岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
Xbox組合員3500人、大量解雇への対抗を宣言

ゲーム業界

Xbox組合員3500人、大量解雇への対抗を宣言

マイクロソフトのゲーム部門Xboxが7月の大規模レイオフを控える中、全米通信労働組合(CWA)が現地時間6月29日にオンライン記者会見を開催した。参加者は200人超。Xbox傘下のスタジオに所属する3500人超の組合員が、使い捨てにはならないと声を上げた。会見の日付は偶然ではない。マイクロソフトの会計年度末である6月30日の前日だ。 買収時の約束と、その後の現実 CWAとマイクロソフトが2022年に結んだ労働中立性合意は、690億ドルのアクティビジョン・ブリザード・キング買収を前に進めた要因のひとつだった。従業員が経営陣の妨害なく組合を結成できる枠組みを約束することで、規制当局への説明材料にもなった。合意から4年、3500人以上がCWA傘下の組合に加わっている。 だが組合結成は、解雇を止める盾にはなっていない。2024年のスタジオ閉鎖、2025年の1万5000人規模の人員削減を経て、2026年7月にはさらに大規模なレイオフが控えている。6月10日、新CEOアーシャ・シャルマ(Asha Sharma)氏とチーフコンテンツオフィサーのマット・ブーティ(Matt Booty)氏が社内

セキュアブート証明書、主要9社の対応ガイドが出揃う。メーカー別の差と確認手順

セキュアブート

セキュアブート証明書、主要9社の対応ガイドが出揃う。メーカー別の差と確認手順

セキュアブートの2011年版証明書が期限を迎え、主要PCメーカー9社がそれぞれサポートガイドを公開した。大半のPCはWindows Updateで自動更新されるが、メーカーごとに対応範囲とサポート打ち切りの線引きが異なる。自分のPCが更新済みか、取り残されるかは、メーカーのガイドを見ないとわからない。 期限は過ぎた。次に見るべきはメーカーのページ 6月24日にMicrosoft Corporation KEK CA 2011が失効し、27日にはMicrosoft UEFI CA 2011も失効した。残る1枚、Microsoft Windows Production PCA 2011は10月19日に期限を迎える。 Microsoftは6月の月例更新(KB5094126)で証明書の配信対象を大幅に拡大した。6月のWindows Updateを適用していれば、ほとんどのPCは新しい2023年版の証明書に移行している。 だが「ほとんど」の外にいるPCもある。ファームウェアの互換性が確認されていない端末、BIOSアップデートが未提供の古い機種、サポート期間が終了した製品。そうした端末に

Linux 7.2-rc1公開。6年越しの安全対策が完了

Linux

Linux 7.2-rc1公開。6年越しの安全対策が完了

Linux 7.2のマージウィンドウが閉じ、最初のリリース候補が現地時間6月28日に公開された。パッチの3分の1をAMD GPUのレジスタ定義が占めているが、その裏では6年がかりのセキュリティ改善が完結し、AMDのHDMI 2.1対応やUSB4の新プロトコルなど、実用に響く変更が揃った。安定版は8月下旬の見込みで、カーネルのソースコードは総行数4389万行を超えた。 6年362コミット、strncpy()が消えた Linux 7.2で最も意味のある変更は、新機能の追加ではなく削除だ。 C言語の文字列コピー関数strncpy()が、カーネルのソースツリーから完全に除去された。6月20日のマージで、関数の実装そのものと全アーキテクチャ固有の最適化コードが一括で消えている。 Linuxカーネルからstrncpyが消えた。6年362コミットの結末Linuxカーネルから文字列コピー関数strncpyが完全に削除された。NUL終端を保証しない危険な仕様はバグの温床とされ、6年間で362コミット・70人の開発者がstrscpy等の安全な代替へ移行。Linux 7.2で19ファイル346行を

reCAPTCHA新認証、ストックフォト1枚で突破される

Google

reCAPTCHA新認証、ストックフォト1枚で突破される

Googleがテスト中のハンドジェスチャー認証は、ボットを排除するために利用者のカメラを要求する。だが技術文書が公開されてから3週間と経たないうちに、手を振るストックフォト1枚と無料ソフトだけで認証を通過できることが判明した。ボットは素通りし、カメラを差し出すのは利用者だけ。その構造がテスト段階で露呈した。 カメラに向かって手を振れ Googleが新たにテストしているreCAPTCHAは、従来の画像選択やパズルとはまったく異なる。ブラウザがカメラへのアクセスを求め、利用者に手を振る動作か、手のひらを見せる動作を指示する。短い動画が撮影され、GoogleのMediaPipeモデルが手の関節21箇所の3D座標を抽出する。その座標の動きから「画面の前に本物の人がいるか」を判定する仕組みだ。 Googleによれば、動画はユーザーのIDと紐づかず、音声の録音もない。認証が終わった時点で即座に削除されるという。この認証はGoogle Cloud Fraud Defense(reCAPTCHAの上位製品)の一機能として提供され、技術文書は2026年6月11日に更新された。 AI搭載のボット

Smart Access Memoryが無効表示に。実害はなかった

AMDドライバ

Smart Access Memoryが無効表示に。実害はなかった

Windows 10環境のRadeonユーザーが、ドライバ更新後にSmart Access Memoryの表示を失った。BIOSは有効のまま、Adrenalinだけが「無効」と報告する。結論を先に書くと、性能は落ちていない。だが「大丈夫」の一言で片付けるには、6月のAMDドライバは問題を起こしすぎている。 Adrenalinだけが「無効」を返す 発端は6月2日に公開されたAdrenalin 26.6.1だった。このドライバに更新した直後から、一部のWindows 10環境でSmart Access Memoryのステータスが「無効」に切り替わる報告が相次いだ。Adrenalinのダッシュボードに表示される値だけが変わっている。 Smart Access Memoryは、CPUからGPUのVRAM全域に一括でアクセスできるようにするPCIeの拡張機能だ。中身はResizable BARそのもので、AMDが独自のブランド名を付けている。有効にするにはBIOSでResizable BARとAbove 4G Decodingを有効にする必要があり、これが正しく設定されていればAdren

Switch 2韓国版、9月から約7万9,700円相当に。値上げ幅17%

ゲーム

Switch 2韓国版、9月から約7万9,700円相当に。値上げ幅17%

韓国任天堂が6月29日付でNintendo Switch 2の価格改定を発表した。現行64万8,000ウォンが9月1日から75万8,000ウォンに引き上げられる。差額は11万ウォン、上げ幅は約17%。日本円に換算すると約7万9,700円になる。 日本に次ぐ上げ幅 5月8日に任天堂が発表した世界規模の値上げの一環として、韓国の具体的な改定額が確定した。 日本では5月25日に日本語・国内専用版が4万9,980円から5万9,980円へ1万円(約20%)引き上げられ、すでに新価格で販売されている。9月1日には米国が449.99ドルから499.99ドル(約11%増)、欧州が469.99ユーロから499.99ユーロ(約6%増)、カナダが629.99カナダドルから679.99カナダドル(約8%増)へ移行する。 韓国の約17%という上げ幅は、日本の約20%に次いで高い。米国11%、欧州6%と比べれば、アジアの2地域が突出している。 Nintendo Switch 2 地域別値上げ率 ※9月1日実施分を含む。日本は5月25日に実施済み

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ価格が歴史的な高値を記録するなか、世界のDRAMを支配する3社が米国で消費者から訴えられた。訴状が突きつけているのは、AI需要という構造要因の裏側にある、もうひとつの疑惑だ。 訴状が描く構図 現地時間2026年6月25日、カリフォルニア北部地区連邦地裁に集団訴訟が提起された。事件番号3:26-cv-06345、訴因は反トラスト法違反。被告はサムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーの3社と、その米国法人だ。 原告は個人消費者と小規模PC事業者。Troy's Computers LLC、JB Tech Solutions LLCといった、街のPCショップや修理業者が名を連ねる。代理人を務めるのはニューヨークの法律事務所Bathaee Dunne LLP。反トラスト訴訟を専門とし、直近ではディズニーに対するストリーミング価格の訴訟も手がけている。 訴状の骨子はこうだ。3社はAI向けのHBM(広帯域メモリ、GPUに搭載される高速メモリ)への生産転換を口実に、汎用DRAMの生産を協調的に絞った。DDR3やDDR4からの撤退を足並みをそろえて進め、供給を意図的に制限

韓国、半導体・AIに2000兆ウォン。市場は売りで応えた

半導体

韓国、半導体・AIに2000兆ウォン。市場は売りで応えた

韓国政府が6月29日に発表した「3大メガプロジェクト」は、サムスン電子とSKハイニックスを軸に半導体・AIデータセンター・フィジカルAIの3分野へ向こう10年で官民あわせて約2000兆ウォン(約210兆円)を注ぐ計画だ。1国の、しかも民間主導の投資額としては史上最大規模になる。その発表当日、サムスン電子の株価は5.3%下落し、SKハイニックスも3.4%下げた。 「前例のない数字」の中身 李在明(イ・ジェミョン)大統領が青瓦台で主催した国民報告会には、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長とSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が出席し、それぞれの投資計画を自ら説明した。 計画の柱は3つある。 第一の柱は半導体だ。サムスン電子とSKハイニックスが韓国南西部の湖南地域(光州・全南)にそれぞれ2か所、計4か所の新しいメモリファブを建設する。投資額は800兆ウォン(約84兆円)。これに加え、忠清地域(天安・温陽)にHBMのパッケージング拠点を81兆ウォン(約8兆5000億円)で整備する。半導体関連の投資総額は約911兆ウォン(約96兆円)に達する。

ETHチューリッヒ、光を出し入れする新型ピクセルをNatureに発表

テクノロジー

ETHチューリッヒ、光を出し入れする新型ピクセルをNatureに発表

スマートフォンの画面を覗き込むとき、ディスプレイのピクセルはこちらに向かって光を放っている。カメラで写真を撮るとき、センサーのピクセルは光を受け取っている。1927年に英国の技術誌『Wireless World』で「picture element」という言葉が使われてから約100年、ピクセルは常にどちらか一方しかできなかった。光を出すか、受け取るか。両方を同時にこなすピクセルは存在しなかった。 ETHチューリッヒのデイヴィッド・ノリス(David Norris)教授が率いる光学材料工学研究室が、その前提を覆した。2026年6月24日付のNatureに掲載された「フーリエピクセル」は、光の強度だけでなく、位相と偏光まで含めた全情報を、1つの素子で生成し、同時に検出できる。 100年ぶりの再定義 いまのピクセルは大きく3種類に分かれる。ディスプレイのピクセルは光の強度を制御する。カメラのピクセルは光の強度を検出する。空間光変調器のピクセルは光の位相を変える。どれも光が持つ情報の一部しか扱えない。 光は振幅(明るさ)、位相(波の山と谷のタイミング)、偏光(電場が振動する方向)の3つ

フォード、ベテラン技術者350人を再雇用。AI品質管理の失敗を認める

AI

フォード、ベテラン技術者350人を再雇用。AI品質管理の失敗を認める

自動車の品質を守ってきたのは、設計要件書でもアルゴリズムでもなかった。何十年もラインに立ち、不具合の予兆を体で覚えた技術者だった。フォードがその事実を認めるまでに、リコールの山と数十億ドルの損失が必要だった。 AIだけで品質は作れなかった フォードのチャールズ・プーン(Charles Poon)車両ハードウェアエンジニアリング担当副社長は現地時間6月25日、報道関係者へのブリーフィングでこう述べた。「AIを導入して設計要件を取り込めば、それだけで高品質な製品が生まれると考えていた。それは間違いだった」。 過去3年間で、フォードはベテラン技術者350人を採用し直した。元社員の復帰、サプライヤーからの引き抜き、社内の昇格を合わせた数字だ。クマール・ガルホトラ(Kumar Galhotra)最高執行責任者(COO)は、彼らが「品質改善の中核にいる」と説明した。この350人は、部品が工場のラインに届く前に故障の原因を潰す作業を主導し、若手の指導とAIツールの再訓練を担っている。 問題の本質は、AIそのものの欠陥ではない。フォードが自動化を進める過程で、経験豊富な技術者が退職したことに

Low Latency Profile、KB5095093で対象拡大。アプリ対応は先送り

Windows11

Low Latency Profile、KB5095093で対象拡大。アプリ対応は先送り

スタートメニューを開くたびにCPUが全力で回り、1秒から3秒で元に戻る。Low Latency Profileが、6月23日公開のプレビュー更新KB5095093でさらに対象を広げた。5月から段階的に配信されてきた機能だが、「さらに多くのPC」は「全員」ではない。段階展開は今も続いている。公式リリースノートが掲げる「アプリ起動の高速化」は、現時点ではまだ実装されていない。 今回何が変わったのか KB5095093(ビルド26200.8737 / 26100.8737)は、7月のPatch Tuesdayに先行するプレビュー更新だ。ポイントインタイムリストア、Windows Updateの一時停止カレンダー、ファイルエクスプローラーの高速化など複数の改善が含まれるが、Low Latency Profileについては対象PCの拡大が今回の変更点になる。 6月9日のセキュリティ更新KB5094126でLow Latency Profileの一般展開が始まったものの、MicrosoftはCFR(段階的機能展開)を通じて配信先を絞ってきた。更新を適用しても有効にならないPCは少なくなかっ

豪SNS禁止法、罰金約110億円に倍増。85%の子どもは使い続けている

SNS

豪SNS禁止法、罰金約110億円に倍増。85%の子どもは使い続けている

世界で初めて16歳未満のSNS利用を禁じたオーストラリアが、施行から半年で罰金を倍増させた。だが同じ週に公表された研究は、子どもの85%がまだSNSを使い続けているという現実を突きつけている。 罰金倍増、権限拡大 オーストラリア政府が現地時間6月28日、16歳未満のSNS利用禁止法(Social Media Minimum Age Act)の罰則を大幅に強化すると発表した。違反企業に科される最高罰金を4950万豪ドル(約55億円)から9900万豪ドル(約110億円)に倍増させ、競争法・消費者法と同水準に引き上げる。 同時に、規制当局であるネット安全コミッショナー(eSafety Commissioner)の情報収集権限を拡大する新法案も提出する。SNS企業に対して、16歳未満のアカウント作成をどう防いでいるかの証拠提出を命じる権限を与え、年齢確認サービスやアプリストア運営会社など第三者からも情報を収集できるようにする。 アルバニージー(Anthony Albanese)首相は発表文で、大手テック企業が法律の遵守に十分な対応を取っていないと指摘した。通信大臣のアニカ・ウェルズ(

米司法省がW杯違法配信サイト約400件を一斉押収。4年前の5倍規模

セキュリティ

米司法省がW杯違法配信サイト約400件を一斉押収。4年前の5倍規模

ワールドカップの試合を無料で観られるサイトを探すと、そのほとんどにマルウェアが仕込まれている。米司法省は現地時間6月26日、2026年FIFAワールドカップの試合を無許可で配信していた約400のドメインを押収したと発表した。違法配信サイトの92%に悪意あるコンテンツが含まれていたという調査結果がある。「タダで観る」代償は、視聴者自身の端末と個人情報だ。 「オペレーション・オフサイズ」が動いた 「オペレーション・オフサイズ」と名付けられたこの作戦は、国家知的財産権調整センター(IPRセンター)と国土安全保障捜査局(HSI)が主導した。バージニア州東部地区連邦地裁の令状に基づいて執行され、FIFAが侵害ドメインを特定。beINメディア・グループ、NBCユニバーサル、映画協会傘下のACE(Alliance for Creativity and Entertainment)、UFC、ワーナー・ブラザースが補足情報を提供している。 違法配信のサーバーはペルーとブルガリアで確認された。クロアチア、ルーマニア、ポーランド、コロンビアの各国当局も連携して関連ドメインの摘発に動いている。ブラジル

GLM-5.2がClaude超え。Semgrepの脆弱性検出で独立検証

AI

GLM-5.2がClaude超え。Semgrepの脆弱性検出で独立検証

Fable 5の規制から16日。米国が止めたのと同等のサイバーセキュリティ能力が、中国のオープンウェイトモデルで確認された。セキュリティ企業Semgrepの独立ベンチマークで、Z.aiのGLM-5.2がClaude Codeを脆弱性発見の精度で上回った。中国のセキュリティ大手360は「中国版Mythos」の開発を発表し、ジェフリーズはこの動きを「DeepSeekモーメント」と呼んだ。 「Mythosが家にある」 6月22日、セキュリティ分析ツールを開発するSemgrepが公開したベンチマーク結果のタイトルは「We Have Mythos at Home」(うちにMythosがある)だった。 We have Mythos at Home: GLM 5.2 beats Claude in our Cyber BenchmarksAmong models given nothing but a prompt, the best open-weight