米国5月ゲーム市場。PS5とXboxが歴史的低迷、Switch 2だけが成長を支える

米国5月ゲーム市場。PS5とXboxが歴史的低迷、Switch 2だけが成長を支える

米国のゲーム市場調査会社サカーナ(Circana)のマット・ピスカテラ(Mat Piscatella)氏が、2026年5月の米国ゲーム市場月次データを公開した。PS5のハードウェア販売台数は2000年5月以来の最低水準に沈み、Xboxは5月として史上最低を記録した。値上げが続くゲーム機市場で、Switch 2だけが成長を牽引している。


売れた台数は減り、使った金額は増えた

5月の米国ゲーム市場全体の支出は前年同月比3%増。ハードウェア支出は2億4900万ドルで前年比38%増だった。

数字だけ見ると好調に映る。だがこの38%増は、ゲーム機が売れたからではない。ゲーム機が高くなったからだ。

ハードウェア1台あたりの平均購入価格は502ドル。1年前の440ドルから14%上昇した。PS5は平均672ドル(前年比33%増)、Xbox Seriesは平均524ドル(同22%増)。PS5 Proが899.99ドルで平均を押し上げている面はあるが、通常モデルも649.99ドルだ。発売時の499.99ドルから150ドル上がっている。

台数を見ると印象が変わる。PS5は販売台数が前年比58%減、ハードウェア支出は43%減。PlayStationの5月のハードウェア販売台数がここまで低かったのは2000年5月以来、26年ぶりだ。

Xboxはさらに厳しい。5月の販売台数は史上最低。支出こそ前年比7%増を確保したが、台数は12%減っている。単価が上がった分、台数の落ち込みが金額では見えにくくなっただけだ。

2026年5月 米国ハードウェア販売実績
台数支出平均単価
PS5-58%-43%$672
Xbox Series-12%+7%$524
Switch 2首位首位
前年同月比。Switch 2の平均単価は非公開。ハードウェア全体の平均は$502(前年比+14%)

PS5もXboxも5月として歴史的な低水準に落ちた。ただし意味合いは異なる。PlayStationにとっては異常事態だが、Xboxにとってはここ数年の延長線上にある。

Switch 2が支えた「成長」

全体のハードウェア支出が38%伸びたのは、ほぼSwitch 2のおかげだ。

Switch 2は5月の米国ハードウェア市場で台数・金額ともに首位。年間累計でも同じく1位で、2位はいずれもPS5だった。

発売から12ヶ月で米国での累計販売台数は590万台に達した。これは米国で追跡が始まった1995年以降、歴代2番目に速いペースだ。1位はゲームボーイアドバンスの12ヶ月650万台で、Switch 2はそれに次ぐ。

ソフトウェア(サカーナの分類では「コンテンツ」)の支出は38億ドル、前年比1%増。コンソール向けソフトの売上がこの成長を支えた。

5月のソフト売上と年間ランキング

5月のソフト売上1位は007 First Light。ジェームズ・ボンドのゲームとしてシリーズ史上最高の初月売上を記録した。2位はForza Horizon 6、3位はLEGO Batman: Legacy of the Dark Knight、4位はSubnautica 2。5位にはトモダチコレクション わくわく生活が入った。

年間累計(1月〜5月)ではバイオハザード レクイエムが首位を維持し、2位Crimson Desert(紅の砂漠)、3位MLB The Show 26と続く。007 First Lightは発売月で年間4位に食い込み、Forza Horizon 6が5位。4月のトップ10に入っていたMinecraftARC RaidersNBA 2K26は圏外に押し出された。

値上げの連鎖と、8月に迫るもう一段

PS5は2026年4月2日に100ドルの値上げを実施したばかりだ(通常版549.99→649.99ドル、PS5 Pro 749.99→899.99ドル)。

Xboxも値上げを続ける。Microsoftは現地時間6月25日、8月1日付でXbox Series全機種の値上げを発表した。Series S(512GB)は399.99→499.99ドル(100ドル増)、Series X(1TB)は649.99→799.99ドル(150ドル増)。2025年5月、同年10月に続く3度目の値上げだ。2TB特別版は廃止される。理由はメモリとストレージの部品価格が前回値上げ時の2.5倍に跳ね上がったこと。Microsoftは2027年秋までにさらに倍増すると見込んでいる。

任天堂もSwitch 2の値上げを予告済みで、米国では9月1日に449.99→499.99ドルとなる(日本では5月25日に先行実施済み)。

各ゲーム機の価格推移(米国・ドル)
発売時
現在/予定
PS5 Pro発売時は$699.99。Xbox Series価格は8月1日以降の予定価格。Switch 2は9月1日以降の予定価格

8月以降のXbox Series S(499.99ドル)はSwitch 2の値上げ後の価格と同額になり、Series X(799.99ドル)はPS5 Pro(899.99ドル)に100ドル差まで迫る。2020年にSeries Sが299.99ドル、Series Xが499.99ドルで発売されたことを考えると、6年で価格が1.5倍以上になった計算だ。

500ドルを超えた平均単価が意味すること

5月のデータが見せているのは、ゲーム市場が「台数」ではなく「単価」で成長する構造への移行だ。

台数は減り、単価は上がり、総額は微増する。ピスカテラ氏は以前から、ハードウェア購入者が高所得帯に偏りつつあると指摘してきた。1台あたり平均502ドルという5月の数字は、その傾向がさらに進んだことを裏付ける。

Switch 2だけが市場を伸ばしているという状況は、任天堂の製品力の証明であると同時に、市場の脆さでもある。9月に価格が上がった後、同じ牽引力を保てるかは未知数だ。ピスカテラ氏は「値上げの影響で厳しくなる可能性がある」と述べている。6月からはSwitch 2の発売1年目と2年目のデータが重なり、前年比の意味も変わる。

11月にはGTA 6の発売が控えている。サカーナの追跡史上、購入意向が最も高いタイトルだ。ソフト市場を押し上げる力は間違いない。だがGTA 6を遊ぶにはPS5(649.99ドル)かXbox Series X(799.99ドル)が要る。この価格で、どれだけの新規購入者が動くのか。

ゲーム機が安くなる時代は終わった。AIデータセンターによるメモリ需要の急増が部品価格を押し上げており、ソニーもMicrosoftも任天堂も、この構造から逃れられない。次世代機の価格はさらに高くなるとみられている。

遊びたいゲームは増え続ける。だが、それを遊ぶためのハードの値段が、半年ごとに書き換わっている。

参照元 サカーナ(Circana)マット・ピスカテラ氏による2026年5月米国市場データ

他参照 Microsoft Xbox値上げ公式発表(2026年8月1日付)

関連記事

この記事を共有する