PlayStation新作ゲームのディスク生産、2028年1月で終了
SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が7月1日、PlayStationの新作ゲームから物理ディスクをなくすと発表した。2028年1月以降、新作はPS Storeと小売店でのダウンロード版のみになる。発売済みのタイトルや、それ以前にディスクで出荷されるタイトルには影響しない。
売り場に箱は残る。中身は変わる
発表文にはシド・シューマン(Sid Shuman)氏(SIEコンテンツコミュニケーション シニアディレクター)の名前が添えられている。ソニーは小売店での販売を継続する意思を明確にしたが、その販売形態がどうなるかは具体的に語られていない。ダウンロードカードなのか、コードを封入した箱なのか。GTA 6はすでにPS5版をコード・イン・ボックスで予約受付しており、それが標準になる可能性は高い。
2025年度のPlayStationにおけるフルゲーム販売のうち、デジタルが占める割合は通年で78%。直近の2026年1〜3月期にはそれが85%に達している。ディスクの生産を止めても、大多数のユーザーにとっては何も変わらない。その数字が、この決定を支えている。
ただ、数字に含まれない問題がある。
同じ日に、もう一つの終了
SIEはディスク廃止の発表と同日、PS3およびPS Vita向けPS Storeの閉鎖も告知した。一部の中南米・中東地域ではPS3向けストアを2026年8月から順次閉じ、その他の全地域ではPS3・PS Vitaとも2027年7月で終了する。購入済みコンテンツは引き続きダウンロードできるが、新規購入はできなくなる。
2021年にも同じ閉鎖が一度発表され、ユーザーの激しい反発を受けてソニーは撤回した。当時のジム・ライアン社長は自らの判断を「誤りだった」と認めている。あれから5年、今度は決済システムの技術的要件を理由に掲げた。撤回はないだろう。
二つの発表が示す方向は同じだ。新しいゲームは全てデジタルで配信し、古いプラットフォームのデジタルストアは閉じていく。
PS6のかたちが見えてきた
今回の発表は、次世代機の姿も示唆している。2028年1月以降にディスクを作らないなら、それ以降のハードウェアにディスクドライブを標準搭載する理由はない。調査会社Ampere Analysisのピアーズ・ハーディングロールズ(Piers Harding-Rolls)氏は、PS6の発売は2028年以降になるとの見方を示し、ベースモデルにはディスクドライブが搭載されないだろうと分析している。新型PS5で導入された着脱式ディスクドライブが、次世代でもオプション扱いになる可能性はある。だがそれは、過去のディスクを動かすための互換性維持であって、新作のためではない。
PS5の累計出荷台数は2026年3月末時点で9370万台。このうち一定数がデジタルエディション、つまり最初からディスクドライブのない本体を選んだユーザーだ。日本市場ではその傾向がさらに顕著で、ファミ通の直近の週販データによれば、PS5デジタルエディションが8024台に対しディスク搭載モデルが260台。比率にして31対1。日本ではすでにディスクの時代は終わっていた。
「所有」の意味が変わる
ディスクで買ったゲームは、棚に並べて何年でも遊べる。インターネット接続なしで起動し、中古で売り、友人に貸すこともできた。デジタル版にその自由はない。ソニー自身が認めているとおり、デジタルゲームの購入は「非商用利用の個人ライセンス」の取得であって、物理的な製品の所有ではない。
| ディスク版 | デジタル版 | |
|---|---|---|
| オフライン起動 | 可能 | 認証が必要 |
| 中古売却・譲渡 | 可能 | 不可 |
| 友人への貸し借り | 可能 | 不可 |
| ストア閉鎖の影響 | なし | 再入手不能 |
| 所有形態 | 物理製品 | 個人ライセンス |
ゲームの保存という観点からも懸念は残る。PS3とPS Vitaのストア閉鎖は、デジタル配信でしか入手できないタイトルが将来アクセス不能になりうることを改めて示した。PCゲームの世界ではSteamが事実上のデジタル標準になって久しいが、あちらにはDRMフリーのGOG.comという選択肢もある。PlayStationにはPS Storeしかない。
数字だけを見れば必然の判断ではある。だがこれは、ソニーのサーバーとソニーの利用規約にPlayStationの全てが依存する世界の始まりでもある。ディスクドライブのないPS6を手にしたとき、自分のゲームライブラリは棚ではなく、ソニーのサーバー上にしかない。
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