DDR5価格が410%に逆戻り、3月の下落は一瞬の幻だった
3月にようやく見えたDDR5価格の下落は、一時的な調整でしかなかった。4月のドイツ市場で価格指数は再び上向き、2025年7月比で410%という高原に戻っている。SSDとHDDまで巻き込み始めた。
3月にようやく見えたDDR5価格の下落は、一時的な調整でしかなかった。4月のドイツ市場で価格指数は再び上向き、2025年7月比で410%という高原に戻っている。SSDとHDDまで巻き込み始めた。
3月の下落は「反転」ではなく「ノイズ」だった
3DCenterが2026年4月19日に公開した最新の「Speicherkrise Preisindex」によれば、ドイツ市場のDDR5平均価格指数は2025年7月を100%として410%に達している。3月の408%からわずか+0.3%の動きで、数字だけ見れば横ばいだ。しかし意味は重い。
2月から3月にかけて、DDR5は初めて月次でマイナス(-7.2%)を記録した。「ピーク越え」「ようやく鎮静化」という観測が出て当然の数字だった。だが4月の結果は、その観測を撃ち落とす。個別製品レベルでは値下げと値上げが混在しているものの、ならすと上昇方向に揺り戻っている。3月の下落は反転トレンドの始まりではなく、ただのノイズだったことになる。
なぜ3月だけ下がり、なぜ4月で戻したのか。3DCenterは明確な根拠を挙げないまま、契約価格の上昇圧力が継続している点を指摘している。スポット市場は在庫次第で上下するが、契約価格は数ヶ月から1年以上の単位で高値を固定する。つまり、小売が一瞬下げたところで、上流の価格は動いていない。
DDR5個別製品の動き
価格反転の主役は大容量キットだ。2×48GB DDR5-6400は3月の1219ユーロから4月は1420ユーロへ、単月で+16%跳ね上がった。2×24GB DDR5-7200+も+10%。一方、2×16GB DDR5-7200+は-13%、2×16GB DDR5-6400は-8%と、中小容量は下げた製品が多い。
3DCenterは「大容量キットほど上がり、中小容量キットほど下がった」と分析している。これは是正ではなく、均質化だ。クライシス初期は中小容量が先に跳ね上がり、大容量が後追いする形で上昇していた。その歪みが、いま逆方向に収束している。
2025年7月比で見ると、上昇率の上限は32GB DDR5-5600の+379%、2×16GB DDR5-6000も同じく+379%。下限は2×16GB DDR5-7200+の+248%と、2×16GB DDR5-6000 CL28の+263%。平均で+310%、約4.1倍という場所に立っている。
本当の主役はSSDとHDDだった
DDR5の動きは派手だが、4月の数字で読むべきは別の領域だ。
内部SSD、初の価格倍増
内部SSD価格指数は単月で+8.2%上昇し、210%に到達した。これは初めての価格倍増を意味する。2025年7月からの累計で+110%、つまり2倍ちょうどだ。これまでSSDはDRAM系ほど派手に動かず、じわじわ上げるパターンを続けていた。そのじわじわが、ついに大台を踏んだ。
特に動きが激しかったのは中堅モデル。1TB M.2 PCIe3 DRAM付きは3月の167ユーロから4月は212ユーロ(+27%)、2TB M.2 PCIe3 DRAM付きは280ユーロから354ユーロ(+26%)と、いずれも単月で2割以上の上昇だ。
3DCenterの観察では、DRAM製品の小売価格が予防的に爆発した後、NAND製品が遅れて追随している構造が見える。つまり、DRAMは先に天井に近づき、NANDはまだ上昇余地を残しているということだ。
SSD価格は今後もう一段上がりうる。これは脅しではなく、業界から出てくる信号の読み方として自然な解釈になる。
内部HDD、突然の+15.1%
もう一つ驚くべき動きがあったのが、コンベンショナルHDD(従来型ハードディスク)だ。単月で+15.1%、8製品平均で+84%の水準まで押し上げた。3月は-1.9%と小康を見せていたが、完全に反転している。
面白いのは、これまで動きが鈍かった大容量モデルが上がった点だ。22TBモデルは412ユーロから559ユーロへ+36%、18TBは412ユーロから500ユーロへ+21%、1TBは43ユーロから70ユーロへ+63%。
HDD製造元は、データセンター向けの過剰需要で2027年以降の新規受注しか受け付けない状態が続いている。つまり上流はずっと前から供給不足で、小売が耐えていただけだ。その耐久力に限界が見え始めたということかもしれない。
全体像:価格再上昇フェーズに入った
4月のPreisindexを並べると、下落したのはGPUだけだ(114%、-1.9%)。残りのカテゴリはすべて横ばいか上昇になる。
- DDR5:+310%(月次 +0.3%)
- DDR3/4:+242%(+1.5%)
- SODIMM:+252%(-0.1%)
- 内部SSD:+110%(+8.2%)
- 内部HDD:+84%(+15.1%)
- 外部HDD:+24%(+3.7%)
- GPU:+14%(-1.9%)
GPUだけはVRAMの価格寄与がカード全体の小さな割合に留まるため、動きは鈍い。ただしGeForce RTX 5090は例外で、3月の3365ユーロから4月は3539ユーロへ、+5%上昇している。32GB GDDR7という巨大なVRAM構成が、そのままコストに跳ねている。
なぜこうなっているのか
背景は2025年秋からのOpenAIとSamsung/SK Hynixの契約だ。OpenAIは世界の半導体メモリ生産能力の約40%を押さえた。残り60%を全エレクトロニクス業界が奪い合う構図が生まれ、スポット価格が先に跳ねた。
重要なのは、2025年時点でOpenAIはまだウェハ割当を実際には受けていなかったという点だ。つまり「これから足りなくなる」という不安だけで、現実の出荷量に関係なくパニック買いが起きた。契約価格はそれを追って後から上がり、いったん上がった価格水準を数ヶ月から1年以上固定する。この時限装置が、いま効果を発揮している。
3DCenterは「解決にはAIバブルが弾けるか、半導体メーカーが製造能力を拡張するかのどちらかしかない。後者は通常数年かかる」と指摘する。しかも半導体メーカーは、過剰投資で価格が再崩壊する「豚サイクル」を警戒しており、新規工場建設に慎重だ。いま稼いでいる業界に、急いで供給を増やす動機はない。
むしろ次は逆方向の圧力がかかる可能性がある。サーバーCPUの需要が再注目されており、データセンター向けDDR5の需要はさらに増える見通しだ。
これから先、何が起きるか
3DCenterが示したデータから読める方向は、残念ながら一つしかない。今のレベルで維持されるか、さらに上がるか。反対方向の兆候は業界からほとんど出ていない。
SSDがまだ上昇余地を持つという観察も不穏だ。DRAM製品は予防的に天井近くまで上げられた一方、NAND製品は遅れて追随している段階にある。PCパーツ購入を「SSDだけでも先に買っておこう」と考えるのは、現時点では悪くない判断かもしれない。
ユーザーに残された現実的な選択肢は限られている。必要な容量を最小限で買う、DDR4世代の延命を受け入れる、あるいは単に買わない。Mindfactoryの週次販売データでは、2024年に週2000〜3000個売れていたCPUが、4月中旬には週500個まで落ち込んだという。ユーザーはもう黙って撤退している。
「そのうち下がる」を信じて待っても、下がる根拠がない。それが2026年4月の風景だ。
参照元
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