computers LLC、JB Tech Solutions LLCといった、街のPCショップや修理業者が名を連ねる。代理人を務めるのはニューヨークの法律事務所Bathaee Dunne LLP。反トラスト訴訟を専門とし、直近ではディズニーに対するストリーミング価格の訴訟も手がけている。 訴状の骨子はこうだ。3社はAI向けのHBM(広帯域メモリ、GPUに搭載される高速メモリ)への生産転換を口実に、汎用DRAMの生産を協調的に絞った。DDR3やDDR4からの撤退を足並みをそろえて進め、供給を意図的に制限

韓国、半導体・AIに2000兆ウォン。市場は売りで応えた

半導体

韓国、半導体・AIに2000兆ウォン。市場は売りで応えた

韓国政府が6月29日に発表した「3大メガプロジェクト」は、サムスン電子とSKハイニックスを軸に半導体・AIデータセンター・フィジカルAIの3分野へ向こう10年で官民あわせて約2000兆ウォン(約210兆円)を注ぐ計画だ。1国の、しかも民間主導の投資額としては史上最大規模になる。その発表当日、サムスン電子の株価は5.3%下落し、SKハイニックスも3.4%下げた。 「前例のない数字」の中身 李在明(イ・ジェミョン)大統領が青瓦台で主催した国民報告会には、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長とSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が出席し、それぞれの投資計画を自ら説明した。 計画の柱は3つある。 第一の柱は半導体だ。サムスン電子とSKハイニックスが韓国南西部の湖南地域(光州・全南)にそれぞれ2か所、計4か所の新しいメモリファブを建設する。投資額は800兆ウォン(約84兆円)。これに加え、忠清地域(天安・温陽)にHBMのパッケージング拠点を81兆ウォン(約8兆5000億円)で整備する。半導体関連の投資総額は約911兆ウォン(約96兆円)に達する。

メモリ価格、ジェフリーズがQ3に最大50%上昇を予測

メモリ価格

メモリ価格、ジェフリーズがQ3に最大50%上昇を予測

2026年6月最終週、メモリ市場の全員が同じ結論に辿り着いた。投資銀行が予測を出し、メーカーが5年契約を結び、PCメーカーが「ニューノーマル」と公言し、Appleが制裁対象の中国企業に調達を打診した。それぞれ別の立場から、同じことを言っている。2025年以前の価格には戻らない。 ジェフリーズの数字と、その周囲 米投資銀行ジェフリーズ(Jefferies)のエクイティ・リサーチ部門が6月27日に公表した予測は、2026年後半のメモリ価格について最も強気な数字を出した。2026年第3四半期に前四半期比40〜50%、第4四半期にさらに30〜40%の上昇。2027年も前年比で40〜45%上がり、意味のある価格下落は2028年以降、新規生産能力が15〜20%増加するまで来ないという見立てだ。 この予測が出た直後、別の投資銀行Aletheia Capitalの数字と並べて読まれた。Aletheia側はサーバーDRAMのASP(平均販売価格)が第3四半期に30%上昇、第4四半期に10〜15%上昇と、ジェフリーズより穏やかな見通しを出している。業界コンセンサスは第3四半期20%、第4四半期30

メモリ価格は「元に戻らない」。Lenovoが示した現実

メモリ

メモリ価格は「元に戻らない」。Lenovoが示した現実

DDR5 32GBキットが6万円を超える日本の店頭価格を見て、いつかは下がると思っている人がいるなら、その前提そのものが崩れ始めている。  2025年初頭の水準には「二度と戻らない」 ドイツ・ハンブルクで6月22日から26日まで開催されたスーパーコンピュータの国際会議ISC High Performance 2026で、Lenovoがメモリ市場の見通しを示すスライドを公開した。DRAMとNANDの価格推移を示したグラフの横には「64GB Memory Crystal Ball」と題された予測が並び、Lenovoの登壇者はこう述べた。2025年初頭の価格水準には「もう戻らない」。 会場では笑いが起きたという。登壇者自身が冗談めかした口調で語ったからだ。だが続けて示された内容は冗談ではなかった。 2030年以降に価格がある程度落ち着いたとしても、それは2024年から2025年初頭にかけての水準とは別の、もっと高い場所に形成される「新しい通常」だという。メーカー各社が増産に向けた設備投資を進めていることを織り込んだうえでの見通しだった。 増産しても、足りない Lenovoがこ

Micronが2030年まで高値を固定する契約。メモリは安くならない

メモリ

Micronが2030年まで高値を固定する契約。メモリは安くならない

Micronの2026年度第3四半期決算で、メモリ価格の行方が決まった。16件の長期契約が保証するのは、過去最高を超える利益率だ。 1000億ドルの「下限」 3月の前回決算で、Micronは初めてSCA(Strategic Customer Agreement、戦略的顧客契約)の存在を明かした。あのときは1件だった。 現地時間6月24日の第3四半期決算で、サンジェイ・メロートラ(Sanjay Mehrotra)CEOが発表した数は16件。大口4社、中堅3社を含むデータセンター、コンシューマー、自動車の各分野にまたがる。契約期間は2026年から2030年末までの5年間(自動車は3年間)。 中身はこうだ。顧客は一定量の購入を約束し、Micron側は一定量の供給を約束する。価格には下限と上限がある。下限は、Micronのグロスマージンが「過去のどの四半期ピークをも大幅に上回る」水準に設定されている。上限は、今後メモリ価格がさらに上昇しても顧客が守られるよう設計されている。 この16件の最低保証売上は約1000億ドル。対象となるボリュームはDRAMの20%、NANDの3分の1に相当

Xbox、全モデル100~150ドルの値上げへ。2TBは販売終了

Xbox

Xbox、全モデル100~150ドルの値上げへ。2TBは販売終了

Microsoftが6月25日(米国時間)、Xbox Series X|Sの全モデルを2026年8月1日から値上げすると発表した。512GBモデルは100ドル、1TBモデルは150ドルの上乗せ。2TBモデルは販売を終了する。米国では2年足らずで3度目の値上げとなり、最も安いSeries Sが発売時のSeries Xと同じ499.99ドルになる。 メモリ価格2.5倍、さらに倍増の予測 Microsoftは値上げの理由を明確に述べている。ストレージとメモリの部品コストが前回の値上げ(2025年10月)から2.5倍以上に跳ね上がり、2027年秋にはさらに倍になる見通しだという。 背景にあるのはAIデータセンターへの需要集中だ。マイクロン(Micron)、SKハイニックス(SK hynix)など大手メモリメーカーは、生産能力の多くをAIインフラ向けのHBM(広帯域メモリ)に振り向けている。スマートフォンやPC、ゲーム機に使われる汎用DRAMやNANDフラッシュの供給が圧迫され、価格が急騰した。同じ6月25日にAppleもMac・iPadの大幅値上げを実施しており、メモリ高騰はゲーム機だ

TSMCの値上げ、7nm含む全先端ノードに拡大

半導体

TSMCの値上げ、7nm含む全先端ノードに拡大

3nm限定と見られていた値上げ交渉が、7nmまで含む全先端ノードに広がった。5〜10%の引き上げはTSMCのウェハー売上の74%に及ぶ。AI需要の逼迫と過去最高の粗利益率66.2%を背景に、NVIDIA・AMD・Apple・Qualcommなど主要顧客の製造コストが上昇する。メモリ高騰と重なり、GPU・CPU・スマートフォンの価格に反映される。 3nm限定ではなかった TSMCが先端プロセスの値上げを進めている。年初に3〜10%の引き上げ、5月下旬には3nmで最大15%の追加値上げ。ここまでは台湾メディアが伝えてきた通りで、対象は3nmが中心だった。 6月23日の独立メディア報道で、景色が変わった。TSMCが顧客に伝えたのは、「すべての先端ノード」で値上げに備えよというものだった。7nmまで含む。幅は5〜10%。一部ではすでに適用が始まっており、まだ適用されていない顧客にも高いコスト構造を購買計画に織り込むよう指示が出ている。 範囲の広がりが重い。2026年第1四半期の決算では、3nmがウェハー売上の25%、5nmが36%、7nmが13%。TSMCが「先端技術」と定義する7n

DDR2まで届いたAIの余波。メモリ不足が20年前の規格を直撃

メモリ価格高騰

DDR2まで届いたAIの余波。メモリ不足が20年前の規格を直撃

メモリの高騰は続いているが、その連鎖がどこまで広がっているか、気づいている人はまだ少ないかもしれない。今や2003年に登場したDDR2の価格まで急騰している。AIインフラが吸い込んだ生産能力の余波は、現役PCがとうに引退した規格にまで及んでいる。 三大メーカーが手を引いた先で起きていること サムスン電子(Samsung Electronics)、SKハイニックス、マイクロン(Micron)の三大DRAMメーカーは、AIデータセンター向けのHBM(High Bandwidth Memory)とサーバーDRAMに生産能力を集中させてきた。その結果、DDR4など従来型の製品への割り当てが削られ、調達に困ったメーカーが台湾系サプライヤへと流れ込んでいる。 OEM・ODMは、仕様の「格下げ」に動いた。DDR4を使っていた製品設計をDDR3に置き換え、DDR3で設計されていたものをDDR2に差し替える。安さを求めたわけではない。調達できる部品を探したら、たどり着いた先が20年前の規格だった。 市場調査会社TrendForceが現地時間6月22日に公開したレポートによれば、DDR2の契約価

Appleが値上げを宣言。退任直前のクックCEOが語った「限界」

Apple

Appleが値上げを宣言。退任直前のクックCEOが語った「限界」

ティム・クック(Tim Cook)氏が、Apple製品の値上げを公式に認めた。退任まで残り2ヶ月半。iPhoneの価格帯を守り続けてきたCEOが、最後に残した言葉は「もう持たない」だった。 「避けられない」の重さ Appleのクック氏は現地時間6月17日、The Wall Street Journalの独占インタビューで製品の値上げを明言した。 「残念ながら、値上げは避けられない。我々に転嫁される巨額のコスト増を抑えようと最善を尽くし、お客様を守ろうとしてきたが、状況は持続不可能になった」 どの製品がいつ、いくら上がるのかは明かさなかった。だが市場はその先を読む。Appleの次の大型発売は9月のiPhone 18シリーズ。調査会社TechInsightsは、現在の利益率を維持するならiPhone 18 Proは約270ドル(約4万3000円)の値上げが必要になると試算している。1,299ドルのiPhone Proが現実になれば、10年以上据え置いてきたProの開始価格が動く。 Apple製品の値上げ実績と試算 製品旧価格新価格差額Mac mini9万4800円1

AI以外の産業がメモリ不足でトランプ政権に介入を要請

AI

AI以外の産業がメモリ不足でトランプ政権に介入を要請

メモリ不足が騒がれ始めてもう半年以上になる。だがこれまで声を上げていたのは、PC業界やメモリメーカー、つまり半導体サプライチェーンの内側にいる当事者ばかりだった。その構図が変わった。 9つの業界団体が連名で書簡を送った 6月3日、米国の9つの業界団体がスコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官とハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官に宛てて連名の書簡を送付した。通信、自動車、医療機器、小売という、半導体産業の「外側」にいる業界が揃って政府に対策を求めるのは初めてのことだ。 署名したのは、米国のインターネット・テレビ業界団体NCTA、米国通信産業協会(TIA)、米国自動車イノベーション連盟(Alliance for Automotive Innovation)、先進医療技術工業会(AdvaMed)、全米小売業協会(NRF)など。共通しているのは、いずれもAIデータセンターとは無縁の産業でありながら、メモリチップを大量に必要とする分野だという点だ。 書簡の要旨はこうだ。AIデータセンターの爆発的拡大がメモリチップの供給能力を食い尽くし、価格が