OneDrive Photos、Enterprise管理下のPCにも配信。Microsoftは理由を説明せず

OneDrive Photosの強制インストールがIntune管理下のEnterprise端末にまで及んでいた。個人アカウント専用のアプリが法人PCに入る矛盾に、IT管理者はコミュニティで独自の除去スクリプトを共有して対処している。

OneDrive Photos、Enterprise管理下のPCにも配信。Microsoftは理由を説明せず

OneDrive Photosの強制インストールがIntune管理下のEnterprise端末にまで及んでいた。個人アカウント専用のアプリが法人PCに入る矛盾に、IT管理者はコミュニティで独自の除去スクリプトを共有して対処している。


管理端末に現れた想定外のアプリ

OneDrive Photosの無断インストールが、一般ユーザーだけの問題ではなくなった。

7月末からWindows 11のPCへ通知なく配信されていたこのアプリが、Microsoft Intuneで管理されたEnterprise端末にも入り込んでいた。Redditのr/Intuneに投稿されたスレッドで発覚した。

Microsoft is rolling out OneDrive Photos app to Windows 11
by u/NickyDeWestelinck in Intune

投稿者のNickyDeWestelinck氏は、管理下の端末でOneDrive Photosを確認し、Intuneの修復スクリプト(Remediation script)として除去用のコードをGitHubで公開した。

問題の核心は、このアプリが個人のMicrosoftアカウント専用だという点にある。Microsoft Entra ID(旧Azure AD)の職場・学校アカウントでは使えない。Enterprise端末ではそもそも機能しないアプリが、事前の告知もMessage Centerへの掲載もなく、管理者の許可もないまま数百台規模で配信された。

ある管理者は、IntuneでEnterprise版のWindows 11を運用しているにもかかわらず、すべての端末のスタートメニューにOneDrive Photosが出現したと証言している。Microsoftのロードマップにもlearn.microsoft.comのドキュメントにも、このアプリに関する記載は見つからなかったという。

ベータ版のラベルが付いた消費者向けアプリが、なぜ管理された法人環境に入り込んだのか。管理者が最も知りたいのはその理由だが、Microsoftはこの点へのコメントを拒否した。

管理者が自力で作った除去手段

公式な無効化手段が存在しない以上、IT管理者はコミュニティの中で解決策を模索するしかなかった。

NickyDeWestelinck氏がGitHubで公開した修復スクリプトは、OneDrive.App.exeを検出して削除し、スタートメニューのショートカットも除去する。r/Intuneのスレッドでは、検出スクリプトと修復スクリプトの両方が共有され、ほかの管理者がパスの差異やショートカットの残存といった細部を報告しながら改良を重ねた。

ただし、この対処には根本的な限界がある。OneDriveの同期クライアントが更新されると、OneDrive Photosも再インストールされる。

スクリプト公開から数日後、OneDriveが新バージョンに更新されたタイミングでアプリが復活したという報告が出た。スクリプトをIntuneで日次または週次のスケジュール実行に設定するよう複数の管理者が勧めていたが、それは更新のたびにいたちごっこが続くことを織り込んだ運用だ。

また、OneDrive Photosはスタンドアロンのアプリケーションではなく、OneDriveインストールの一部として扱われている。設定画面の「インストールされているアプリ」にも個別に表示されない。アプリを完全に取り除くには、OneDriveの同期クライアントごとアンインストールする必要がある。法人環境でOneDriveの同期機能を日常的に使っている場合、この選択肢は現実的ではない。

Microsoftが認めたことと、認めなかったこと

現地時間8月7日、Microsoftは、OneDrive Photosの強制インストールを認める声明を出した。OneDriveの同期クライアントが入っているすべてのWindows 11 PCにOneDrive Photosが自動的に追加されるという。

しかし、Enterprise端末への配信について追加のコメントを求められると、それ以上共有できる情報はないと回答した。Enterprise端末への展開は意図的なものではなく、消費者向けPCだけが対象のはずだったとされている。

顔認識機能について、Microsoftは次のように説明した。

Face grouping runs in the cloud and only on the photos in your OneDrive. Photos that are only on your PC aren't processed.

People機能(顔によるグループ化)はデフォルトでオフになっており、ユーザーが有効にしない限り動作しない。AI学習にも使用しないと明言した。無効にすれば30日以内に顔データが削除されるという。

ただ、OneDrive Photosはサインインしなくてもローカルの写真を読み取って表示する作りになっている。Microsoftは「ローカルの写真は処理しない」としているが、アプリが写真に「アクセスしている」事実と「処理していない」という説明の間に、技術的にどのような線引きがあるのかは明らかにされていない。

なお、OneDrive Photosを単独で削除する手段は現時点で存在しない。Microsoftは今後のアップデートで、OneDrive本体を残したままOneDrive Photosだけを削除できるようにすると述べた。つまり、削除手段を用意する前にアプリを全PCに配信したことになる。

配信してから考える

OneDrive Photosの一件は孤立した出来事ではない。

Microsoftは6月にも、Microsoft 365 Copilotアプリの自動インストールを法人向けWindows 11端末に対して再開した。2024年から数えて3度目の試みで、過去2回はIT管理者の反発を受けて中断している。

今回はOffice Click-to-Run(クイック実行)という別の配信経路を使い、従来のブロック設定を迂回する形で展開された。欧州経済領域の端末だけが対象から外されている。

6月26日には、イタリアの競争当局AGCMがCopilotアプリのバンドル手法に対して正式な調査を開始した。

共通するのは、ユーザーの同意を取る前に配信し、問題が起きてから対処するという順序だ。OneDrive Photosの場合、削除手段がないまま全PCに配信し、問題になってからアンインストール機能の開発を約束した。

Copilotの場合、反発を受けて停止し、別の経路で再開した。管理者への事前通知も、ロードマップへの掲載も後回しだった。

OneDrive Photosの顔認識機能については、2025年10月の時点で別の懸念が浮上していた。OneDriveのモバイルアプリで顔認識をオフにできる回数が年3回に制限されていることがプレビュー段階で発覚し、Microsoftは制限の理由を説明しなかった。GoogleフォトやAppleの写真アプリには同様の制限はない。

Microsoftの無断配信と対応の経緯
2024年初頭
Copilotアプリ自動インストール(1回目)
IT管理者の反発を受けて中断
2024年末
Copilotアプリ自動インストール(2回目)
技術的問題を理由に再び中断
2025年10月
OneDrive顔認識のプレビュー開始
オフにできる回数が年3回に制限と判明
2026年6月
Copilotアプリ自動インストール(3回目)
Click-to-Run経由で再開。欧州経済領域は対象外
2026年6月26日
イタリアAGCMが調査開始
Copilotのバンドル手法が対象
2026年7月末
OneDrive Photos配信開始
Enterprise端末にも配信。事前告知なし
2026年8月7日
Microsoft、強制インストールを認める
Enterprise展開への説明は拒否。単独削除は未対応
※AGCM=イタリア競争当局。Click-to-Run=Office更新の配信経路

Microsoftが強調する「People機能はデフォルトでオフ」という説明と、「ユーザーの許可なくアプリをインストールした」という事実は、同じ企業の同じ製品の中で矛盾している。顔認識の起動に同意を求めるなら、アプリのインストール自体にも同意を求めるのが自然な順序だろう。その順序を飛ばしたことへの説明を、Microsoftはまだしていない。

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