RTX 5070を注文して届いたのは2000年代のAVレシーバー基板だった

RTX 5070を注文して届いたのは2000年代のAVレシーバー基板だった
luutherr

友人からの贈り物だった。MSI Ventus 2X GeForce RTX 5070、605ユーロ(約11万2000円)。箱の重量は正しい。封印も崩れていない。ただ、中にグラフィックボードは入っていなかった。代わりに収まっていたのは、2001年発売のKenwood VR-505(AVサラウンドレシーバー)から剥ぎ取られたロジックボードと、DVDリライターと、マウスパッド。約25年前の電子ゴミが、最新GPUの値札を背負っていた。


コミングリング終了後も止まらない

Amazonで高額GPUを注文したら中身が別物だった。この手の報告はもう珍しくない。RTX 5090の箱にレンガ、RTX 5080の箱に石、RTX 5070 Tiの箱に食卓塩。被害はこの1年で何件も報告されている。

what i got sent instead of a 5070
by u/luutherr in pcmasterrace

今回の舞台はAmazon.de(ドイツ)。投稿者によれば「販売・発送元はAmazon」で、友人が605ユーロで購入したものだという。購入証明も提出済みだ。

時期に注目したい。Amazonは2025年9月のAccelerateカンファレンスで、長年批判を浴びてきた在庫混在(コミングリング)の廃止を発表した。異なる出品者の同一商品を倉庫内でまとめて管理する仕組みで、偽造品や返品詐欺の入り口になっていた。2026年3月31日をもって正式に終了している。

だが、この事件はその約3か月後に起きた。コミングリングがなくなっても、返品すり替えは止まっていない。

詐欺の手口と、それを通すシステム

手口はこうだ。まず誰かがGPUを正規に購入する。届いたら中身を抜き取り、重量が一致する別の物を詰め直して返品する。返品理由は「気が変わった」で十分。Amazonの倉庫は返品された商品の重量と外観をチェックするが、箱を開けて中身まで確認する工程はない。

Amazonの制御エンジニアだと名乗るユーザーによれば、フルフィルメントセンターの出荷ラインには重量・寸法を計測する機器があり、元の重量と約0.5グラム以上ずれた荷物は弾かれるという。裏を返せば、重さが合えば通る。詐欺師が精密なはかりで中身を調整するのは、この関門が重量にしか反応しないからだ。

返品すり替え詐欺の循環構造
GPUを正規購入中身を抜き取り同重量の別物を詰める返品(理由不問)Amazonの検品重量チェックのみ重量一致再販在庫に戻る重量不一致拒否返品不成立次の購入者へ届く

KenwoodのAVレシーバー基板という選択は、だから巧妙だ。基板は金属と回路の塊で、重量の帳尻を合わせやすい。左下隅の部品番号からVR-505のものだと特定されたが、中身自体に意味はない。目的はただ一つ、秤を通ること。

返品ポリシーの裏側

コミングリングの終了で、異なる出品者の在庫が混ざる問題は解消された。だが今回は、Amazon自身が販売・発送した在庫の中で、返品された商品がそのまま次の購入者に届いている。問題の所在が違う。

Amazonの返品ポリシーは購入者にとって手厚い。開封済みでも理由を問わず返品を受け付ける。建前上は商品の状態を確認してから再販するが、年間数億件の返品を処理する現場で、箱を一つひとつ開けて照合する余裕はない。

Amazonのマネージャーだと名乗るユーザーは、自分自身がAmazonでPCパーツを買わないと発言している。10%の従業員割引があっても、だ。内部にいる人が避ける買い方を、外の消費者が強いられている。

高額パーツ購入のリスクと現実

コメント欄で繰り返し出てくるのは「開封を動画で撮影しろ」というアドバイスだ。すでに実践している人も少なくない。Amazonロッカーへ向かうところから録画を始め、取り出し、開封まで一部始終を記録するという報告もある。

PCパーツを対面で買える実店舗は、日本でもアメリカでも減り続けている。オンライン購入が当たり前の市場で、箱を開けるまで本物かどうかわからない。その不安を消費者だけが背負っている。

今回の投稿者は、地元の実店舗なら850ドル(約13万7000円)のところ、Amazonなら700ドル(約11万3000円)で買えるから選んだと書いている。2万円以上の差額は大きい。だがその差額で買ったのは、2001年製のAVレシーバー基板だった。

安さには、理由がある。その理由が「Amazonの返品検品体制の穴」だと知っているのは、被害に遭った後の人だけだ。

参照元:Reddit - what i got sent instead of a 5070

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