GRD 596.36公開、RTX 5070ノートに12GB版
DLSS 4.5対応の新ドライバーに紛れて、もうひとつの発表があった。GeForce RTX 5070 Laptop GPUに12GB版が正式に加わったのだ。NVIDIA自身が「メモリ供給が逼迫しているための調達策」と認めている。
DLSS 4.5対応の新ドライバーに紛れて、もうひとつの発表があった。GeForce RTX 5070 Laptop GPUに12GB版が正式に加わったのだ。NVIDIA自身が「メモリ供給が逼迫しているための調達策」と認めている。
ConanとDLSSで覆われた、もうひとつの発表
NVIDIAは本日4月28日、Game Ready Driver 596.36 WHQLを配信した。表向きの目玉は、5月5日にリリースされる『Conan Exiles Enhanced』への最適化だ。Unreal Engine 5でのリマスター版で、DLSS Multi Frame Generation、DLSS Super Resolution、NVIDIA Reflexに対応する。
修正された不具合のリストには、『God of War Ragnarok』のテクスチャがちらつく問題、『Assassins Creed Shadows』のキャラクターモデル衣装のフリッカー、『The Crew Motorfest』の草と植生のフリッカーが並ぶ。Reddit上では、リリースから30分で50近い反応が並び、コメント欄には「I volunteer as tribute(俺が人柱になる)」と書き込んだユーザーがいた。新ドライバーの公開直後の通過儀礼だ。
しかし、リリースノートをスクロールしていくと、ゲーミング技術の項に静かにこう書かれている。
Adds support for the GeForce RTX 5070 Laptop GPU (12GB)(GeForce RTX 5070 Laptop GPU 12GB版に対応)
これが本日の真の主役だ。
RTX 5070 Laptop GPUに12GB版が「正式に」加わる
CES 2025の発表時、NVIDIAは「RTX 5070 Laptop GPU = 8GB GDDR7」「RTX 5070 Ti Laptop GPU = 12GB GDDR7」という線引きを明確にしていた。GB206ダイ・128bitバスのRTX 5070に4個の2GB GDDR7チップを載せて8GB、これが当初の構成だった。
ところが2026年3月以降、流れが変わった。LenovoのPSREFがLegion Pro 5やLOQシリーズで「RTX 5070 12GB GDDR7」を表示し始め、その後ASUS、MSIも次々と「うっかり」12GB版の構成を載せ始めた。VideoCardzやTweakTownはこれを「リーク」として報じてきた。
そして本日のドライバーリリースで、NVIDIAは正式に12GB版を認めた。3GB GDDR7チップを4個搭載し、同じ128bitバスのままVRAM容量を5割引き上げた格好だ。GB206ダイは変えず、メモリ密度の高いチップに差し替えるだけで12GBを実現している。
既存8GB版は2GB(16Gb)チップ4個に128bitバス、新12GB版は3GB(24Gb)チップ4個に同じ128bitバス。バス幅もコア構成も変えず、チップ1枚あたりの容量だけを引き上げた構成だ。
技術的には素直な解決策だが、見逃せないのは「なぜ今なのか」の理由だ。
NVIDIAが珍しく認めた「メモリ供給逼迫」
NVIDIA公式ブログにはこう書かれている。
GeForce RTX GPUの需要は依然として強く、メモリ供給は逼迫している。メモリの調達余地を最大化するため、24Gb G7メモリを使うRTX 5070 Laptop GPU 12GB構成を投入する。これにより我々のパートナーは、ほとんどのGeForce GPUに搭載されている16Gb G7メモリの供給を補完する追加のメモリプールにアクセスできるようになる。
「メモリ供給が逼迫している」という言葉は、消費者向けの製品発表で目にすることはまずない。しかも単に「需要が強い」とは言わず、追加メモリプールへの「アクセス権」という調達側の語彙で説明している。これは技術的な改善ではなく、メモリ調達戦略の話だと自ら宣言したに等しい。
背景にあるのはAI需要によるDRAM全体の逼迫だ。SK hynix、Samsung、Micronのいずれもがハイパースケーラー向けのHBMとサーバー向けRDIMMに製造ラインを優先配分しており、コンシューマー向けGDDR7にしわ寄せが及んでいる。RTX 50 SUPERシリーズの2026年第3四半期への延期も、3GB GDDR7チップの生産量不足が原因だと業界では見られていた。
その3GBチップが、ようやくラップトップGPUに振り分けられる量だけ確保できた──そう読める。
「RTX 5070 Laptop」という同じ名前のなかに、性能差のある2種
歓迎すべき容量増だが、混乱の種も同時に蒔かれた。
Lenovoが事前に登録していたPSREFリスティングを精査すると、12GB版RTX 5070 Laptop GPUのブーストクロックには2347MHz版と1425MHz版が混在している。8GB版はすべて2347MHz。つまり12GB版のなかに、8GB版と同等のクロックを維持したモデルと、ブーストクロックが約4割低いモデルの2系統が存在する。
TGPはどちらも115Wで同じ。同じTGPで同じVRAM容量、同じ「RTX 5070 Laptop GPU 12GB」の名を冠しながら、ブーストクロックだけが2347MHzと1425MHzで分かれる。
TechPowerUpはこの差を「LOQモデルが2347MHz、Legion Proモデルが1425MHz」と整理しているが、なぜLegion Pro側のクロックがここまで落ち込むのかの理由は明らかにされていない。
買う側からすれば、「RTX 5070 Laptop GPU 12GB搭載」と書かれていても、モデルによって全く別物になる可能性がある。VRAM容量を見て選んでも、肝心のGPU処理性能は店頭でクロックを確認するまで分からない。これはエンドユーザーへの説明責任を、メーカーとNVIDIAが棚上げした構図だ。
静かな発表の意味
NVIDIAは『Conan Exiles Enhanced』の華やかな発表の影に、メモリ調達の現実を滑り込ませた。RTX 50 SUPERデスクトップが遅れているなか、3GB GDDR7チップが先にラップトップに振られた。これは、メモリ容量を求めるユーザーにとっては前進だ。
ただ、同じ名前のSKUに性能差のあるバリアントを混ぜる手法は、これまでもRTX 4080 12GB(後にRTX 4070 Tiに改名)などで物議を醸してきた。今回は容量増のための調達策という大義名分があるが、ブーストクロックが4割違うモデルが同じ「RTX 5070 Laptop GPU 12GB」を名乗るのは、購入時の判断材料を曇らせる。
DLSS Multi Frame Generationの恩恵で「VRAMをあまり使わずにフレームを増やせる」とNVIDIAは言うが、テクスチャ容量と処理性能の両方が必要な場面では、結局このクロック差が効いてくる。
ドライバーリリースノートに静かに加えられた1行は、AIブームのしわ寄せが、いよいよ消費者向けラップトップ市場の構成にまで及んだことを示している。
参照元
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