Steam Machine価格、RAM高騰で社内目標が上振れ
Steam Controllerの5月4日発売を受け、ValveがSteam MachineとSteam Frameの内部価格目標を大幅に引き上げているという情報が浮上している。RAM高騰が当初の価格設計を崩し、リビング向けゲーミングPCの夢に冷や水が浴びせられている。
Steam Controllerの5月4日発売を受け、ValveがSteam MachineとSteam Frameの内部価格目標を大幅に引き上げているという情報が浮上している。RAM高騰が当初の価格設計を崩し、リビング向けゲーミングPCの夢に冷や水が浴びせられている。
Steam Controllerの5月4日発売を受け、Valveが残るSteam MachineとSteam Frameの内部価格目標を大きく引き上げているという情報が出ている。RAM不足が当初の想定を完全に崩した格好で、リビング向けゲーミングPCの夢に冷や水が浴びせられている。
RAMを積まないコントローラーだけが先に出る理由
まずは事実関係を整理したい。Valveのハードウェアエンジニア、スティーブ・カルディナリ(Steve Cardinali)はPolygonの取材に対し、Steam Controllerが先行発売される理由をはっきりと語っている。
このコントローラーにはRAMが入っていない。だから出荷の準備が他より複雑にならない。すでに準備は整っていて、発売時に欲しい人全員に行き渡るよう数量も積み上げてきた。
つまりSteam MachineとSteam Frameが遅れているのは、RAMの調達問題に直結している。Steam Controllerだけが先に出せるのは、RAMを積んでいないからにすぎない。順序が逆だっただけだ、という主張に近い。
カルディナリは続けて、3製品の同時発売はもともと固い予定ではなかったとも語る。譲れない締切は「Steam Machineより先にSteam Controllerを出す」という1点だけだったという。コントローラーがマシンの発売を待つ必要はないし、待たせる理由もない――そういう論理だ。
ここまでは公式発表の話。問題はこの先にある。
「内部の値札」は跳ね上がっている
Valve関連のリーカーとして知られるブラッド・リンチ(Brad Lynch)が、Polygonの記事を受けてXに投稿した内容が今回の核心だ。
RAM高騰の前と後で、Valveが想定していた内部価格目標を聞いている。Machineが最も影響を受けている。Frameはそこまで悪くない。
リンチは具体的な数字までは公表していない。「公にしてもいいと思える数字なら、とっくに出している」と本人もXで述べている。ただ、Machineが最も影響を受けたという表現の重さは、Valveが当初描いていた価格設計図がもう成立していないことを示唆している。
Steam Frameへの影響が比較的軽い理由について、リンチはモバイル向けLPDDR RAMの価格上昇が一般的なDRAMほど深刻ではないからだろう、と推測している。確かにこれはTrendForceのデータとも整合する。LPDDR4X/LPDDR5Xも90%程度の四半期上昇が見込まれているが、PC DRAMの100%超の上昇よりは緩い。
Steam Machineは16GBのDDR5に加え、GPU側に8GBのGDDR6 VRAMを積む構成だと公表されている。合計24GBのメモリを内蔵する設計が、いまの市況では完全に裏目に出ている。
「いくらになるか」は誰にもわからない
ここで一つ、頭に入れておきたい点がある。Valveは公式にはまだSteam Machineの価格を発表していない。だから「内部目標が上がった」という話は、最終的な店頭価格そのものではない。会社の内部試算が動いた、というレベルの話だ。
ただ、この内部試算の重さはBOM(部品表)の現実から逃げられない。英メディアのClub386は、2025年に49.99ポンドで売られていた16GB(8GB×2枚)のKingston Fury DDR5キットが、現在は199.99ポンドになっていると指摘している。1年で約4倍だ。Valveのような大口顧客はサプライヤーと直接交渉できる立場にあるため小売価格そのままを支払うわけではないが、それでも調達コストが大きく押し上がっているのは間違いない。
リンチは別の返信で、こうも書いている。Machineが値上がりする前なら、自分はSteam Frameの方が高くなると予想していた。しかしRAM不足が効いた今は、Steam Machineの方が上に来る可能性すらあると。
ハードウェアの位置づけが逆転しかけている。たった半年での話だ。
700ドルの夢と1,000ドルの現実
参考になる外部の試算もある。Linus Tech Tipsはかつて、同等スペックのPC構成からSteam Machineの想定価格を約700ドル前後と見積もっていた。Club386が同様に英国の小売価格で計算したところ、当時は700ポンド強で組めた構成が、現在では1,000ポンド超になっているという。
これをそのまま米ドル換算するのは乱暴だが、メディア各社は1,000ドル近辺という数字を一つの目安として置きはじめている。発表当時に多くの人が「PS5やXbox Series Xと同じ土俵で戦える価格になる」と期待した姿は、現状ではかなり遠い。
EmuDeckのようなサードパーティが用意するSteamOS搭載小型PCは、すでに1,139ユーロ(約21万2,500円)という価格帯にいる。Valveが本来狙っていたであろう「リビング向けの手の届くゲーム機」という立ち位置が、市況によって押し流されつつある。
5桁の差ではない。コンシューマーが「これは買うべきか、見送るべきか」を真剣に天秤にかける価格帯に、Steam Machineは押し上げられようとしている。
なぜRAMがここまで効くのか
ここで一度、構造の話に降りておきたい。「RAMが足りない」という言葉は何度も聞くが、なぜ今これほど効くのか。
理由は単純で、AIだ。Samsung、SK hynix、Micronといった大手メモリメーカーは、利益率の高いHBM(高帯域メモリ)に生産能力を集中させている。NVIDIAやAMDのAIアクセラレータが消費するHBMの需要は、データセンター投資の急拡大によって尽きる気配がない。
その結果、コンシューマー向けのDDR5やLPDDR5の生産枠が削られている。IDCの分析によれば、2026年のDRAM供給成長率は16%、NANDは17%にとどまる見通しで、いずれも歴史的な平均を下回る。さらに、TrendForceは2026年第1四半期のDRAM契約価格が前四半期比90~95%上昇したと報告している。ほぼ倍だ。
AIサーバー向けの1枚のウェハーは、ミドルレンジのスマートフォン向けLPDDR5Xや、コンシューマーノートPCのSSDから奪われた1枚でもある。
ValveはAI企業ではない。AIで稼いでいるわけではない。だがRAMをめぐる争奪戦の余波は、AIに無関係なゲーム機にも遠慮なく襲いかかる。これは構造の問題であって、Valveの努力で解決できる範囲を超えている。
Valveが取れる手は限られている
打てる手はある。たとえば、メモリ容量を削ってBOMを切り詰める。だが16GB DDR5+8GB GDDR6という構成はSteam Hardware Surveyのボリュームゾーンに合わせた設計で、ここを削ると製品の説得力が落ちる。8GB VRAMはすでに「ぎりぎり」と評されているのが現実だ。
別の選択肢としては、発売を遅らせて市況の落ち着きを待つ手がある。だが業界の見方は厳しい。Micron経営陣はDRAM供給の本格回復は2028年以降になる可能性を示唆しているし、SK hynixは少なくとも2027年後半まで需給が逼迫し続けると見ている。1年や2年では収まらない可能性がある。
最後の選択肢は、価格に転嫁する。これが今、まさに起きていることだろう。
それでも問われ続けるのは「妥当か」
Steam Machineに対する期待は、PCゲーミングの「敷居を下げる」役割への期待だった。Steam Deckが手のひらサイズでそれをやってのけたように、リビングのテレビでも同じことを起こせるはずだという期待だ。
だが1,000ドル前後という数字が現実になるなら、その期待は揺らぐ。同じ予算があれば自作PCを組めるユーザーは多いし、PS5 Proという既存の選択肢もある。Steam Machineが選ばれるためには、価格以外の決定打が要る。SteamOSの完成度、リビング向けの最適化、Steam Controllerとの一体感。そのどれかが、価格の差を呑み込めるだけの説得力を持っている必要がある。
Valveに同情の余地はある。市況は明らかに最悪のタイミングだ。だが消費者にとって、メーカー側の事情は購入判断の理由にはならない。「いくらなら買うか」という問いの前で、ゲーマーは冷静に計算する。
リンチは、価格の正式発表は近いうちに出るだろうとも書いている。その発表で、Valveがどこまで踏み込んだ価格を出してくるか。あるいは、もう少し待ってから出すと判断するか。Steam Machineの運命は、今そこに賭けられている。
参照元
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